武田徹:現在「アンチエイジング」という言葉がよく言われておりますが。
篠原憲文:はい。
武田徹:実際に効く何かがあるんですか?
篠原憲文:実は密かに話題になっている、エイジングテックと言うそうですが。
武田徹:エイジングテック?
篠原憲文:テック=技術ですね。いわゆる年齢に対して科学で立ち向かっていこうという取り組みですが、実はここ5年程の間に、いわゆる不老不死を。
武田徹:不老不死(笑)
篠原憲文:それを目指したアメリカ西海岸のベンチャー企業が、様々な大きな発見をして注目を集めていて、そうしたベンチャー企業への投資も盛んに行われていて。
武田徹:なるほど。
篠原憲文:1998年にアメリカでGoogleという検索会社が。今は本当にメジャーな会社ですが。
武田徹:はい。
篠原憲文:この当時を思い起こすようだと言われるぐらい、不老不死がこれからのスタンダードで、そういう技術がなっていくだろうと言われていて。
武田徹:うーん。
篠原憲文:あまり国内でニュースにならないのですが。
武田徹:ならないよね。1998年って長野オリンピックが開かれた年ですよ。
篠原憲文:そうですね、そのインターネットがこれから凄くなるぞ、と言われていた当時のような活況を呈してるのではないかと。
武田徹:なるほど、アンチエイジングテックが。
篠原憲文:そうなんです。ちょうど昨日、政府が認知症について数値目標を出して、認知症にかかる人を減らそうということで物議を醸していますが。
武田徹:はい。
篠原憲文:そんな情緒の無い数値目標でどうなんだという話もありますが、この数値を追い求めていく中で、超高齢化社会に対して長寿化することで解決を見出そうとしている会社の取り組みがありまして。
本日はアンチエイジング、長寿化についてご案内したいと思っていて、 実はこの界隈は様々な所で盛り上がりを見せていまして。
武田徹:はい。
篠原憲文:例えば、健康、介護、医療といった分野もそうですが、この他にいわゆる長寿化していく先のコミュニティー、共同体を作っていくことも盛り上がっていますし、後は最近スマートホームなんて言われますが、リモコンではなく声とか目の動きとか、いわゆる体の動きを最小限にして、生活の質を上げていこうという取り組みだとか、実に色々な所で注目を集める取り組みがあるのですが。
武田徹:なるほどねえ。
篠原憲文:この「アンチエイジング」について、今日は2つご案内したいと思っていて。
武田徹:はい。
篠原憲文:長寿化のがどれだけ人類にとって大きなインパクトがあるかというのを端的に示した言葉がありまして。
武田徹:おぉ。
篠原憲文:仮に、全世界から全ての癌を克服したとしても、人類全体の平均寿命というのは、4年しか延びないという。
武田徹:あ、そんなもんなんだ。
篠原憲文:そんな説があるんですね。
武田徹:へぇ。
篠原憲文:ただ、仮に老化を遅らせることができるならば、健康寿命を10年も20年も延ばせる可能性がある。
武田徹:そうか、細胞の老化を防ぐことによって、10年か20年寿命を延ばすことができる可能性があると。
篠原憲文:そう言われていまして、例えばこの研究をしている人たちの間でよく語られる話しで、蜂の話があるのですが。
武田徹:おぉ、ローヤルゼリーの。
篠原憲文:ローヤルゼリーの蜂ですね。
武田徹:女王蜂かぁ。
篠原憲文:はい。寿命と食事とか、環境の関係の話で、蜂って生まれたときは皆同じなんですね。
武田徹:そこなんだよな。
篠原憲文:皆同じで生まれたはずなのに、ロイヤルゼリーを食べたその1匹の女王蜂は他の蜂に比べて、寿命が何倍も延びる訳です。
武田徹:しかも、物凄いエネルギーあるでしょうね。
篠原憲文:体も大きいですし。一般的な働き蜂の寿命は、約2週間と言われますが、ロイヤルゼリーを食べた1匹の女王蜂は寿命が2年ということで。
武田徹:凄いよね、何十倍になる?何百倍?何百倍だよね。
篠原憲文:本当ですよね。生まれた後に寿命が驚異的に変化するというのは、蜂に留まらず人間に対してもあるのではないかということで。
武田徹:それは仮説としては面白いねえ。
篠原憲文:そうですね。
武田徹:だから生まれたばっかの食料をローヤルゼリーのような状況でやると凄いよ、600歳まで生きるとかね。
篠原憲文:そんな可能性があるのではないかということで、既に実用化され販売されている若返りの薬というのがありまして。
武田徹:それって効くわけ?
篠原憲文:Amazonってご存じですか?
武田徹:はいはい。
篠原憲文:インターネット通販のAmazonで、既に買える状況にあるのですが。
武田徹:なるほどぉ。
篠原憲文:NMNという、正式名ニコチンアミドモノヌクレオチドという。
武田徹:飲んでるの?(笑)
篠原憲文:いや私は飲んでいないのですが(笑) 飲んでいると公言されている方には例えばホリエモンという、堀江貴文さんとか。
武田徹:あぁ~。
篠原憲文:今宇宙開発技術をやっている。
武田徹:彼は飲んでるの?
