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2018.06.16 おくりびとからのメッセージ  「お墓に代わる選択肢」

武田徹: 今日は桐の箱に入った、奇妙な物をお持ちでございますねえ。丸い球体の中に砂のような真っ白い物が。これガラスですか?

篠原憲文: これガラスですね。

武田徹: ガラスですか。

篠原憲文: 水晶玉のような物の中に白い粉が入っているのですが。

武田徹: それと、お茶筒のようなこの入れ物は、何か中に入ってるんですか?

篠原憲文: これは空っぽの状態なのですが、今日のテーマが「お墓に代わる選択肢」。

武田徹: なるほど、ということは、その水晶玉のような中に入っているものは、 お骨ですか。

篠原憲文: そうですね、お骨なんです。今日お持ちしたのは石灰で、流石に実物ではないのですが。

武田徹: なるほど。

篠原憲文: 今、実はにわかに注目を集める分野で、いわゆる従来のお墓の形以外に、こういうものを広くひっくるめて、「手元供養」という言い方を。

武田徹: 手元供養ね。

篠原憲文: そうですね。言葉の通り、すぐ身近で手の届く所で供養をしようということなんですけれども、従来の形からすると分骨といいますか、お骨を一部だけ手元に置いて供養するというのが過去からずっとあった訳ですが。

今日ご案内したいのは、新たにお墓を求めるということに中々前向きになれない人も出てきていて、そういう人達が考える時間をしばらく持ったり、もしくは身近に置いて供養したい人向けに、お家でお骨を供養できる形が色々出てきていまして。

武田徹: これは歴史で考えると転換点というか。大体日本人はお墓で来たわけでしょう、何百年も。それが今変わりつつあるということかな。

篠原憲文: その通りなんです。従来のいわゆる家墓といいますか、何々家の墓を代々守っていくのが通常の形として捉えられていた時間が長いのですが、少しづつ変わってきている。

にわかに注目を集める、言い方を変えるとポータブルなお墓といいますか、持ち運びができるお墓なのですが、冒頭でもご紹介いただいて、その中でも3つ程ご紹介しようとお持ちしたのですが、順にご紹介していくと、ガラス玉。水晶玉の中に白い粉状のお骨が入っていて、大体13cmくらいの間で、この中に入っているお骨が大体成人の半分のお骨が入ってるのです。

武田徹: そんなに入るんですか?

篠原憲文: そうなんです。実は遺骨は骨壷というイメージだと思うのですが、結構大きくて抱えるぐらい入ってるのですが、今日お持ちしてるのは本当に手の平ぐらいの大きさで。実は粉末化されるというか、体積が凄く減るんですよね。

武田徹: そういうことだね。

篠原憲文: 実は全骨を粉末化することもできるのですが、今日は真ん中のサイズを持ってきていて、つまりお仏壇で飾っておけるぐらいの大きさですね。

武田徹: 例えばこう、半分入る場合、その残りの半分はどうしちゃう訳ですか?

篠原憲文: 色々な形があります。お家に同じように小さくして置いておいたり、後は本日ご紹介していきたいのが「部分収骨」という言葉を聞いたことはございますか?

武田徹: 部分収骨、はい。

篠原憲文: これは西日本で割と一般的なことなのですが、私達が住んでいる長野県は火葬場に行くと全ての遺骨を持って帰ってきますので、大体7寸とか8寸の非常に大きいサイズの骨壷を使うのですが、西日本の方は分部分の、例えば喉仏や頭骨などの所だけ拾骨してくるのですね。実は、最近は多くの火葬場で一部だけ持って帰ってくるということも選べるようになってきているのですが。

武田徹: そういうことか。

篠原憲文: ですので、最初から容器が準備できて指針があらかじめ決まっていれば、手元で賄える分だけ持って帰ってくることも選択できるようになってきていて。

既に大きい骨壷で持ってきていらっしゃる方だと、ある形としては一部はお墓に入れておくか、手元に置いておけない分は散骨したり、様々ある訳ですね。

武田徹: それだけ選択肢が増えてるってことだねえ。

篠原憲文: そうですね。今日の球体の物はそれなりに体積がある方なのですが、もっとコンパクトにという意味では、遺骨から炭素の成分だけを抽出して石を作る技術というのがあって。

武田徹: 指輪になってますね。

篠原憲文: そうですね。ダイヤモンドや宝石のような形でプラチナに取り付けて指輪になっているのですが、これだと指輪サイズのお墓といいますか。こういう再結晶化させる様な技術もあって。

武田徹: ふーん。

篠原憲文: この指輪以外にも遺石といいまして、それこそ5cm角ぐらいの大きさに小さくして再火葬されて再結晶化される様な技術があったり、セラミックプレートといって20cm×10cmくらいの表札のような大きさの物にご生前中の名前を刻んだりすることができたり。

武田徹: これを実際にビジネスとしてやって下さってる訳?

