2014.01.18「相続税」

おくりびとからのメッセージ

武田
武田

今年最初の放送ということですが、今年の抱負みたいなものってありますか?

篠原
篠原

まず、今年は風邪ひかないということですね。わりかし毎年ひくのですが、まだ0歳の娘にうつしてもいけないので。

武田
武田

しおりちゃんでございますよね。どうしても子供がいると、小学校や幼稚園で風邪をもらって、子供から大人がうつるとかね。逆もしかり。結局、家族ぐるみで風邪をひくことになるんだよね。

篠原
篠原

そうですね。学校など、集団生活が始まると気を付けることが増えますよね。

武田
武田

そういうことですね。ラジオをお聞きの皆さんも、ひとつ今年はね、健康で風邪をひかないように1年お過ごしいただければと思います。

さあ、以前、相続税の色々なお話を篠原さんにしていただきましたが。

篠原
篠原

今回も引き続き、相続税についてお話しようと思っています。実は相続税って、未だに無い国も結構あるんです。

武田
武田

どこの国が無いんでしょう?

篠原
篠原

例えば、近くでいくと中国、オーストラリア、ニュージーランドですね。

武田
武田

なるほど。

相続するって言っても個人の土地じゃない。共産圏、国の物だからね。個人が借りてることになっているんでしょ?

篠原
篠原

恐らく。財産がどう管理されているか、あれですよね。他にも、カナダ、スウェーデンも無いのですが。

武田
武田

なるほど。面白いもんですね。

篠原
篠原

ちなみに、日本で初めて相続税が導入されたのが、昭和25年らしいのですが。

武田
武田

あら、そんな後だったの?

篠原
篠原

恐らく、家の在り方とか、地域の風習などで、昔は家督の相続だったんでしょうね。そういう事情を鑑みて、税金という形が導入されたのが、その頃だったということですね。

武田
武田

なるほどね。

篠原
篠原

ちなみに、昭和25年、当時の相続税というのは最高税率75%で。

武田
武田

ほとんど取られてしまう。つまり、国家財政が疲弊していたから、まずはそこから取ろうじゃないかという発想だな。

篠原
篠原

そういう時代もあって、今日までに4回ほど改正されてきているのですが。前回の話にもあったように、来年2015年1月1日からまた変わるということなんです。

武田
武田

なるほど。

篠原
篠原

冒頭に、相続税が無い国があるという話がありましたけれども、有名な話はイギリスで。イギリスという国は、伯爵だとか貴族だとか、そういう国王がいるような国ですけれども。

武田
武田

今も貴族あるからね。

篠原
篠原

そうなんですよ。と言いますのも、それが維持できる背景があって。1974年まで相続税というものが無かったんですね。

武田
武田

大変だもんな、貴族って。相続税払うのもさ。ものすごく広大な領地を持ってるもんね。 

篠原
篠原

貴族は生まれながらにして貴族。それがずっと継承されて、現在までそういった環境が維持されているということなんです。

ちなみに、相続税が自分に関係がないと思う人が多いのですが、実際、その数字の裏付けもありまして。日本において、相続税をどのくらいの人が納めているかというデータで、20人に1人ぐらい。

武田
武田

まあ、財産やお金がなければ、負債も相続税になるんだろうね。

篠原
篠原

そこが怖いところなんですよね。事業なんかやってると大変なんです。

武田
武田

そうなんでございますよ。

篠原
篠原

相続税を4~5%ぐらいの人が納めていると言われているのですが。ちなみに、何に課税されているのか、国税庁からの資料を見てみたんですが、ほとんどの場合、相続掛かっている人の約半分は、土地に課税されている。

これ、長野に住んでいるとあんまり実感ないですね。東京の六本木や銀座に土地を持っている人は、きっとすごく大変なんだと思います。

武田
武田

大変高価だね。

篠原
篠原

しかも、納める時は基本現金で納めますよね。

武田
武田

そこなんだよ。

篠原
篠原

当然、物納も出来る法律があるようですが、土地に課税されている人の半分ぐらいは。

武田
武田

東京に昔から住んでいる方が土地代を上げた訳じゃないんだよな。周りが商業地になって非常に住みやすくなっていけば、どんどん土地が高騰しちゃうでしょ。結局、相続するときに税金は払えないから、売らざるを得ないんだよね。そして、どんどん小さくなっていって。

篠原
篠原

分筆していって。

武田
武田

そうなんだよ。そういうのが、都市の1つの在り方として如何なものかという意見も出たことあったよね。

篠原
篠原

そうですよね。先祖伝来の、言ってみたら住み慣れたというか、大切にしてきた土地だったりと思いますが、その土地の課税というのが多くて。ちなみに家屋、家に課税されて、という人は結構少なくて、5%くらいなんです。土地と比べて、建物というものは毎年価値が減ってくんですよね。

武田
武田

ええ、ええ。そうですね。

篠原
篠原

そういうことも関係していると思いますが、相続税が自分からは遠いなと思ってる人が多かったんです。

これが、法律が変わって、40%ぐらいの。言い換えれば、値上がりになるという。

武田
武田

なるほどね。

「落ち葉焚き」という歌、知ってます?あの時代。あの歌は、東京の新井薬師前という辺り。西武新宿線の。それが発祥地で、当時、武蔵野の面影がありましてね。私も20年前くらいに取材に行ったときは、びっくりしましたよ。でかい欅の奥にあって、広大な土地を持っている人が、現実にいるんです。で、ペリーが来た頃作った家というのがあったりしてさ。

