2021.06.19「余命一年、どう過ごす?」

おくりびとからのメッセージ

武田
武田

梅雨時ということで、ジメジメしていてあまり気持ちは良くないですね。

篠原
篠原

実は、一年を通して今の時期が我々の仕事は暇な時期なんですよね。

武田
武田

そうなの?お亡くなりになる方は少ないんですか?

篠原
篠原

例年5月くらいから今の時期というのは落ち着いていますね。指標として見ているのが、火葬場の利用稼働率なんですが、今の時期は下がっていますね。

武田
武田

一番多いのは冬ですか?やっぱり。

篠原
篠原

仰るとおり、冬が多いですね。

武田
武田

脳溢血であったり、突然の寒さで体がついて行かない方が多いのかね?

篠原
篠原

そうですね。特に、暑い寒いの寒暖差が体には厳しいんだと思いますね。

武田
武田

なるほど。さて、今日はどんなお話になりますかね?

篠原
篠原

今日のテーマは「あと一年の余命なら」という。

武田
武田

ほぉ~(笑)いやぁ、厳しいテーマだね。

篠原
篠原

ホスピス医、ターミナルケアを担当されている小澤先生が著者の「もしあと1年で人生が終わるとしたら?」という書籍がベストセラーになったのですが、今回はこの本を紹介しながら、あと一年の余命だったらどう過ごすのか考えながら。

「もしあと1年で人生が終わるとしたら?」
武田
武田

さあ、みなさんも考えながら聞いて下さいね!(笑)

篠原
篠原

早速ながら、武田先生だったらどう過ごされますか?

武田
武田

やっぱり、好きなことをやりたいと思うね。昔、外国の映画で余命一年と宣告された2人が世界旅行に行って、好きなことを思いっきりやるという、お金も全部使っちゃうという映画がありましたね。

篠原
篠原

昨年2020年に、あと一年の余命ならどう過ごすかというアンケート調査があったのですが、第一位は「旅行」でした。

武田
武田

行ったことがない所に行ってみたいと。

篠原
篠原

見たことがない景色を見たり、接したことがない文化に接したり。

武田
武田

はい。

篠原
篠原

そして、第二位が「いつもどおり過ごす」。

武田
武田

これもいいかも知れないね!

篠原
篠原

私も、なるほど!と思いましたね。そして第三位が「好きなもの、美味しいものを食べる」。

武田
武田

食べ物かぁ。なるほど。

篠原
篠原

食というのは大事ですよね。で、私の中にある第四位が「身辺整理」。

武田
武田

篠原さんは身辺整理?

篠原
篠原

やはり、事業をしていますから。遺される人が困らないようにしないといけないので。

武田
武田

なるほどねぇ。

篠原
篠原

そして、第5位が「家族や友人と過ごす」で、第6位が「お金を使い切る」という(笑)

武田
武田

なるほど(笑)

篠原
篠原

まぁ、潔くていいですよね(笑)それもいいなぁと思いました。

武田
武田

う~ん。

篠原
篠原

このアンケートは去年のコロナ禍でのアンケートということで、旅行に出づらい状況でありましたので、一位の旅行というのが突出していましたが。

武田
武田

そうかも知れないね。でもまずはさ、余命一年宣告されたら、心の整理をするのにかなりのエネルギーが必要だと思うよ?

篠原
篠原

そうですよね。

武田
武田

かなり高齢になって、仲間もみんな亡くなっちゃったらアレだけど、例えば40~50代とか、これから人生まだまだあるという人は、心の整理に相当なエネルギーが必要かもしれないね。

篠原
篠原

なぜ?どうして?といったような感情が先立ってしまって、冷静になれないかも知れませんよね。その意味では、「もしあと1年で人生が終わるとしたら?」という本は非常に学びに富んでいるというか、私も色々な気づきがあったのですが。

武田
武田

ほお。

篠原
篠原

この小澤先生という著者の方はおよそ25年の間に3500人ほどのおみおくりをされてきて、これは必ずしも高齢の方だけではなくて、幼い命とも向き合ってこられたわけで。そんな中で先生が仰られていたのは、「人というのは死を前にすると必ず起こることがある」と。それは何かというと、「自分の人生を必ず振り返る」と言うんですね。

武田
武田

確かに。

篠原
篠原

死が近づくと、自分はどんな人生を歩んできただろうと。みんなそういった心の働きをするというんですね。そして、自分の人生を振り返った時に、いい人生だったのかどうかというときに、必ずしも全員が満足したという回答にはならなくて、湧き上がってくる感情として「後悔」というものがあるのですが、この後悔についてどう向き合っていけばいいのかというのが色々な角度で書かれていまして。

武田
武田

なるほど。

篠原
篠原

一つまずご紹介したいのは、後悔のない人生とはなんだろう?とか、いい人生とはなんだろう?というのをホスピス医の先生が考えたところ、万人に共通しないかも知れないけれども4つの条件があると。

武田
武田

ほぉ。なるほど。

篠原
篠原

1つ目は「後悔のない人生を送るためには、自分を自分で否定しないこと」。2つ目は「いくつになっても新しい一歩を踏み出すこと」。3つ目は「家族や大切な人に心から愛情を示すこと」。最後4つ目は「今日一日を大切に過ごすこと」だと仰っていました。