篠原憲文: そうですね、結構年数も、5年10年。

武田徹: そうなんだ。

篠原憲文: 段々と歴史もできてきていて。遺石、もしくはそのセラミックプレート、いずれにしても大体15万円~20万円くらいで手元に置いておける形になるので。

武田徹: いやぁ、驚きですね。

篠原憲文: そうですね。

武田徹: それからお茶筒みたいなものございますなぁ。ちょうどお茶を入れる大きさだよね。

篠原憲文: はい。2.3寸という小さいサイズの骨壷なのですが、今は中に何も入っておりませんけれども。つまり先程の話のようにあらかじめ指針が決まっていれば、例えば茶筒ぐらいの大きさの物に入る分だけ持ち帰ってくるということもできるのですね。

では持ち帰らなかった遺骨はどうなるのかという話があるのですが。

武田徹:そうです、はい。

篠原憲文: 残った分については、多くの場合は敷地の中にある例えば慰霊墳墓みたいな所に埋葬されるケースとか、もしくは公営墓地で埋葬されるケースが多いのですが、家族の希望がまとまっている場合は斎場で承諾書といいますか。

武田徹: うん。

篠原憲文: 後で異議申し立てしませんという様な書類を作れば、一部を持ち帰って残りも共同埋葬の様な形で託してくるということも選べるようになっていまして、これは西日本や東京、神奈川でも結構前から部分収骨はあったのですが、最近は県内でもあらかじめ相談することでそういう形でできるようになってきているのですね。

武田徹: 実際にお葬式の業者というか、おやりになってて、そういうことを口にされているような方いらっしゃいますか?部分収骨や手元供養というもの。

篠原憲文:手元供養はかなり広がりを見せていまして、例えば近くにしばらく置いておきたくて、お墓だと距離を感じてしまって寂しいという様な相談は非常に増えてきてますね。その手元供養も様々な形があって。

武田徹: はい。

篠原憲文: これはソウルジュエリーというものなのですが、魂の宝石とか宝飾品ですね。ペンダント型だとか、もしくは香水を入れるとか、アトマイザー型だとか、非常に様々な形があるんです。

今は身近に感じられるようなものも沢山あって、こういった手元供養が近年、特に問い合わせを寄せられているところですね。

武田徹: いや分かるような気がするねぇ。要するにお年を召されて大往生する方ももちろんそうなんだけど、もっと若い方で本当に愛する方が亡くなった場合はさ、いつも手元に置いておきたいっていうのは本当分かるような気がするな。

篠原憲文: そうなんですよね。実は、手元でしばらく供養したいという時に、お骨を骨壷に入れたままにすると思うのですが、骨壷はあまり長期保管には向かなくて。

武田徹: ふーん。

篠原憲文: 密閉ができないものですから、湿度でカビの原因になったりするので、パウダー化したり、滅菌化したり、もしくは真空状態の所に入れておくというのが最近の手元供養の形で。

後は部分収骨について知られていないというのが殆どのケースで。

武田徹: 私も初めて聞いたなぁ。

篠原憲文: 全国的に部分収骨が注目を集めるようになった理由がありまして。

武田徹: どういう理由なんですか?

篠原憲文: 2014年にゼロ葬という葬法といいますか、弔い方が提唱されて本になるんですね。

武田徹: ゼロ葬。

篠原憲文: これは宗教学者の島田裕巳(しまだひろみ)さんという方がご提唱されて本にまとめられたのですが、何も残さず亡くなる勧めという様なもので。

この島田裕巳さんは極論もされる方なのですが、島田さんが提唱したのは一切持ち帰らないという提案で、これは中々心理的な障害もあるのですが、一切ではなく手元に置いておける分だけは収骨してはどうかという流れがありまして、当初2014年に発表された当時は結構衝撃だったんですよ。

武田徹: でしょう。

篠原憲文:お墓も残さず遺骨も残さず、位牌も残さないという、そして無宗教で弔うという提案だったのですが、今4年程経ちましたが、段々と希望する人が増えてきて、一部だけ手元に残そうという考えをする方も出てきているということで。。

武田徹:こういうお話しというのはめったに聞けないし、情報というのも実際に調べればあるんだろうけど、あまり日常に流布してませんね。

篠原憲文: そうですね、本当に始まったばかりの文化といいますか、またお墓とかお葬式みたいな話というのは文化風習みたいなもので、なかなか奇を衒ったものは選び辛いというのはありますよね。

武田徹: そういうこともあるよね。今日はそういうことが実際に行われつつあるというお話しをしていただきました。手元供養、それから部分収骨、言葉として覚えておいていただければいいですよね。

篠原憲文: そうですね。やはりお墓はいろいろ悩んでいる方が多いのですが、お墓を持つ以外にも色々な選択肢が出てきてるということですよね。

武田徹: お墓以外の選択肢もありますよ、というお話しでした。

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