2020.01.18 おくりびとからのメッセージ  「日本の自死」

武田

篠原さん、今日はどういうお話しでしょうか?

篠原

今日のテーマは「日本の自死」いわゆる自殺についてです。実は、国内での近代の統計が、昭和53年に始まって以降、最も少なくて。

武田

少ないんだね。

篠原

昨日の発表で、調査開始以来初めて、2019年に自殺者が2万人を下回り、遂に1万9千人台に入ったそうなんです。

武田

なるほど。しかし2万人と言えど、結構多いような気もするけどね?

篠原

そうですね。ここ10年ぐらいで、政府やボランティア団体の活動の効果が出てきて、近代に初めて2万人を下回る結果になりましたが。内訳を見てみますと、男性が大体1万4千人くらいで、女性が6千人ぐらいですね。

武田

男性が圧倒的に多いね。

篠原

男性は女性に比べて、2.3倍もご自身で命を絶ってしまうことが多いそうで、原因は終業や失業なんです。

武田

なるほど。

篠原

経済的な理由が女性より突出して多いんです。で、国内の自死について統計を振り返ってみると、かつて注目されたのは1998年の頃で。

武田

ちょうど長野の冬季五輪が行われた年じゃないですか?

篠原

そうですね。この時、バブルの崩壊と共に、金融機関の倒産や大手証券会社の倒産があった影響で、1998年に初めて統計市場3万人を超えまして。

武田

それと比べると随分減ったね。

篠原

ちなみに、2011年の統計まで3万人を超えていて、当時はニュースでも自死の防止についてや報道のあり方について取り上げられるほどした。特に、2007年はリーマンショックなどもありましたが。

武田

ありました。リーマンショックの後も増えたでしょうな。

篠原

やはり3万人を超えて、3万5千人近かったようですね。

武田

やっぱりなあ。

篠原

原因として、経済的な理由というのが非常に大きかったですが。

武田

アメリカのリーマンが世界中に影響を与えて、日本人の自殺も増えるというのは、本当にグローバルな嫌な時代になったものだよね…。

篠原

世界は繋がっていて、遠くの国の話しでも他人事ではないということですよね。

武田

本当にそうだよなぁ。

篠原

こういった、経済的な理由で思い詰めてしまう方が統計市場では年々減ってきていますが、近年で最も多い理由は、健康上の理由で65%ぐらい。

武田

うーん。

篠原

つまり、多くの方が健康を理由に自死してしまうと。

武田

絶望しちゃうのかな?

篠原

そうかも知れませんね。ちなみに、年代ごとでいくと、20代〜80代までの1位が健康上の理由であるそうです。

武田

ほぉ。

篠原

10代は、実に様々な事に悩みますよね。

武田

分かります。青春時代ですよ。

篠原

10代の悩みの一番上に来るのは学校についてだそうです。閉ざされた環境の中というのは、色々な悩みが出てくるものですから。ちなみに、国内で10代の死亡率が高まっていて、改善しないといけないという話が出ていまして、10代の日本人が年間どれくらい命を落としてしまうのかというと、大体600人くらい。

武田徹:なるほど。

篠原

そして、率ですと少し見誤ってしまうことがあるという思いもありまして。というのは、世界的に見ると、10代の死因1位は交通死亡事故なんです。

武田

これは分かりますね。

篠原

2番目は呼吸器官の疾患。大気汚染が激しかったりすると、呼吸器が原因で亡くなることが多いのですが。

武田

これも、地球環境の悪化が及ぼしたものだよね。

篠原

それに比べて、日本では交通事故で亡くなる人は年々減ってきていて、4年連続で4千人を下回ったというニュースが最近話題になりました。 事故数というのは、1年間で大体50万件くらいなのですが、自動車の事故で亡くなる人が減ってきているようです。つまり、日本では自動車の安全性能も高まってきていて、交通事故で亡くなることが減ってきているということで。現実は、60代以上の男性の健康への心配といいますか。

武田

あぁ、そうだろうな。

篠原

高齢の方の自死の数が、全体の数からすると大体半分くらいなので、特に健康を失ってしまいがちになる60歳を過ぎた時にこそ、心の健康に気を付けたいですね。

武田

そもそも、心の健康とはどういう状態を言うんですかね?誰だって、60過ぎればどこかしら具合い悪いよ。全く健康な人はそんなにいないんじゃないの?

