2016.12.17「生死観で変わる人生」

おくりびとからのメッセージ

武田
武田

今日はどんなお話なんですか?

篠原
篠原

今日は「死生観」についてお話していこうと思います。生き死についてどう考えるかというのが死生観と言いますが、死というのは必ずしもマイナスな影響だけではなくて、死を意識することによって生きている時間がより輝くこともあるわけで。

武田
武田

そうですね。

篠原
篠原

国によっては、死生観を学問として教えている国もあって、フランスの方では授業で扱ったりすることもあるようですね。

武田
武田

死生学ですか。面白いねぇ。

篠原
篠原

死への準備教育というような意味合いになるわけですが、現在日本では、死の準備教育というのが、ある側面で非常に求められています。

武田
武田

本当は、やったほうがいいと思うんだけどね。

篠原
篠原

高齢化したり、亡くなる人が増えるということは死に接する人も増えますから。やはり、死というのは多大なる影響を周囲にもたらしますよね。家族だけではなくて、医療機関の方もそうですし。そうした中で、死の準備教育として死生観という。まぁ、タブー視されていて、正面切って話す機会が少ないですが。

武田
武田

だけど、これから病院で亡くなる方が多くなっていくでしょ?我々が子供の頃は、自宅で亡くなるのが当たり前だったけど。

篠原
篠原

亡くなる過程を見る機会がありましたよね。

武田
武田

これからますます団塊の世代が高齢化するにつれて、病院でも病床数が限られて、在宅で看取りをするケースが増えると思いますね。

篠原
篠原

そうなると、家族にとって、段階に沿って接していく中で、最期のお時間を過ごすと思いますが、そういった意味でも、死生観について見ていけたらと思います。

武田
武田

そうですね。

篠原
篠原

2016年10月、死生観の1万人アンケートというものがありまして、10~80代までの方を対象にしたもので、「あなたは死を考えたことはありますか?」という問いかけに対して、考えたことがある人は65%くらい。で、ない方が35%くらい。

武田
武田

結構多いね(笑)年齢によっても違うんだろうけどな。

篠原
篠原

逆に、10~20代が死について考えることもあると思いますが。

武田
武田

最近、自殺する子供が多いからねぇ。

篠原
篠原

そうですね。意外に、3割以上の人が考えたことないということでしたが、その中で「自分なりの死生観を持っていますか?」という問いかけに対して、ある方は10%に満たない。9.5%だったのですが。

武田
武田

ほぉ。

篠原
篠原

自分の死生観を持っていない方が9割を超えているようでして。そもそも、死生観って何でしょう、というところですよね。

武田
武田

そういうことですよ。

篠原
篠原

宗教的な側面から見た死生観。つまり、死の後に、どういった過程を経て解釈し受け入れていくか、あと、哲学的な側面から見た、生き方としての死生観だとか、様々な角度から見れるものだと思うのですが。

そして宗教についての質問もあって「あなたは宗教の信仰をしていますか?」という問いかけに対し、していないという方が66%くらい。

武田
武田

ということは、宗教的な人も結構多いんだね。私は、日本人で宗教的なことを考える人は少ないと思ってたけど、そうでもないんだなぁ。

篠原
篠原

特定の宗教の信仰をしているという方や、どちらかといえばしているという方は、20%くらい。

武田
武田

まあ、そんなもんだろうな。

篠原
篠原

やはり表立って答えづらい側面もあるかも知れませんが、特定の宗教の信仰をしていないという方や、無宗教の方々が半数以上いるという結果で。そして「死後の世界って信じていますか?」という問いかけに対しては、信じていない方や、死ねば無になると回答している方が、3割くらい。

武田
武田

ほぉ。

篠原
篠原

非常に唯物的な考えですよね。もしくは、死後について考えたことがないという人も3割くらいで、以外にも、高齢者の方がそう答えたり。そして、先祖の死後の世界を信じていて、仏壇を拝んだり、お墓参りをしている方もいますし、人によって直近のテーマとして捉えている人もいれば、自分は関係ないと興味関心が向かない方もいて、非常に十人十色であると、このアンケートを通して感じますね。

やはり、死を意識するというのはすごく大切なことですよね。特に、死生観を持っていると、3つの大きな力が生まれてくると言われていまして。

武田
武田

なるほど、どんな力ですか?

