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おくりびとからのメッセージ  「長生きは幸せか」

武田徹: 今年初めてのラジオということで、どうでしょうか、つばさ公益社もちょうど一カ月。

篠原憲文: そうですね、昨年12月20日がオープンでした。

武田徹: 大変賑やかなオープンでございましたね。

篠原憲文: 花を添えていただいて。

武田徹: 私もつばさ公益社さんに伺いまして、皆さんと真剣に死や病気についてお話し合いをする機会を持った訳でございますけれどもね。

篠原憲文: 非常にいい機会で、お集まりになった方々と距離が近いところで武田先生や皆さんのお話に触れることができて、とても楽しかったというお声をいただきました。

武田徹: ありがとうございました。山ノ内町の栗かのこさんからいただいたのですが、「この寒さもあり亡くなる方が多く新年から辛いです。年の同じぐらいの人が病気になったと聞き心が痛みましたが、自分も健康に留意するお年頃と教えて下さったと考えて、やはり野菜などを沢山食べて頑張ろうと決意しました。」

篠原憲文: そうですね。

武田徹: 冬はやっぱり亡くなる方が多いんだね。

篠原憲文: やはり多くて、12月末から年明けにかけて仕事が忙しい状況が続きました。寒い時期は体調を崩す方も多いと思います。

武田徹: つばさ公益社さんは去年の12月にオープンでしたが、事業の方は順調ですか?

篠原憲文: 本日でちょうど一月(ひとつき)くらいですが、これまで6、7組程ご依頼をいただいて。

武田徹: うん。

篠原憲文: 思っていた以上にニーズがあるというか、期待を寄せていただいているので、頑張っていきたいと思っております。

武田徹: つばさ公益社さんは、明朗会計!それが一番だね。

篠原憲文: そうですね。

武田徹: お葬式ってお金がどのぐらい掛かるのか分からないものだけれども、色々なコースがあって、それを参考にすれば無駄な出費が無くなるから、安心してお葬儀ができますよね。

篠原憲文: 事前に費用を可視化することを命題として始めたので、割とそのコンセプトを色々な人に受け入れてもらっています。

武田徹:しかも、色々なコースを選ぶことができると。

篠原憲文: はい。

武田徹: これから増々高齢化社会になっていきますから、格安でもできるお葬儀プランがあると便利だと思うよ。

篠原憲文: そうですね、このぐらいで済むなら安心だと思ってもらえるようなプランがあるといいですね。

武田徹:そうですね。

篠原憲文:やはりお金は生きている内に使った方がいいのではないかという思いもあって、お葬儀費用を最小限の準備でも間に合うような施設運営をしていきたいと思っております。

武田徹: お金貯めて使う頃にはあの世行き。それじゃ困っちゃいますよね。

篠原憲文: 本当ですね 。しかし何歳まで生きられるのか分からないので。

武田徹: そこだよな 。今日のテーマは「長生きは幸せか」これは難しいね。

篠原憲文: 本当に難しい問題です。長寿化してきているけれども、果たしてこれが幸せなんだろうかというのが色々問われていて、このテーマについてお話する為にご案内するお話なんですが、2日前に海外から入ってきたニュースで、イギリスのメイ首相が孤独担当大臣という方を任命されたという。

武田徹: 面白いね、これは。

篠原憲文: 高齢の単身化というのが日本で問題になっていますが、2日前にイギリスでも発表になりまして、現代の暮らしの中で多くの人が孤独を抱えていて、それを対処する為に孤独担当を任命したと声明されたそうです。イギリスの人口は6500万人ぐらいなんですが。

武田徹:日本の半分だな。

篠原憲文: その中で約1000万人の方が孤独を感じていると、アンケートの結果に表れているようで。

武田徹:6人に1人だね。

篠原憲文: 結構な割合で、自分は1人きりなのではないか、社会で孤立しているのではないか、と感じているそうですね。イギリスで、孤独は1つの病ではないかと。

武田徹:病として見ているんだね。

篠原憲文: 孤独という病に対して、国で本腰を入れて取り組んでいかなければいけないということで、我が国の社会、そして我々全員が抱える孤独という問題に向き合い、孤独な人々に対して行動を起こしていくと発表があって。

武田徹: 世界的にも珍しいんじゃないですか?

篠原憲文: 珍しいですね。孤独に対して対処していく大臣ということで。

武田徹: 面白いね。

篠原憲文: イギリスではメディアやスポーツを担当してる大臣が兼務という形で働くそうですが、世界的にも孤独が問題になって、国によっては病と同じ重みで捉えるような時代になってきたんだなと思いました。

高齢者の単身化や孤独というのは、長生きに密接な関わりがあると思うのですが、昨年2017年の8月に二冊の衝撃的な本が発表されて様々な議論がされまして。一冊目は作家の松原さんが書かれた「長生き地獄」という本で。

武田徹: はい。

篠原憲文: 二冊目は脚本家の橋田壽賀子さんが書かれた「安楽死で死なせて下さい」という本で 、この本は様々なところに取り上げられまして。ご本人の希望している死に方や時期を自分で選びたいというような事が書かれているのですが。

橋田壽賀子さんは現在92歳で、旦那さんに先立たれていて子供さんもいらっしゃらない、親しい友人もそこまでいないと語っていて、仕事に邁進してきたのだけどもそれもやり尽くしたし、世界各国の行きたい所にも行ったし、やり残したことも会いたい人も特にはいないのですが、凄く気になっていることがあると。

武田徹: なんでしょう?

