武田徹:30周年記念イベントに篠原さんもお出になられまして、ありがとうございました。
篠原さん、30周年記念イベントにお越しいただきまして、ありがとうございました!
こちらこそ、ありがとうございました。
お便りをいただいております。松本市の福澤みな子さん。
ありがとうございます。
「先日30周年イベントに、松本から友人と参加させていただきました。和やかな雰囲気の中、パーソナリティーの先生方のお顔を拝見できて、とても嬉しかったです。私はどうしても篠原先生にお会いしたくて、とてもこの日を楽しみにしておりました。」嬉しいねぇ。
ありがたいですね。
「私はどうしても篠原先生にお会いしたかった。穏やかな話し方で、きっと優しい方だろうと思っておりました。偶然にも近くのテーブルにおられまして、ラジオでお聞きする時と同じで、ゆっくりと優しい口調でお話しをしていただき感激でした。私は5年前に病気で夫を亡くしております、篠原先生のお話しをお聞きするたびに心が癒され涙が止まりません。私の気持ちを分かってくれる方がいるんだと、毎回気持ちがとても楽になるんですね。快く一緒に写真も撮っていただき、ありがとうございました。」
はい。よく覚えております。本当にありがとうございました。
ありがたいですね。
本当に、ありがたいですね。
みな子さんのお話のとおり、ご自分の気持ちを誰かが分かってくれると思っただけで、非常に心が楽になる。
そうですね。
人間ってやっぱり、孤独というのは非常に寂しいもんだからね。
本当ですね。共感したり、お話ししたり、理解してくれる人がいると、本当に孤独が癒やされるものですよね。
そうですよね。
この番組も、どなたかのお力になれていると思うと、大変ありがたいです。
我々もそう、生きがいになりますから。
そうですね。
今回は「孤独」というテーマですね。
はい。「孤独」は現代の流行病と言われるようになってきました。おくりびとからのメッセージという意味では、孤独死や無縁死など、いわゆる孤立による死が一端のメインの領域になるのですが、孤独というのは大きく2つに分類されるんです。
ほぉ?
例えば、英語でいくとソリチュード。
ありますね、ソリチュード。
これは、どちらかというと、ポジティブな意味での孤独。孤高とか孤独という、割とプラスの意味合いで使われるものです。一方で、ロンリネス。
ロンリネス。
ネガティブというか、疎外感を感じたり、隔離されたりという様な意味合いの孤独ですね。孤独にも様々な類形があるのですが、最近、世界的にも多くの方が孤独の影響を受けるようになってきていて、流行病のように伝播していって危険な状況になるのでは、と警鐘を鳴らされてるのですが、何で最近になって孤独が良くないと言われるようになったのか。
そうですねぇ。
実は、過去数十年の間に、飛躍的に孤独が顕著に現れるようになってきているんです。何故かと言うと、モータリゼーションが進んで、遠くからの移動が容易になったことで、家族が以前に比べて、より離れて暮らすようになって。
その影響は大きいんじゃないのかなぁ?モータリゼーション、要するに、活動範囲が広くなったって事だよな。
そうなんです。同じ所で生まれて同じ所で生活してそこで人生を終えていくという生活を人類史で紐解くと、それこそ何千年、もしかしたら何万年って期間を、そのコミュニティで過ごしてたと思いますが、現在は非常に人の移動範囲も広くなりましたよね。
それに、昔は田植えだって周りの人たちが一緒にやったけど、今は機械が発達してるから、1人でもできるじゃないですか。そういう意味もあるよね、機械化というかね…。
確かに。先進化していく中で、孤独が増えているケースも考えられますね。この、流行病としての孤独の特徴をご紹介したいのですが、実は孤独には、早期死亡リスクがありまして。
なるほど。
研究の成果でハッキリとしてきているということで、2010年のアメリカの調査によると、孤独は1日にタバコを15本吸うことにも匹敵するといわれているそうです。
なるほど。興味深いですね。
更に、アルコール依存症であることにも匹敵する、そして運動しないことよりも死亡リスクが高まるようです。
なるほど。
あと、アメリカでは肥満の増加が社会問題になっておりまして。
そうですね。
その肥満に比べて、2倍ほど早期死亡リスクがあると言われています。オバマ大統領の時に公衆衛生局の長官をやっていた方がいらっしゃるのですが、この方が2017年に論文を発表して話題になりましたが、米国でも孤独が深刻化しているということが言われていて、最近のニュースでは、今年の1月にイギリスで「孤独担当大臣」という。
そうね、そういうのが生まれましたよね。