武田
武田

なるほどね~。

篠原
篠原

一つ一つに考え込んでしまったのですが。人生に満足しているのだろうかという問いかけにも中々迫るものがあって。これに対して本書の中で紹介している人生の満足度調査というものがありまして、これも昨年に内閣府が20~79歳までの方2000人にアンケートをしまして、実は一番多い回答が「人生に満足していません」という。

武田
武田

理由は何なんだろうなぁ。

篠原
篠原

そう答えた方が3人に1人。36%いらっしゃったと。逆に「とても満足しています」と答えた方は5.6%。

武田
武田

あら、少ないねぇ。

篠原
篠原

「やや満足している」という方が26%くらい。

武田
武田

4人に1人はいるんだ。

篠原
篠原

昨年のアンケートということもあって、例年と比べると、生活満足度が大幅に低下したんですよね。コロナ禍の影響がありましたから。

武田
武田

うんうん。

篠原
篠原

生活の楽しさや社会への繋がりという分野で、満足度が昨年に比べて下がったという。

武田
武田

なるほどね。

篠原
篠原

あと一年の人生ならと問われた時に、人は必ず自分の人生を振り返ると言いましたが、多くの場合後悔がきてしまうという。

武田
武田

篠原さんは人生を振り返る機会はありましたか?

篠原
篠原

結構ありまして。私自身、日々亡くなる方と接する中で色々な方の人生に触れますので、その意味では自分もですし、人というのは案外死を身近に感じていて、自分としては、日々大事な人に大事だと言うということを心がけています。

武田
武田

なるほど。私は振り返るのに決定的な転機があったね。36歳の時に肝臓病で二ヶ月入院したんですよ。これは、今になってみるとすごくありがたかったね。自分の人生を振り返ることなんてないじゃないですか。

篠原
篠原

すごく忙しく働いていましたからね。

武田
武田

仕事一途で、俺がSBC持ってるみたいなね。馬鹿な自負を持って一生懸命働いていたんだよ。

篠原
篠原

いやいや、大事ですよ。

武田
武田

それで二ヶ月休んだら自分の一番大事にしていた番組が、なんの説明も相談もなく打ち切りになったの。これには腹が立ったね。それで、働くとは一体どういうことなんだろうと深く考えましたね。で、過去を振り返って、俺って一体何をやりたかったんだろうと。あれもやってないこれもやってないと数え上げてさ、よし、これから生き方変えると。自分のやりたいことをやろうと。そのためには辞めるしかないだろうとあの時に思ったんだよなぁ。

篠原
篠原

ちなみに、辞められたのはいくつぐらいなんですか?

武田
武田

それから15年後。でも、辞めったって食っていけないから準備が必要じゃない。その辺は私、リアリズムですからね。自分が独立するためには何が必要なのかと考えて、策を練ってやってきて。実際に辞めてすごく良かったと思うからね。肝臓病に感謝していますよ。今は。

篠原
篠原

人生の転機になる瞬間ですよね。自分らしく生きるということについて、本書の中でああ、そうかと思ったことがあったのですが、自分が子供の頃どう過ごしたかったのかとか、何が好きだったのかというのは、80~90代の方にとってもその人らしさを形成している根源らしくて。

武田
武田

そうだよね。

篠原
篠原

ホスピス医の先生として死を間近にしている患者さんと話をしている時に、あなたらしさとは何か?と問いかけると、子供の頃の話を非常によく聞くんだそうです。

武田
武田

そうなんだ。

篠原
篠原

これは働き盛りの40~50代の方でもそうですが、子供の頃、あなたは何をしていて楽しかったですか?という問いかけが非常に重要なんだという。

武田
武田

私も小さい頃、「少年ケニヤ」っていう山川惣治さんの本を読んでね、アフリカに行きたかったんだよ。動物好きだったから。まず、アフリカに行ったんだよ。

篠原
篠原

血風録で拝見しました。

痛快・父子(おやこ)血風録
武田
武田

篠原さんは子供の頃、何をやりたかったの?

篠原
篠原

家族が好きだったので、家族が喜んでいる姿が自分の喜びだったんですよね。それが原風景ですね。

武田
武田

いやぁ、でもいいお話ですね。たまには、余命一年だったらと考えることも必要ですね。

篠原
篠原

そうですね。あと、本書の中で大きな気づきがあった話なのですが、人というのは一人称の幸せに限界があると書かれていまして。これはお金を手に入れたり有名になったりして自分だけが幸せになるという、この一人称の幸せには限界があって、大いなる幸せというのは自分がいることによって他の誰かが喜んでくれた時に本当の幸せを感じることができると書いてあったのですが。

武田
武田

なるほど。

篠原
篠原

自分の最期に向き合った時に、自分にとって何が幸せだとか考えてみるのにとてもいい本でしたので、是非おすすめしたいと思います。

武田
武田

特に今はコロナ禍で思うように行動できないので、こういった書物を読んでご自分の過去を振り返ってどうやって生きようかとゆっくり考えるという時間にするといいですね。こういったことも大事だと思いますよ。

篠原
篠原

あと、この本の最後に責任感の処方箋という項目がありまして、迷惑をかけない、責任を果たさなければ、という考えを持たれる方、大変立派なんですが、最終局面では心の枷になると。段々と、できない自分というのを認めて自分を責めないでほしいという。人に委ねていくということを進めていきましょうという。その項目も是非読んでいただきたいですね。

武田
武田

なるほど。お話、ありがとうございました。

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