篠原憲文: 今は元気で健康だけれども、病や認知症になったり、人様に迷惑を掛けるというのが凄く気がかりだと。

武田徹: それは私も同じですね、皆そうだと思うよ。

篠原憲文: 多くの人が恐怖や不安を感じますよね。ここが凄くキーワードだと思うのですが、自分自身の尊厳ある最後という意味で、ご本人が考えた到達点が安楽死でして。今現在、安楽死を行いたいと思った際に、唯一スイスに外国人の安楽死を手助けしてくれる団体があるのですが、そこに渡航して行くという形も真剣に考えていると書かれているのですが、これが多くの人の共感を集めましたし、ある意味ショッキングな内容でもあるし、長生きしたり長寿化していくことが果たして幸せなのかという問いかけでもあるんですよね。

武田徹: 90歳過ぎてね、「九十歳。何がめでたい」という本もベストセラーになってんだよな。

篠原憲文: 昔は疑い様なく幸せな状況だったと思うのですが、現在亡くなる方が増えてきた中で色々な事案に向き合ったり、もしくは認知症などの理解が進む中で、高齢化していくことに恐怖恐怖を感じることがありますよね。というところで、自分の長寿とどう向き合ったらいいのか、多くの人が悩んでいるとと思うのですが、延命治療という世界ではなく自然に生きていく、生活の延長線上での死のような。

武田徹: 自然死ですね。延命死ではなくて自然死を選びたい人ってやっぱり多いんじゃないのかな。

篠原憲文: そうですね。食うに任せて摂れる食物を摂り、なるべくそれ以外の栄養源に頼らないでいたり、自分の力で歩いて生活したり、そんな生活の中で自然に老衰していくような形がいいという提案は色々な方がしてきたのですが、一つ行き詰まり感というか、それはそれで幸せな最後かといったときに、日本人の長生きや高齢化や長寿化の先に、幸せが見えるような新しい日本人の終末期のストーリーが求められてると思いまして。

武田徹: 皆さん死は怖いと思う。勿論私も怖いんだけれども。私もどのぐらいかな、死に直面したのは。うちのお祖母ちゃんが亡くなった時にそこにいたんですけれど、自然死ですからそんなに苦しまない訳だ。風邪をこじらせて肺炎になって亡くなったんだけれどもね。やはり無理に延命するような治療を受けたときには、かなり苦しんで亡くなる方もおられるようなんだよね。

篠原憲文: そうですね。

武田徹:それからこれは比較にならないかもしれないけれども、私は犬や猫を長いこと飼っていましたが、彼らは自然死ですよ。

篠原憲文: そうですね。

武田徹: 殆ど苦しまないね。やっぱりこういう死に方いいなぁと、見本を見せてくれたなぁと、犬と猫に感謝してんだけどね。

篠原憲文: そうですね。本日最後にご紹介したいのが、「老年的超越」という言葉がありまして。

武田徹:老年的超越?

篠原憲文: 現在日本で百寿者、100歳を超える方が6万人を超えたということで、この100歳を超えた方々を中心に研究されている大阪大学の権藤恭之准教授という方が発表した老年的超越を紹介したいのですが。

武田徹:はい。

篠原憲文:80歳を過ぎた辺りで心境の変化が一つ起きるとこの先生が仰っていて、60代、70代、80代と生きていく中で徐々にできない事が増えてきてしまうのですが。

武田徹:そうですね。

篠原憲文: 昨日はできたのにできなくなったと、自信が揺らいでいく瞬間があるそうですが、実はこの80を過ぎていったその先に、逆に今までの暮らしを肯定的に捉えるような精神の働きが生まれて、人生の満足感とか達成感が高まっていくことが分かった。

武田徹: なるほど。

篠原憲文: 100歳を超えた高齢の方と接していて、ありとあらゆることに対して感謝の気持ちで接している高齢者の方っていらっしゃいますよね。例えば食事をしたり、介助を受けたり、排泄やお風呂であったり。有り難い感謝の気持ちを持つこの精神的な働きの事を、老年的超越と呼ぶそうです。

実は100歳を超える百寿者の皆さんにアンケートした中で、体の健康と心の健康が一致しなくなってきているのに、色々な事に満足感や達成感を覚えるような働きが最近あるということが分かってきまして。なので年を重ねていく中で不安定な部分も増えていくけれども、80を超えた辺りから段々幸せに感じたり、日々感謝を持って生きれるようになってくるらしいです。

武田徹: 最近の医学では、感謝をうんとしている人の方が病気にかかりづらいということも実証されつつあるんだって。

篠原憲文:なるほど。

武田徹: つまりいつも不平不満を持つ人とか、世の中の悪い事をしょっちゅう不安視している人が病気にかかりやすくて、感謝の心をいつも持ってる人はかかりにくいという。そういう調査結果も出ているらしいですよ。

篠原憲文: 凄く納得がいくところがありますよね。

武田徹: だから100歳越えた方は、おそらく感謝という言葉をいつも念頭に置いて生きておられる方が多いんじゃないのかな。

篠原憲文: その方が幸せな時間を生きているような気がしますよね。

武田徹: という訳で、深刻な問題は今までテーマとして扱われなかった時代もありましたが、これからは凄く重要重大なテーマだね。

篠原憲文: そうですね。あっけらかんとこんな話ができたらいいですね。

武田徹: いつものようにつばさ公益社篠原憲文さんのお話でした。

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