篠原

心の健康が失われてしまうということは、絶望したり、目標を見失ったり、生きる意味を見失ってしまうということが根本にあるようです。

武田

それは、本当にあると思うね。

篠原

65歳を過ぎて定年退職をして、かつての役割が減っていって、生きる意味を見失ってしまうというのが男性の傾向としてあるようで。

武田

そうなんだろうな。

篠原

女性は、コミュニケーション能力が高くて、友人と会ったりなどしますから。

武田

女性は、子供がいたら、PTAの関係とかで友達ができるんだよね。男は外で働いてるきりでしょう?それが、私は大きな差だと思うね。

篠原

女性って不思議で、母親になると、共通点は母親というだけで、背景が様々…。

武田

変わるでしょ?

篠原

はい。

武田

子供がいる場合、圧倒的に違った環境になりますよ。父親も同じだと思うけど、母親の方が影響は大きいだろうな。

篠原

確かに。父親以上に、母親が色々な環境に身を置かれますし、その中でコミュニケーションをとりながら物事を進めていますからね。そして、男性社会の難しさというのが統計で出ていまして。

武田

うん。

篠原

かつての自殺白書という政府発表を調べたときに、男性自衛官の死亡者数が突出して多かったようです。

武田

自衛官が?

篠原

防衛の任務にあたっている方が多いそうです。何故かというと、男性比率の高い職場だからで。

武田

確かにそうだね。

篠原

構造的にいじめの問題が起きやすいと指摘されています。男性社会で上下関係が厳しい世界、こういう所はあまり環境としてよくないですね。

武田

企業でも男性だけの方が。

篠原

問題が起きやすいそうです。

武田

なるほどな。

篠原

男性の生き辛さは年を増すごとに増えていきますので、色々なコミュニティーに出て行くことが大切になってきます。

武田

大事なことだね。

篠原

武田先生は、新しい楽器に挑戦されているようですが、そういった創作活動や、一人で向き合える趣味もいいですよね。

武田

そうだね、そうやって希望を持つことはいいことです。こんな話がありまして、ヴィクトール・フランクルという心理学者が、アウシュヴィッツで亡くなる人を観察していて、その中で早く亡くなる人というのは、希望を失った人だそうです。多くの方が、次のクリスマスまでに必ず援軍がやってくるという希望を持っている中、クリスマスが過ぎても援軍がやってこないと、希望を失ってかなりの人がバタバタ亡くなっていくんだって。

篠原

なるほど。

武田

ところが、絶対に生きるんだという信念を持っている人は生き延びたという研究記録があるみたい。だから、絶望すると駄目なんだな。

篠原

実は、時期や曜日によって死亡率は変わるのですが、月曜日は特に、多くの男性の方が命を落とされていて。

武田

会社や学校に行くのが嫌なんだよ。自死に繋がる人は少ないとは思うけどさ。

篠原

18歳以下の比率分析を調べると、9月1日が突出して多いそうです。

武田

それもそうだよな。夏休み終わって学校行くのが憂鬱なんだよなぁ。

篠原

8月31日~9月2日の3日間が非常に多いそうですね。

武田

なるほどね。

篠原

ちなみに、全体では、季節でいくと3月が最も多くて、2月は逆に凄く少なく、3月~6月にかけて多くなるようです。

武田

先程、希望という話をしましたが、世の中が与えてくれるものではないからね?

篠原

そうですね。

武田

自分で希望を見つけなきゃいけないんです。

篠原

自発的に自分の内側から沸いたりする場合もありますね。

武田

だから、日頃から将来やりたいこと、まだやり足りないってことを考えて生きる必要はあるんじゃないのかな?

篠原

高齢の方は、特にそうですね。

武田

そういうこと。

篠原

今から何を取り組もうかという、目的があるといいと思います。

武田

今年、何をするかまだ悩んでいる方、是非、やりたいことを見つけて実現してくださいね。

篠原

そうですね。

武田

夢を持続して持っていただけると、健康的に生きる1つの火となりますから。それでは、本日もお話し、ありがとうございました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です