世界で初めて孤独に対処する為の大臣が生まれたり。孤独がいかに健康に良くないかということが、改めて着目されているのですが。
なるほどねぇ。
本日ご紹介しようと思った理由に、日本人にとって孤独がこれから大きな問題になるのではないかという懸念があって、なぜかと言うと、成人に起こる病だと言われているんですね。実は孤独は世代によって感じ方が変わると言われていまして。
えぇ。
幼年期に感じる孤独と言えば、例えば両親はいても、一人で留守番をしていると、孤独だという感じ方をするものが殆どで、これが思春期になってくると、周囲に人がいても疎外感を感じたり。
ありますよ。
こうして孤独の性質が変わってくるんですね。
そして、青年期働き盛りになってくると、他人との関係においての孤独以外にも、自分の内面的な自分の主観から生まれる孤独というものがあったり。これが45歳を過ぎた、いわゆる老年期という、還暦を過ぎた頃に出てくる高齢単身化によるリスクといいますか。横文字でソーシャル・キャピタルの縮小と呼ばれるもので、社会活動とか交友している人達が何年後に、歳と共に亡くなっていくこともあるし、退職して職場との繋がりが無くなったり、段々交友範囲が狭くなってくる中で、やはり孤独を感じやすくなったり…。
なるほど。
そして、死を意識するということで感じる孤独というのがあって。やはり、人生最期は1人ですよね。
そうなんですよ。
ですので、この孤独との向き合い方、付き合い方というのが、これから多くの人が直面する課題だと思っています。先程、松本からお手紙いただきましたけれども、どうやってこう向き合っていけばいいかというお話がありましたので、孤独と向き合うためのポイントをお話できればと思います。
孤独というのは世代で感じ方が変わるということでしたが、孤独を感じるというのは、殆どが主観的なものだと言われていまして。
えぇ。
自分の人生を振り返った時に、自分の事を自分で考えるとマイナスに考えがちだったりするのですが…。「自分の人生を見つめるときに、自分の人生を客観的に捉えると、人生の満足度が高まる」という言葉がありまして。
ほぉ。
人の目線から自分の人生を見ると、満足度が高まる。逆に、自分の目で主観的に見るほど、欠点ばかり見つけてしまって、結果的に満足度が下がると言われています。孤独の状況下ですと、段々自信を失うこともあると思いますが、そんな時に少し立ち止まって、自分の人生を客観的に振り返ってみると、様々な努力をしてきた事とか、家族に恵まれていた事とか、今ある幸せなことに目が行くようになって。
孤独と向き合う時に是非覚えておいていただきたいのは、実は、孤独は自分の頭の中で生み出している主観的なものだということですね。
世の中には「ABC理論」というのがあって、AがActivating event (出来事) 、問題が起きた時にBはBelief (信念:受け取り方や感じ方) 、どういうふうにそれを考えるかによってConsequence (結果としての感情や行動) 、結果が変わると。
自分1人で考えてると悪い方へ考えるけれども、そのBeliefに問題があるのではないかと、自分で疑ってみる必要があるとよく言われるんですよ。で、多くの場合その通りなんですよね。悪い方向で考えてしまうから、孤独が非常に増幅されちゃうと。で、今はネット社会だから、皆がバラバラになって、横へ横へ拡散だけしてね、集中してないんだよなぁ…。
仰る通りですね。
家族でいてもさ、みんなスマホやインターネットをやったりして、団欒の場で会話が成立しないような状況ってあるじゃないですか。
何か疎外感を感じてしまいますよね。
疎外感を感じちゃうから、やっぱりこの孤独ということを、もう一度、どう克服していくのか、それぞれが考えるべき大きな課題ですよね。
そうですね。今まで様々紹介してくる中で、未婚だとか色々な話がありましたけれども、その「人生の満足度」というのは、「人数」によるものではなくて、「質」によるものなんですね。
私もそう思う。
なので、良き友人や理解者がいたり、もしかしたらペットもその立場になる場合もあると思いますが、色々な繋がりの中で人生の満足度が上がって、孤独は解消されるそうです。頭の中で増幅されがちな孤独というものに対面する時には、後ろから客観的に自分を見つめると、気が楽になる。
そういうことですよね。健康といいますか、動ける方はなるべく色々な人と接するということは大事だよな。
はい、大事ですね。
これから孤独が世界的に大きな問題になっていくということで、長寿社会になればなるほど、問題になっていきますよね。
そうですね。
はい。今日は孤独というテーマでお話しをいただきました。