2020.02.15「無宗教時代」

おくりびとからのメッセージ

武田
武田

つばさ公益社は、またまた賞を頂いたようですね?

篠原
篠原

はい。先週、長野県が実施している、新しい会社向けの信州アクセラレーションプログラムという教育プログラムがあったのですが、そこでグランプリを頂きました。

武田
武田

ということは…一等賞ってこと?

篠原
篠原

はい。

武田
武田

これは色々な企業が参加されているのですか?

篠原
篠原

そうですね。まず、創業5年以内の会社でなければ応募ができなくて、その中で12社の応募があって、内5社が採択企業ということで、去年選ばれましたね。

武田
武田

ほぉ。

篠原
篠原

半年間かけて色々なプログラムを受けてきたのですが、その成果報告会が先週ありまして、そこで表彰して頂きました。

武田
武田

素晴らしいですね。でも、信州アクセラレーションプログラムって、あまり馴染みがないよね?

篠原
篠原

アクセラレーションというのは最近進んできている政策で、長野県を日本一起業しやすい県にしようという試みの一環なんです。

武田
武田

そういうことなんですね。でも、よかったですね。

篠原
篠原

名誉ですね。結構大変な時間でしたが、事業をしていても知らない領域って沢山あるんですよね。

武田
武田

そうですよね。

篠原
篠原

そういうことを見つめる時間になったと思います。

武田
武田

つばさ公益社のような企業は他にはなかったでしょ?

篠原
篠原

そうですね。例えばロボットを作っている会社や、5Gを見据えた動画サービスだとか、食事でアレルギー質のないものを使うヴィーガンなど、多種多様な業種がありました。

武田
武田

だけど、つばさ公益社はユニークだよね。人間の一番最期のビジネスだもんね。

篠原
篠原

そうですね。その中でも革新的な事業だとお褒め頂きました。

武田
武田

結構なことでございますね。篠原さん、頑張っておられますね!

篠原
篠原

ありがとうございます。

武田
武田

つばさ公益社は、始めてからどれくらい経ちますか?

篠原
篠原

3年目に入ったところですね。

武田
武田

これからまさに、アクセラレートしなければいけないね。

篠原
篠原

そうですね。できる限り多くの人にサービスを届けたいと思っております。

武田
武田

はい。今日はどういうお話になりますか?

篠原
篠原

今日は「無宗教時代」。

武田
武田

宗教を持たない方が非常に多い社会になったということですか?

篠原
篠原

そうですね。最近、無宗教化が進んできていると感じますので、新しい無宗教化時代について触れていきたいと思います。先週のニュースで、2月9日に「お坊さんのいないお葬式」の全国サービスが開始されることになったようで。

武田
武田

そうなんだ。

篠原
篠原

お葬式といえば宗教家の方々が前に立って、お経を唱えたり、場合によっては神官さんや牧師さんが来ますが、そういった宗教家を呼ばずに、人前という、人の前で証明書を記入するような形式が増えてきていまして。

武田
武田

はい。

篠原
篠原

「お坊さんのいないお葬式」では、結婚式の人前式のような形で、関係の深かった方たちが立ち会って、思い出を語り合ったり。証明書に記入するのが式の中心になってくるのですが、そういった葬送の儀という書面を通して送るというもので。

武田
武田

う~ん。

篠原
篠原

正直、日本は無神論ではなく、お葬式の時に無宗教を望むという人が多いということなんですが…。仏教式の葬儀に変わるものは今までもあったのですが、今回のサービスで気になっているのは、全国サービスとして、日本全国どこへ行ってもお坊さんがいらっしゃらない式の提供を始めるということですね。愛知県名古屋の会社が始めたサービスなんですが。

武田
武田

なるほど。

篠原
篠原

この取り組みによって、もう一段階無宗教化が増すのではないかと感じました。

武田
武田

日本人は普段宗教をあまり意識してないけれども、正月になったりすると、一気に意識しますよね。何となくお寺さんとか行かないと、新年が始まった気がしないと言ってね。

篠原
篠原

一年間を通して宗教に触れる機会というのは比較的少ないですが、お盆や正月はそうなりますよね。お葬式に関して言うと、仏教式でおくる方が多いですが、この”仏教式”というところも大きく変わってきています。先程の、人前式という式典を以て行う人もいれば、少し極端ですが、火葬式だけ、いわゆる宗教的な儀式を全く行わないということも徐々に増えてきています。

武田
武田

篠原さんのところも、火葬式が増えてきていますか?

篠原
篠原

増えてきているなぁと実感していますね。そういった宗教儀礼がない火葬だけのものを、火葬式や直葬(ちょくそう、じきそう)と言います。2013年にNHKの調査で、火葬式が行われている比率が関東近郊、つまり東京や長野も含まれていますが、そこで22%。

武田
武田

結構多いね。でも7年前でしょう?

篠原
篠原

そうですね。で、東京では火葬式の比率が4割と言われていまして、地方に行くと当然比率は下がりますが、5件に1件、20%以上が火葬式だということになりますね。

武田
武田

そうなんだ。火葬式というのは、亡くなったら火葬場へ行くだけなんですか?お参りとかそういうのはないの?

篠原
篠原

そうですね。多くの場合は無宗教で行われますし。

武田
武田

ふーん。

篠原
篠原

ただ、ここで一つ感じることとして、家族が亡くなって、火にかけるというのは、大きな超越がありますよね。

武田
武田

そうだよな。

篠原
篠原

土に埋めるというのも超越を感じますが、大事な家族を火にかけるということに対しても、やはり抵抗感がありますよね。その時に、宗教が解釈や意味を与えていたと思うんです。なので、無宗教と言うと、火葬に付される場面で、心の安心に繋がるものが必要ですよね。

武田
武田

火葬式をする人っていうのは、心の拠り所みたいなものをどういう感じで求めるんだろうね。あるいは、元々求めてないのかね?