篠原
篠原

えぇ。文化遺産のような感じですね。

武田
武田

文化遺産ですよ。ところが、遺産相続になるとさ、切り売りしなきゃいけない訳じゃん。だから、木も全部切っちゃうのね。

篠原
篠原

なるほど。ちょっとそれは…。

武田
武田

東京の裏町の、とっても景色のいい、植物があるようなところがさ、相続税の為にズタズタにされていくという現実を知ってね。相続税の今の在り方って正しいのかね?って俺は思ったんだな、その時に。

篠原
篠原

そうですね。

武田
武田

これからますます厳しくなるね。

篠原
篠原

ますます上がっていく傾向にありますね。社会保障費がたくさん掛かっている状況下で消費税を上げると、お金持ちから日々生きていくために困るような人まで総じてお金を取られてしまうと。そこで、相続税だったらいいだろうという。

武田
武田

なるほど(笑)

篠原
篠原

そうした中で上がってきているという感じですね。ある人によっては、相続税100%でいいなんて議論がされているぐらい、ということで。

武田
武田

(笑)

篠原
篠原

相続という話をしてきて、関心が高まってよく聞かれる質問があるので、ちょっとここでご紹介します。

負債や借金ってどうなるの?という話です。

武田
武田

実は、借金も相続されるという。恐ろしい事ですよね。俺に相続権寄こせってなってもさ、調べると借金があったりして、やめたほうがいいんじゃない?って思うよね。

篠原
篠原

目に見える借り入れだけではなく、消費者金融など、見えづらい負債について、よく問題になるんです。

武田
武田

そうだよね。

篠原
篠原

プラスの財産だけでなく、マイナスも相続になるという。よく、マイナスが大きすぎて相続が難しい、という場合は放棄というのがありましたよね。ちなみに、相続放棄というのは、相続が開始されて3ヶ月以内に申し出が必要という。

武田
武田

3ヶ月以内なんだ。なるほど。

篠原
篠原

家庭裁判所に行って行うものなんですが。

あとは、単純承認といって、負債も丸ごと相続するというのもありますし。他にも、あまり知られていないのですが、限定承認というのがございまして。

武田
武田

それは何ですか?

篠原
篠原

例えば、借金が多くて全部は負えないけれど、父親の名義の家、畑だけは残したい。というときに、家や畑の価値分だけの負債は支払うという、一部の財産を相続して、大半の部分は諦めざるを得ないとか、そういう場合もあります。

武田
武田

なるほど。しかし、普通から相続のことを考えて生活している人って少ないでしょうね。

篠原
篠原

まして、ある意味で自分は関係がないと思っている方もいるでしょうし。

武田
武田

大半の人がそう思ってるよ。

篠原
篠原

亡くなってしまったら、遺される人に関係しますけどね。まぁ、そこまで備えをする人は、相当な資産家とかでなければいないと思いますが。

武田
武田

でしょうね。

篠原
篠原

そこで、ちょっと興味深いお話を。資産家の人というのは、実は相続について揉めないし、対策もしてるんです。相続財産1000万円以下という人の方が、揉めているという話がありますね。

武田
武田

何故なんだろう?

篠原
篠原

ちなみに、全体に寄せられる訴訟の件数で見ていきますと、訴訟が起きる全体の30%の人は、相続する財産が1000万円以下の人たちが全体の3割という。5000万円位のところまでで7割ぐらいの訴訟があって、それを超えるとほとんど減ってくるという事なんです。ですから、実際に揉める現場というのは、資産家で揉めるというよりも、身近なところでの方が多いんです。

武田
武田

そうか、資産家の方々は研究してるんだろうな。

篠原
篠原

何というか、少し興味深い数字だと思いますね。その意味では、自分の最期の支度というのは、ある程度道筋を付けてあげた方が、後の人は揉めないで済むと思いますね。

武田
武田

確かに、そうですね。

篠原
篠原

あとは、生命保険ってありますよね。生命保険が相続に有利と聞いたけど、本当?と聞かれることが最近増えてきまして。

武田
武田

どうなんですか?

篠原
篠原

相続税って何に課税されるかというと、生命保険、亡くなって受け取る保険金も相続の対象になりまして、相続税が掛けられちゃうんです。

武田
武田

あ、そういうことなんだ。

篠原
篠原

ただ、除外される分ありまして、相続人×500万円までは確実に受け取れるんですよね。例えば、子供が2人いて奥さんだけ遺された場合、1500万円まで、生命保険として確実に受け取れるという。

武田
武田

すぐに課税されないのかな?

篠原
篠原

課税されないですね。実は、こういう課税されない財産というのも、結構あるんですよね。

武田
武田

それもまた詳しく知りたいね。

篠原
篠原

そうですね。内容的にも興味・関心持ってらっしゃる方もいると思うので、またの機会に触れていきたいとは思っています。

武田
武田

現在、遺された家族が相続税で揉めて、人間関係がめちゃくちゃになる方も結構おられるようですね。ですから、そういった情報は知っておいた方が得だよね。

篠原
篠原

そうですね。当人たちでの解決が難しいことはありますから、親が残した言葉によって導かれることはあると思います。

武田
武田

はい。自分が亡くなったあとの、次の世代のことも考える必要はあるんでしょうな。お話、ありがとうございました。

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