副葬品 ~棺に納められるものとは?~

現代における副葬品とは

古く土葬していた時代は故人を埋葬する際に一緒に埋葬していたものを副葬品と呼んでいましたが、火葬を行なうようになった現代では火葬の前に納棺する際に一緒に棺の中に納めるものを「副葬品」と呼ぶようになりました。

故人の愛用品を納める

副葬品としてとても多いのが故人様の愛用していた服飾品などです。納められる量には限りがありますが、故人様が安心できるようにと愛用のものを納められると良いでしょう。

故人への想いを納める

大切な方がご逝去されるとご遺族様やご親族様は故人様への敬愛や思慕、悲しみそして後悔など多くの感情が押し寄せてきます。その想いはお手紙や折り鶴、お花に込めて棺の中に納めるとよいでしょう。

火葬が前提の「副葬品」だからこその注意点

土葬の頃と違い、現代では火葬を行いますので多くの火葬場で副葬品についてはご遺骨の保全と火葬炉の故障防止の観点より各火葬場において細かいルールが決められています。『火葬するのだから紙ならたくさん入れても大丈夫だろう』、『洋服も燃えるから愛用してたものをたくさん納めてあげよう』と、故人様への愛情から思い出の品々をたくさん納めてしまいたくなりますが、可燃のものも多く入れすぎてしまうと燃えカスが遺骨に付着して取れなくなってしまい、結果的にご遺骨がきれいな状態ではなくなってしまうことがあります。また、火葬炉の劣化を招く一因にもなります。副葬品は各火葬場の定めたルールに鑑みて納めると良いでしょう。

副葬品を納めるタイミングはいつ?

では、副葬品を棺に納めるタイミングについて決まりはあるのか、など順を追って見ていきましょう。

  1. 納棺の儀式の際に副葬品を納める
  2. 出棺の前のお花入れの際に副葬品を納める

大きく分けて副葬品を納めるタイミングは上記の二つとなります。必ず上記のタイミングで納めなければならない決まりはありませんが、もし副葬品を納めるなら上記のタイミングが一番ご希望に沿う形で納められると思います。

一つ目は納棺の儀式の際に一緒に納める場合です。衣服や帽子を納めたいご希望がある場合には納棺の際に納めることをお勧め致します。お手紙や写真は宗教によりますが、旅立ちの装束や神衣を納めた後にお顔のお近くやお手元に添えるとよいでしょう。地域によっては、納棺の儀式の際にお蓋をして釘打ちまで行う場合がございます。その場合、後から蓋を開けて副葬品を納めることは難しくなってしまいますので、あらかじめ副葬品を納めるタイミングを葬儀社に確認しておくとよいでしょう。二つ目はご出棺の前に棺花といってお顔やお身体の周りにお花を納める儀式がありますが、そのときに副葬品を納めることもございます。

棺に納められるもの

● 生花

季節の花や生前好きだった花など、また庭いじりがお好きだった故人様へはお庭の花を棺に納めてあげるのもお勧めです。また葬儀式後に生花祭壇や供物のお花などを出棺の前に棺に納めることも多くございます。ご希望がある場合には葬儀社に相談してみましょう。

● 少量の紙類

手紙やお写真、絵、賞状、折り鶴など。生前お好きだった文庫本や雑誌も少量なら納めることができます。布製の分厚いアルバムやハードカバーの新書や辞典などは燃えにくく火葬場で認められていないケースが多いので注意が必要です。

● 衣類

愛用の衣類を納めることも多くみられます。着物なら単物、洋服なら薄手のパジャマやカーディガン、Tシャツなどがおすすめです。服飾小物は毛糸の帽子、マフラーや手袋などがよいでしょう。ダウンジャケットや厚手のウールコートは燃え残ってしまう可能性があるのであまりお勧めできません。