篠原憲文:彼は飲んでいると公言していますし、米国では比較的サプリのような形で飲まれる方が結構多いそうで。
NMNは若返りの薬と呼ばれていまして、Amazonだと大体安いものは3千円ぐらい、高いものだと2万円から10万円を超えるものもあるのですが。
武田徹:だけどこれずっと飲み続けなきゃいけないんじゃないの?
篠原憲文:そうでもないようで。
武田徹:ああ、そう。
篠原憲文:配合量によって金額が違ったりするようなんですが。
武田徹:うーん。
篠原憲文:この物質はマウスで既に結果が出ていまして、2016年に当時人間でいえば60歳にあたる生後22カ月のマウスにこの物質を投与したところ、1週間後に、生後6カ月のマウスに相当する程の筋肉になっていたと。
武田徹:(笑)
篠原憲文:人間でいうと、20歳ぐらい。
武田徹:本当かね?
篠原憲文:マウスに関して言えば、1週間という期間で40歳の若返りをしたという事ですね。
武田徹:ほぉ。
篠原憲文:脳や皮膚にも効果があるかというのは追検証されてるのですが。
武田徹:ふーん。
篠原憲文:筋肉についてはそのぐらい若返ったという結果が、マウスではあるんですね。
武田徹:そうか。でも筋肉だけでも若返ると大分違うからね。
篠原憲文:そのようなんですね。どうも老化の原因と呼ばれるのが、このNMNという物質が加齢と共に体内から段々減っていくのが老化の原因だと考えられていて、いわゆる体の修復機能に関係する物質らしいのですね。
武田徹:そういうことかぁ。
篠原憲文:ということで、ここ5年ぐらいの中でそういうものが発見され発表されて、実は人間に対してももう既に利用されているという環境があるということで。
武田徹:はい。まずこれ1つね。
篠原憲文:そして2つ目が「メトホルミン」というもので。
武田徹:ほぉ。
篠原憲文:これは元々糖尿病の患者さんに向けて投薬された薬のようなんですが、寿命を延ばす効果があると注目を集めていて。
アメリカにFDA(アメリカ食品医薬品局)という機関があるのですが、ここが世界初となるアンチエイジングの薬として運用していく事を許可したと以前ニュースになったのですが。
武田徹:はい。
篠原憲文:メトホルミンといわれる物質を適切に使うことができれば、例えば寿命が100歳の人であったら、120歳まで生きることができるようになるだろうと。
武田徹:20%伸びると。
篠原憲文:そうなんです。例えば今現在70歳の人に適切に使うことができれば50歳並みの健康が得られるはずだ、ということで研究をしているそうなのですが。
武田徹:ほぉ。
篠原憲文:このメトホルミンで期待されてるのは、実は「寿命脱出速度」という言葉が。
武田徹:寿命脱出速度。
篠原憲文:最近米国で出来た造語なのですが、この寿命体質速度というのは何かというと、例えば今60歳の人に30年という健康余命を与える技術が確立すると、この30年間の期間、次の30年の間に90歳になった時点で、今度更に30年の健康余命を与える技術を開発できるというのです。これを繰り返していくと、事実上不老不死が達成できるのではないかと言われていて。
武田徹:(笑)
篠原憲文:で、これがですね、今後25年の内に人類は寿命脱出速度に到達すると言われているんですね。
武田徹:なるほどねえ。
篠原憲文:ですので、日本国内では認知症の数値目標といって色々な反応が起きている中ですが、一方では自分に対して科学的なアプローチをして数値で結果を出そうとして、且つ民間の投資を多いに集めて、注目を集めています。
武田徹:これは人気あるでしょう。もし実現したら大変なことだものね。
篠原憲文:そしてこのメトホルミン、実は安いんです。
武田徹:ほぉ。
篠原憲文:1日のコストが約8円といわれていまして。
武田徹:えらい安いじゃないですか。
篠原憲文:これは継続していく薬のようなのですが、意外と健康長寿が安価に手に入る時代が来るのではないかというのも期待されていて。
武田徹:そういう研究をして、ベンチャー企業として投資をする方も多いというのはよく分かりますよね。本当に不死になったら困ると思うよ。
篠原憲文:そうですね。実際に選べるようになった時にどうするかというのは、選ばない人もいると思うのですが。
武田徹:そうでしょうね。私が心配なのは、環境問題がこれほど深刻化しているんだから、本当に環境大丈夫かね?そっちの方が俺は心配だね、地球環境の方が。
篠原憲文:世界的に見ると、人口爆発で食糧危機なんて言われていますよね。
武田徹:食料を食べなきゃいけない訳でしょう?
篠原憲文:そうですよね。
武田徹:そちらの方でそれがずっと続いて、死ぬ人が少なくなったら、えらい騒ぎになりますよ。
篠原憲文:えらい騒ぎですよね。
武田徹:そういう問題もあり得ると。
篠原憲文:未来の話の様ですが、最近こういう研究結果を発表されて、25年後にはもしかしたらそんな日が来るかも、と言われていると。
武田徹:なるほどね。面白い情報をお話していただきました。
いつものように、つばさ公益社の篠原憲文さんのお話しでした。