さて、今日はノーベル賞でおなじみのノーベル博士が遺言をしたんですか。
そうですね、日本のテーマは「ノーベル博士と3通の遺言書」という話で。
遺言書書いてんだ。
そうですね。
1通はノーベル賞のあれかね?
正にそうなんですが、実はノーベル賞は先日の10月1日に日本人の方も受賞されましたけれども。
はいはい。
毎年この時期に受賞者が発表になっておりますが、このノーベル賞を作られた、いわゆるノーベル博士。
うん。
アルフレッド・ノーベルさんと仰るのですが、いわゆるダイナマイトの発明で知られるスウェーデンの発明家の方なのですが、世の中にダイナマイトの発明も含めて350という特許を取得して。
そんなに特許持ってるんだね。
そうですね。偉大な発明家の方なのですが、この方がノーベル賞創設に至った様々なストーリーがありまして。今日は、特にその中心となった「3通の遺言書」についてご紹介していきます。
はい。
遺言で自分の意思、自分が亡くなった後にどうするかといったことを書き記すというのは重要なことですよね。
ノーベルさん自身は1900年頃に既にお亡くなりになっておられたんですが、自分の意思を3つの遺言書で残していまして。で、遺言書を残すきっかけになった大きな出来事があるんです。ノーベルさんが亡くなられる10年前ぐらいの出来事なのですが、ノーベルさんが50代の頃にお兄さんがフランスを旅行中に命を落とされて、亡くなってしまう事故があって…。
なるほど。
その時に、お兄さんが亡くなったのに、誤報としてノーベルさんが亡くなったんだというニュースが流れまして。
誤報で?じゃあ、でかいニュースだねえ。
あの大富豪の発明家のノーベルさんが亡くなったという誤報が流れるのですが、このときの紹介のされ方が非常にセンセーショナルで、いわゆる”死の商人死す”というタイトルで新聞に紹介されるんですね。
戦争でダイナマイト使われるから、死の商人なんですね。
そうですね。時代背景からすると例えば発掘とか鉱山の現場とか、いわゆる土木工事の現場で使ってはいたのですが、戦争の兵器としても用いらたので…ノーベル博士について新聞での紹介のされ方が、”可能な限り最短時間でかつてないほど大勢の人間を殺害する方法を発見し、そうして富を築いた人物が昨日死亡したんです”そうやって紹介されるんですね。
これを目の当たりにしたノーベルさんは、大きな衝撃を受けまして。
そうでしょうね。
その記事が出た翌年に、1通目の遺言書を書くんです。
う~ん。
彼自身にはそんなつもりはなかったと、世の中の平和に貢献したいとか、もしくは世界の発展に貢献したい気持ちがあって取り組んでいたという想いを彼は1通目の遺言書に記したと言われてるのですが、ただ1通目の遺言書は後ほど破棄されていて、内容が定かでない部分があります。
そこから4年後に2通目の遺言書が書かれるのですが、そこには学校への寄付を中心に、それからご親戚の方とか、お世話になった人への遺贈というか、この人達にいくらずつ渡してくれというのが書かれていて。
そしてそこから思い直して最後に書かれた遺言書にノーベル賞創設について書かれたんですが、遺言書3通認めるその中で、今私達にとっても知恵になるような知識があるのですが、人に対して相続をするとその自然人、人は当然寿命があり亡くなりますよね。ただ、ノーベルさんは最後まで後世に渡って残していく、世界の発展に貢献した人を称するようなお金を作りたいという想いがあって、いわゆる法人というか、寄金を作る訳です。
うん。
なぜなら、寿命がない団体、組織ですから。
そうですよね、法人はね。
そこでノーベルさんが考えられたのが、財産の大部分を当時の有価証券に変えまして。
うん。
より安定的なものにするようにと書き記してるのですが、そこで得られた利子を毎年5等分にして、それぞれの分野で輝かしい成績を修めた者に渡してくれと。それで生まれたのが物理学賞や科学賞といった5つの賞だったのですが。そうすることによって今日まで100年以上続いているこのノーベル賞が続けられるようになったそうです。
なるほどね。
また、誰がそれを評して誰が授与すべきか。
そこまでちゃんと書いてあるの?
そこも記されていて。で、これも誰々さんにお願いしますではなくて、例えば、物理学や科学省についてはスウェーデンの法律科学アカデミー。つまり、学校で決めてくれと。いわゆる人ではなく、印鑑や組織、また学校という所に決めるように依頼をしたということなんですね。
なるほど。
実に様々な学ぶ点がある遺言書ではあるのですが、印象的なノーベルさんの言葉がありまして。
ほぉ?
ノーベルさんは子供がいなかったんです。子供がいなかったからこそ寄金を作って世界平和だとか、世界の発展に貢献した人にという想いになったのかもしれないのですが、ノーベルさんの言葉で、「遺産を相続させることはできるけれども、幸福は相続できない」と。例えば親が残した遺産というのを仮に子供に相続したとしても、財産は渡せるけれども幸せは渡せない。
その中で考えに考えて3回書き直しを行なって、そして生まれたのがノーベル賞だった訳なのですが、今日的にも実に教訓に富んでいるな、と思うんですね。
確かに、幸福は難しいね。しかも子供さんがいなかったということが、このノーベル賞にも繋がったのか。いればやっぱり遺産よこせとかそういう話になるからな。
そうですね。子供には親として色々残したいという気持ちも湧いてくると思うのですが、その点においても社会へという気持ちになったのかもしれないですね。
なるほど。毎度我々ね、ノーベル賞は知ってるけれども、アルフレッド・ノーベルについての遺言なんてのはほとんど知りません。けれども、そういう訳で今もノーベル賞が健在だものね。
そうですね。100年経っても色あせないというか、ますます権威を発していると思います。
なるほどなぁ。という訳で、ありがとうございました。 つばさ公益社、篠原憲文さんでした。