篠原
篠原

第一に生まれてくる力というのが「時間密度」というものでして、亡くなることを考えると、逆算して時間を考えるようになります。そうすると、時間密度が高まって、今の時間をより良く過ごそうとなるわけです。テーマを持って生きようとか、出掛けて色々なものを見ようとか、美味しいものを食べたいだとか、死を意識すると、そういった考えが出てくるようですね。

武田
武田

なるほど。

篠原
篠原

そして二つ目は使命感。何に命を使うか、ということで。

武田
武田

はい。

篠原
篠原

そして、三つ目に逆境力。死を考えるというと非常に極端ですが、亡くなると無になるという考えが3割ですから、亡くなるくらいならこのくらいの失敗は気にならない、というような逆境力が生まれてくるようですね。

武田
武田

なるほど。

篠原
篠原

斯様なように、死というものを遠くに感じている人もいる中で、近くに捉えながら、今生きている時間をよりよく過ごそうと考えることは、非常に大事だと思います。昔から語られている、経営者に向けての格言があって、経営者として大成するには3つの体験が必要で、そのいずれかを持たねばならぬという。

武田
武田

なんでしょう?

篠原
篠原

「戦争」「大病」「投獄」の3つで、経営者として大成するには、このいずれかが必要だそうです。

武田
武田

必要だって言ってるんだ(笑)これ、日本じゃないでしょう?

篠原
篠原

これは、ヨーロッパの話ですね。

武田
武田

そうだよね。

篠原
篠原

これは、死生観もしくは騎士道を語っているようだと。

武田
武田

そうだろうねぇ。ヨーロッパでは、江戸時代にずーっと戦争をやっていますからね。

篠原
篠原

戦争の歴史が長いですよね。その中で、そこを意識すると生き方が変わってくるという…端的な例だと思いますがね。

武田
武田

なるほど。

篠原
篠原

少しお伺いしてみたかったことがあるのですが、武田先生は、齢36のときに肝臓の病を患ったと伺いまして。

武田
武田

そう。昔から自分は健康だと思ってたのよ。ところが36歳のときに、本当に疲れちゃってしょうがないというような状況になって、医者へ行ったんです。そうしたら、肝臓が良くないと。

篠原
篠原

自覚症状があったんですね。

武田
武田

もう疲れて疲れてしょうがなくて。朝から、箸が重いとかね。で、酒好きだったのに、酒が不味くなってきて医者へ行ったら、血液検査で肝臓の数値が悪いと。だけど、仕事が忙しいから、点滴を打ちながら、それでも4ヶ月くらい仕事を続けていましたね。

篠原
篠原

なるほど。

武田
武田

SBCの何周年記念という特番を担当したんですよ。15時間くらいの生放送をず~っと。

篠原
篠原

15時間ですか!?大きな仕事ですね。

武田
武田

それをやったら流石に疲れ切ってね、病院変えた。そしたら、すぐに入院しないと死ぬぞって言われて、さすがにこの「死」ですよ。死に直面したんだよ。

篠原
篠原

そうですね。

武田
武田

これはマズイなって思って、そこから二ヶ月間入院。でも、その二ヶ月間は、今考えると本当にいい入院でしたね。

篠原
篠原

働き盛りの二ヶ月間ですね。

武田
武田

焦りもあるよな。同期の連中はバリバリ仕事してるでしょう。俺も今までバリバリ仕事をしていたという自覚はあったんだけど、これで置いていかれちゃうかなって、思うじゃないですか。

篠原
篠原

ありますよね。

武田
武田

それと同時に、今までの人生を振り返るということがなかったわけですよ。36年間。

篠原
篠原

疾走してきたわけですよね。

武田
武田

前っきり見てたね。だけど、病気になると、これからどうやって生きようとか、まさに死生観。どうしても考えるようになるんです。

篠原
篠原

そうですね。

武田
武田

ひょっとしたら、寿命が短いということもあるわけじゃないですか。

篠原
篠原

当時、お医者さんにはなんと言われたんですか?