故人様を愛用のお着物、お洋服にお着せ替えすることも可能です。専門の納棺師が対応致します、ご希望の場合はご相談下さい。

 火葬場によっては上記に挙げたものも禁止されている場合がありますので利用する火葬場や葬儀社に確認してみましょう

棺に納めてはいけないもの

● 爆発するおそれのあるもの

スプレー缶・ライター類・乾電池・缶詰など

● ご遺骨を損傷するおそれのあるもの

ガラス製品・石油製品・ゴム製品・プラスチック製品など

● 燃えにくいもの

金属類・ビンなどのガラス類・革製品・陶磁器・人形など

● 拾骨の支障となるもの

厚手の本などの大型書籍類・千羽鶴など

● 火葬の支障となるもの

ドライアイス・保冷剤・多量の飲食物など

● 紙幣

紙幣を燃やすことは法律で禁じられていますので棺に紙幣は納めることがでできません。宗教的な意味で硬貨を棺に納めたい場合は紙に印刷したものを棺に納めるか、骨壷に入れると良いでしょう。

ペースメーカーについて

故人が生前ペースメーカーを入れていた場合は、取り出すことはほとんど無く、そのまま葬儀、火葬を執り行います。しかしながらペースメーカーは火葬中に破裂するおそれがあるので事前に葬儀社と火葬場に知らせておく必要があります。もし、ペースメーカーを入れていた場合には後々のトラブルを回避することができますので早めに伝えておくとよいでしょう。

メガネ、宝飾品について

故人の愛用していたメガネや宝飾品(結婚指輪や腕時計など)は、火葬後に骨壷に納めることが多くあります。拾骨時やご納骨されるまでの間に骨壷に納めることをおすすめします。

故人様のためにできること

こうして見てきますと、棺に納められるものは限られていて少ししか納められないのではないかとご心配される方も多いかと思います。思い出の物や愛用品は厳選して、納められなかったものはご家族やご友人で形見分けをすることも多く見受けられます。お親しいみなさまでお話する場を設けてみてはいかがでしょう。

食べ物やお飲み物については、量としてはおにぎりやパン一個分、お菓子少量など少しなら認められる火葬場がほとんどです。果物もごく少量なら認められるケースが多いです。また、「毎日コーヒーを飲んでいた」、「ずっと好きだった酒を我慢したまま亡くなった」というお話を伺うことも多く、故人様のそばに缶コーヒーやお酒がお供えされているケースも多く見られます。そういうときは「末期の水」(まつごのみず)と言って、亡くなられた故人様のお口元にお水を含ませてあげる儀式がございます。例えばその際に、水の他に好きだったお飲み物を少量含ませてあげることも故人様のためにできることのひとつかと思います。

愛用のカメラや趣味の物、肌身離さず身につけていた愛用品などは写真に撮って、その写真を棺に納めるというのもひとつの方法です。納められないからすべてNGにするのではなく、何か違う形でもご希望に叶う形を模索できればと考えます。

エンディングノートを活用する

ご逝去されてからご納棺、葬儀、火葬まで、ご遺族は日程や葬儀プランなど打合せや手続きに忙しい時間を過ごします。私たちつばさ公益社は最期の時間をなるべくご遺族がゆっくり過ごせるよう簡潔な打合せや明瞭なプランをご用意しておりますが、それでも考えることや準備はとても多いと思います。そのようなときに遺された家族に対してできることとして、エンディングノートを活用して副葬品をある程度自分で決めておくという方法があります。

例えば、納めて欲しい衣服、家族写真、愛読の小説など。そしてその納めて欲しい物の保管場所も明記しておくとよいでしょう。

こういう話題は日常では避けがちになってしまうことも多いと思いますが、自分のこと、家族のこと、実はお互いのことを存外知らないものです。もし、最期の送り方について希望がある場合には一度ご家族や近しい方とお話してみることをおすすめします。

まとめ

副葬品は、納めるタイミングや納めて良いもの・納めてはいけないものが葬儀社、火葬場によって決められている場合がほとんどです。納めたいものがその地域の火葬場で認められているかなど、事前に葬儀社に確認しておくとよいでしょう。愛用の衣服は納棺師によって実際にお着せ替えすることもできます。

ご希望の副葬品がある場合は、棺に納められるものか確認し、ご納棺の儀式までに準備しておきましょう。

またご自身の葬儀の際に棺に一緒に納めたいものをあらかじめ準備する場合は、エンディングノートを活用するなどご家族に事前に伝えておくとよいでしょう。

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