知ってて損はない~葬儀雑学

「葬儀・告別式」の”葬儀”と”告別式”は全く別物

 

お葬式の案内でよく見る「葬儀・告別式」、を一つの儀式と思っている方も多いかと思われますが、実は葬儀式と告別式は意味や目的が全く異なる別々の儀式なのです。もともとは葬儀式、告別式と区別して行われていたものが、近年のお葬式の簡略化に伴い、これら二つの儀式を同じ日に行なう形が一般化され、「葬儀・告別式」と称されるようになり、混同されているようです。

現在でも著名人の大規模な葬式は、葬儀式を行ない、また後日に告別式を行なうことがありますが、実はこちらが本来の形なのです。では、葬儀式と告別式はどのように違うのか、を見てみましょう。

 

葬儀式は故人のための儀式

葬儀式とは、故人の冥福を祈り、宗教的にはこの世からあの世への引導を渡す非常に大事な儀式です。仏教であれば故人が成仏するために、仏弟子として戒律を授けるといった意味合いがあります。

 

告別式は会葬者のための儀式

告別式とは、故人を偲ぶために友人や知人、関係者が集まり、お別れをするための儀式です。故人を偲ぶのが目的ですから、本来宗教的要素はなくてもよいものです。

近年多い「葬儀・告別式」では初七日法要まで含まれていることも多く、実際に僧侶は、葬儀のための経、告別式のための経、初七日法要のための経、と3種類の読経をしているのです。最近はあまり見られませんが、各儀式の区切りとして、僧侶が一旦退出して控室に戻り、改めて入室することもあります。

 

密葬と本葬

 

最近、遺族や近親者のごく内々の少人数で行ない、一般の会葬者を招かないお葬式が増えています。これが密葬と思われがちですが、実はそうではありません。密葬というのは、後日行われる本葬に先立って行われるものですから、その後本葬を行わないのであればこれは密葬とは言わず「家族葬」と呼びます。

密葬…現在では著名人や会社の社長などの大規模なお葬式で行なうのが典型的な例です。規模の大きさから準備や関係者への連絡で大変な時間がかかるため、ひとまず遺族や近親者で密葬を行ない、後に本葬と称して告別式を行ないます。しかし遡ってみると、年末年始や農村部の繁忙期に人が亡くなったときに、周囲に迷惑を掛けないようにとの配慮が密葬、本葬の始まりのようです。

本葬…実質、告別式です。戦後唯一の国葬となった吉田茂元首相の葬儀や、4万人以上が参列したロック歌手、忌野清志郎さんの葬儀などが、本葬の姿としてよく例にあがります。

 

前火葬と後火葬

遺骨を持ち帰らない選択

 

葬儀・告別式の前に火葬するか、後に火葬するか、これは地域風習やしきたりによって様々ですが、一様に言えるのはみんな自分の地域の習慣が普通だと思っているため、違う風習に直面すると非常に戸惑うということです。前火葬と後火葬とは、またその背景について少しみてみましょう。

前火葬…お葬式の前に火葬を済ませ、葬儀のときは故人の御遺骨を前に行なう「骨葬」と呼ばれるものです。明治時代後期、土葬から火葬に移行した当初はほとんどが後火葬でしたが、最近は全体の4割を占めています。

後火葬…お葬式を終えてから火葬をする「遺体葬」と呼ばれるものです。式中は棺の中にまだ御遺体がある状態で、前火葬しか知らない人が参列するとかなり驚くかも知れません。

前火葬は北海道や東北で多くみられ、後火葬は関東、関西、九州で多いようですが、先にも述べたように、どちらにするかは、地域の風習やしきたりが大きく影響しています。北国では、雪深い時期にはお葬式にすぐに来られない人も多いため、まずは火葬をした後、春を待って葬式を行っていたと言われていますが、同様に暑い地域でも遺体の傷みや衛生面の理由から前火葬になったとも言われています。

また一説によると、北海道の前火葬は、昭和29年の洞爺丸沈没事故の影響ともいいます。日本海難史上最悪の惨事と言われたこの事故で1000人以上が犠牲となり、水難事故のため遺体の傷みが早かったため急遽火葬場を増設し、火葬を行なったといった経緯から前火葬が一般化されたとも言われています。

現在では遺体の冷蔵保管施設も充実しドライアイスなどもあるので、保存環境は改善していますが、やはりその地域に根ざしたしきたりは大きいようです。

ただ一つ言えるのは、常識的にも宗教義的にも、どちらも間違いでも否定されるものでもないということです。

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