武田
武田

命なくなるぞーとは言われたけど、長い間病院にかかれば必ず良くなるからと、当然言われるよね。

篠原
篠原

だけど、考えちゃいますよね。

武田
武田

うん。今までのようには無理だと。で、過去を振り返ると、勉強を全くしていないことに気がついたんだよ。大学時代はジャズに影響を受けてあっちこっちで演奏旅行してたんだよね。

で、勉強するなら好きなことをやりたいな~って思って、歴史の本を読もうと思って。これは受験用の歴史じゃないから。信長とか秀吉とか、好きな人物の本から読むようになってね。退院してからも、徳川家康といえば関ヶ原だから、行ってみようと。で、ここに家康がいて向こうに三成がいたんだなぁとかね。竜馬も好きだったから竜馬のお墓も行ったね。

篠原
篠原

健康な状態では、そう行動しようと考えなかったかも知れませんね。

武田
武田

考えなかったね。で、そういうことをするうちに歴史が非常に好きになって、そういった先代の人たちの本を沢山読みましたよ。過去を知るには本を読むしか無いから。

篠原
篠原

そうですね。

武田
武田

で、いろんな生き様を知って、なるほど、素敵な生き方をする人がいっぱいいるんだなぁと思って、じゃぁ俺はどういう生き方をしていこうかと考えるいいきっかけになりましたから。病っていうのは、必ずしもマイナスではないんだよね。

篠原
篠原

そうですね。

武田
武田

と、いうのが病気になって一番の収穫だったね。

篠原
篠原

本当に、貴重な二ヶ月間だったのかも知れませんね。

武田
武田

普通は、全く休めないもん。

篠原
篠原

強制的に休まされるというのも中々辛かったところもあると思いますがね。

お話変わりまして、死生観は、流されない人生を歩むための、船で言う、イカリになるという話がありまして。

武田
武田

あぁ。

篠原
篠原

自分の軸足をどこに置くのかという時に、死生観があれば流されないそうです。生死の深みにおいて、自分を振り返るというもの、死生観ですよね。そして、田坂さんという、ビジネスの本を書かれている方が、ビジネスの三冠「死生観を持つ」「世界観を持つ」「歴史観を持つ」ことが大事だと仰っていまして。

先程の武田先生のお話もそうですが、歴史の深さや流れから学ぶことって多いですよね。

武田
武田

本当にそうだよね。人の人生っていうのは、先達に学ぶしかないじゃないですか。

篠原
篠原

そうですね。身近な家族や歴史の人物から、様々な生きた時代が見て取れますよね。やはり、死生観を意識するというのは、人間特有のものではないかというのがありまして。

武田
武田

人間以外の動物は、死生観を持っていないと思うよ。

篠原
篠原

自分は死すべき存在だと、死の間際や病になっていなくても考えたりしますよね。動物で死生観を持つのは、唯一人間だけではないかと言われているようです。死を考えて逆算していくことで、今の時間が変わってくるというのを改めて感じました。

武田
武田

是非聞きたいことがあるんだけど、篠原さん、今年は如何な年でした?

篠原
篠原

先日、12月ということで、今年の漢字を夫婦で考えたんですが。

武田
武田

ほぉ、なんだね?

篠原
篠原

僕は「変」という字で、妻は「動」という字だったんですけど、私それを見て反省しましたね。今年、引っ越しを4回しまして、非常に苦労をかけたなぁと思いまして。

武田
武田

なるほどねぇ。

篠原
篠原

ちょっと腰を据えて仕事ができたらいいかな、と思いますね。忙しかったなぁと思います。

武田
武田

私の今年の漢字は、「常」だね。常に変わらずという。去年と変わらないと思う、俺は。

篠原
篠原

でも、それはそれで非常に貴重なことですよね。

武田
武田

変動と真逆な感じですが(笑)というわけで、来年もよろしくお願いします。ありがとうございました!

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