篠原
篠原

調査結果がある訳ではないですが、求めていないといいますか、なるべく簡素化して、経済的な負担、日数的な負担を減らしたいとか、関わる人たちを最小限にして行いたいという人たちが多い印象ですね。

武田
武田

なるほど。

篠原
篠原

ちなみに、家族葬の比率は、2013年のNHKの調査では全体の3割ぐらいだそうで。とはいえ、半分は一般的なお葬式で、3割が家族葬で、残りが火葬式ですが、逆に言うと、半分ぐらいは密葬化していて、告知をせず、かつてのような近所の手を借りるようなことはしない形式になってきていますね。その中でも、2割の人たちは、無宗教であると。昨今、お寺受難の時代と言われていて、例えばお寺をめぐる環境の変化という意味で2つのニュースがあります。1つは、2009年から始まっている宗教者派遣サービスです。これは、お寺との付き合いがない方にピンポイントで、お葬式、法事の時だけ、和尚さんを派遣するというサービスなんです。これは、イオンが2009年に初めたもので、当時様々なニュースになりましたが、中でも話題になったのは、価格なんです。

武田
武田

ああ。

篠原
篠原

最小価格で、35,000円払えば和尚さんが来て、簡易なお葬式をしてくれる。

武田
武田

まあ、言ってみればお安いよね。

篠原
篠原

極端に安いですよね。導入が進んで11年経ちましたが、現在、目に見えて増えてきていると感じます。特に、軽井沢や都市部から来てるけれども、普段付き合いのあるお寺がないという方が増えてきていると感じますね。

武田
武田

はい。

篠原
篠原

あと、2017年からのサービスで、ロボット僧侶という。

武田
武田

なんだね、それは?

篠原
篠原

ソフトバンクで、ペッパーくんっていましたよね?

武田
武田

いましたね。

篠原
篠原

ペッパーくんに、読経をする機能を付けて。

武田
武田

ロボットが読経するの?これは有り難くないね…俺は拒否したいね!遺言で言っておこうか、ロボットで読経はやめてくれって(笑)

篠原
篠原

まぁ、少し有り難みを感じませんが、導入が進んでいる話題のサービスなんです。ただ、これはロボットが単体で来るのではなくて、一応福導師として人間のアシスタントも同行するもので、価格はお通夜とお葬式の2日間で来てもらって50,000円ぐらい。…ちなみにペッパーくんは木魚も叩いてくれるそうです(笑)

武田
武田

(笑)

篠原
篠原

これは、プラスチック製品の開発をしている会社が2017年に発表したものですが、今日現在導入が進んでいるかと言うと…進んでいる訳ではなさそうです。

武田
武田

なるほどね。

篠原
篠原

とはいえ、お寺が非常に環境の変化の中にあって、一番大きな原因が過疎化にあると。

武田
武田

ああ、過疎化か。

篠原
篠原

高齢化などの問題もありますが、過疎化が一番大きな理由だと言われていますね。お寺というのは元々、ある意味で経営の基盤が集落でしたので。

武田
武田

ですよね。

篠原
篠原

若い人たちが都市部へ移動したり、限界集落化してくると、お寺を支える基盤がどんどん細くなっていって、維持ができない所が出てくると。ちなみに、日本に3千万人しかいなかった江戸時代には9万お寺があったのですが、今日現在、2020年では5万近くに減っていて。

武田
武田

今、人口は3倍以上になってるんでしょう? 5万になっちゃったんだ。

篠原
篠原

なぜこんなにお寺の数が減ったのかというと、江戸というのはちょっと特殊な時代でしたよね。

武田
武田

そうですよ。もう全部仕切ってたからね、戸籍も全部持ってたから。

篠原
篠原

つまり、市役所がお寺だった。

武田
武田

そういうことでしょうね。

篠原
篠原

お寺が教育の機能を果たしていて、寺子屋や公民館としての寄り合い、住民会議、更に戸籍の管理、結婚や死亡、あと、出稼ぎに行く転籍なども全てお寺で管理していて、加えてお祭りや収穫祭とかは、やはりお寺を中心に組み立てられた訳ですよね。今は地域により、それをさらに細分化してお寺ごとに管理されていますが。こういった江戸の時代からすると、途中に明治とか、占領下の時代、GHQの時代にも大きな変化がありました。GHQがもたらした大きな変化は、農地改革ですね。お寺の経済基盤の大きなところで、農地があったのですが、これが解体されて分割されたと。そして現在は集落が限界集落化、過疎化という…。

武田
武田

うーん。

篠原
篠原

お寺がこれからの時代厳しいとは3~40年前から言われていましたが、目に見えて変化が著しくなってきたと昨今の中で感じます。

武田
武田

しかし我々も、いずれはあの世へ旅立つわけですから。こういう社会情勢がどういう状況なのかを知るのも、非常に必要なことだと思いますよ。

篠原
篠原

なんというか、弔い方というのは時代を反映しますが、現在は少し簡素化されすぎていると感じますね。これは時代によって手厚くなったり薄くなったりするものですが。

武田
武田

あまり軽くなると、今度は反動みたいなものが起こるかも知れませんがね。まぁ、我々が小さい頃から今の社会情勢を見ると、随分変わったと思います。

篠原
篠原

本当ですね。携帯電話一つで様々な機能がポケットに入っちゃう時代ですから。

武田
武田

そういうことですよね。

篠原
篠原

考えられない時代になってきていますよね。

武田
武田

本当にそうですよね。では、おくりびとからのメッセージ、篠原さんのお話でした。

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