以前、篠原さんがお話ししたことに対して、長野市の方からお便りをいただきました。
「以前篠原さんのお話しで単身化、おひとりという言葉がありました。主人と2人での生活になりました。子供たちには迷惑を掛けることが出来ない。それぞれの生活がありますから。心の健康、体の健康、誰かの為になっているだろうかと考えたりもします。頼ったり、頼られたり、そんな生活をしたいですね。60歳を過ぎているのですから必要なことです。何かあってからでは遅い。自分の事ばかりではなくて皆さんお忙しい、すぐに声をかけるのも躊躇ってしまいますので、第三者を頼ることも生活していく上でアリかなと、このごろ思うようになりました。」
なるほど。
こういうご心配はあり得ますよね。
そうですね。お言葉の中で共感したのが、迷惑を掛けたくないという言葉と、人との繋がりの中でお互いに迷惑を掛け合うものだとか、もしくは許し合うとか…。
迷惑掛けることもあるし、自分がお助けすることもあると。お互い様ってことだよな。
本当ですね。
これからそういう社会にしていかないと、それぞれ単身で固まっていたら本当に大変な社会になっちゃうからね。
これから単身の方が増えてくるという中で、家族の在り方というのが変わってきていると最近感じます。
先程のお便りで思い出したのですが、「家族ってどこまでが家族なのでしょうか?」という問い掛けがありまして。
なるほど。
例えば、配偶者だとか子供、一緒に暮らしていれば家族だという認識がありますよね。
これは問題ないね。
ですが、子供とは世帯別で暮らしていて、そこで家族を持っていたりすると、場合によって、子供が家族は配偶者だけかな、と意識してしまうことがあったり。なので、おそらく20~30年前の家族の範囲っていうのは、親や親の兄弟など、広く含めていたのかも知れないですが、最近の家族の範囲というのは、狭いですね。
そう。小さくなってるよね。
で、迷惑を掛けてもお互いに許容し合える範囲というのが、狭くなってきたなぁと、今ちょっと思い出しました。
でもね、子供達に迷惑を掛けたくないという方もいますよね。迷惑掛けたっていいんじゃないの?
とは思うんですけどね。
子供はもう、完全な家族ですよね。
と、思いますけどね。
流石にいとことかはちょっと、現代人は考えちゃうかもしれないけどね。
確かに。これから多くの方が自分事になっていくお話しですから、介護や医療の関係で第三者に頼ることも多く出てくると思うので、色々な繋がりを持っていく、そんな感じになっていくような気がしますね。
我々の小さい頃は、介護施設なんて無かったし、考えられなかったね。そういう意味では、介護保険、介護制度って、非常にありがたい存在ではあるよね。
そうですね。現代に必要な法整備だと思います。現在、家で見切れなくなってきていますから、施設のありがたみを感じますよね。
そういうことだよね。今日のお話にもちょっと関係あるかもしれないですね。
そうですね。今回のテーマが「おひとりさまのお葬式」ということで。
はい。
おひとりさまというのが他人事ではなくなってきている中で、個人的にも凄くテーマだなぁと思っているのが、この、おひとりさまのお葬式なんですよね。
通常は未婚で段々年を重ねていけばおひとりさまという認識ですが、もちろん死別や離別などの要因でなることもあります。いつどうなるか分からないような所も含めて、1人になってしまったときのお葬式っていうのはどうやるんだろうか?ということについてお話ししてみたいと思っています。
お願いします。
いわゆるお葬式というのは祭祀、祀り事ですよね。これは民法の中でいくと、行う人というのが、基本的には祭祀継承者というか、親がいて長男がいれば長男と。
喪主でございますな。
そうですね。で、このおひとりさまのお葬式というのは、言い換えると喪主のいないお葬式といいますか…こういった形式がこれから増えてくるということなんですが。
現実にあるんだよね、当然の事ながらね。
そうなんですよね。実はこの増え方も、日本社会の現代病といいますか…「無縁死」って言葉聞いたことありますか?
聞いたことはありますね。
無縁死という言葉自体、生まれてまだ間もないのですけれども、2010年にNHKで「無縁社会」。
ああ、やっていました。ドキュメンタリーでね。
非常に衝撃を覚えた放送でしたが、あの後生まれた言葉なんですよね。いわば行旅死亡人と言われまして、旅行中に亡くなった旅人で身寄りがどことも知れず、身内がいるかどうかも分からないみたいなことを以前は指していました。今は、例えば都会のアパートで1人暮らし、特に普段交流のある人もいない方が亡くなられた時に、一月経って、二月経って…なんてことを指して無縁死とか孤独死と言われていますね。
なるほどね。
で、この無縁死が最近特に注目されるようになった理由がありまして、実は無縁死や行旅死亡人についての統計データが存在しなくて。
ほぉ。
で、NHK取材班が、全国でどのぐらいいるのかという調査を行ったところ、いわゆる、身寄りのない人っていうのは、最終的に自治体が葬祭扶助という形で、税金でお葬式をするんです。
うん。
この金額から推計した数字ではあるのですけれども、一年間になんと、32,000人もの方が無縁死をされていると。
ほぉ。
32,000人というと、日本国内で年間に自死される方が27,000人前後と言われていますから…。
それ以上なんだ。
自殺も社会環境だとか色々なところで話題になりましたが、もっと大きな問題があるといいますか。
なるほどねぇ。
自治体から出費として出ていっている葬祭扶助費も、都市部が突出して多くて、税金で行われているお葬式に拠出しているお金が、年間11億円ぐらいだそうです。
これからもっと増えるんでしょう。
これは都市部でのお話ですが、実は他人事でもないんです。私自身、人口4000人弱の場所で葬祭場をやっておりましたけれども、年間に2、3件はありましたから。
これから地域関係なく、どんどん増えますよ。高齢化社会になっていくからね。
そうですね。で、おひとりさまのお葬式って、そもそもどうやるのか想像もできないじゃないですか。
大体、費用はどうなるのかね?結局税金ということ?
基本的には自分で用意をして、その自分の財産なりの中から拠出するものですね。
もう亡くなってるよね?
ですので、本当に一人の方は、自分のお葬式をどう準備するかというお話になるのですが。葬祭業者やNPO法人でも相談窓口があるんですが、自分のお葬式について、遺言信託のような形で、お寺はどこを頼むのか、お墓はどこに用意しているか、どういう人を呼んでほしいとか、こういったことを託して、遺言の執行者になってもらうというやり方があります。
施設の管理の人や、介護施設でも施設長の方とか、そういうサービスを持っているセンター等も頼りにされていますね。
ということは、今一人で暮らしている方は、自分の亡くなるお葬式の心配もしておいた方がいいということですね。
そうですね。やはり、健康に自信がある内なら深刻な問題ではないのですが。
そうなんです。だけどね。
どうしても、健康が心配になってくると、途端に不安になりますよね。
そうですよ。
ですので、遠い将来かもしれないのですけれども、元気な内に準備をするということが大事になってくると思います。
これから単身化の時代になってきます。このコーナーでは、為になる情報をお伝えしていきますので、是非お聞きくださいね。
どうも、ありがとうございました!