一般の葬儀は家族や親族、ごく近しい人だけでなく、故人や喪主を知るいろいろな人が参列します。
一方、家族葬は会社や近所の人に「内輪だけでおこなう」ということを伝え、ごく親しい人だけで行います。
葬儀全般の内容はほぼ同じで、かかる費用もあまり変わらないのが二つの葬儀です。
あまり変わらないのに、それぞれに違うメリットデメリットがあります。
それぞれのメリット、デメリットを知ったうえであなたならどちらを選ぶのでしょう。
家族葬のメリット
家族葬はごく身内だけで行うことが多いため、故人が高齢で、すでに兄弟姉妹も少ない、友人知人も高齢になってしまい参列は難しそう、というときに選ぶ人が多いようです。
しかし参列者が多いと予想される、現役の若い人が亡くなっても、最近は家族葬を選ぶ家庭が増えています。
理由は若い時の突然死に対して、参列した人が通夜ぶるまいのときに話していることを聞きたくない、というのもあるでしょう。
「他人の不幸は蜜の味」という言葉をご存じでしょうか。
私たちの脳には、他人の幸せを羨むという嫉妬の感情が生まれる「線条体皮質」という場所があります。
ここでは心や体の痛みを感じる機能もあります。
ところが、この線条体という部分がより活発に働く人ほど、他人の不幸を知ることで蜂蜜を舐めたときと同じような快感を得てしまうのです。
遺族にとって自分の家族が亡くなるということは、ものすごく悲しいことです。
若い人なら尚更。親は子どもの死に乗り越えられないくらいの苦しみを感じています。
若いパートナーを失った人なら、悲しみから立ち直れないかもしれません。
もちろん会社の同僚や先輩、学校の友人、近所の人、仲の良い友人たちと多くの人が故人との別れを惜しんで参列したいと願うでしょう。
しかしこの中には、別れを惜しむ気持ちと、それを誰かに伝えたい気持ちが混じって、通夜ぶるまいの席で周囲の人に話してしまう、おしゃべりな参列者も存在しているのです。
「Aさんの息子さんは事故だったそうよ。お気の毒にね。」
「病気で長いこと入院していたんですって。お気の毒にね。」
お気の毒にね、と言いながらこういった話を広げる人がいると、遺族としては参列してくれたありがたさより、いたたまれない気持ちが膨らんでしまいます。
ご近所の人やママ友の参列は、こういった周囲への噂を広げる原因となることが多々あるのです。
家族葬はこういった煩わしさを感じることはありません。
自宅に戻れば、近所の噂は嫌でも耳に入るかもしれませんが、不用意に周囲に故人のことを広げたり、亡くなった事情について「おひれはひれ」が付くような、噂に発展することは防げます。
葬儀場で噂好きな人の好奇心溢れる目にさらされずにも済むのです。
葬儀の挨拶や時間、経済面だけでなく、こういったことからも高齢の方はもちろん、若い人が亡くなった時も、家族葬を選ぶという人がいるようです。
そっとしておいてほしい、家族だけで静かに送りたい、こういった考えがあれば家族葬はそれだけでも大きなメリットです。
家族葬のデメリット
高齢だけどいろいろな活動をしている、会社や学校で人気者、など参列したいと心から望む知人が多い場合、家族葬では葬儀のあとが大変、ということがあります。
葬儀が終わってほっとした数日後から数週間後、突然訃報を聞いた故人の知人が焼香に来たり、現金書留で香典が送られてくることがあるのです。
もちろん、焼香に来る方も香典を送ってくる方も、返礼目当てというわけではありませんが、そのまま放置というわけにもいきません。
現金書留なら、住所や名前がわかるので相手の方に返礼をします。
会葬礼状というわけにいかない相手の場合は、一筆書いて、さらに送料がかかってと、一般の葬儀よりも手間がかかります。
しかしそれよりも困るのは、直接焼香に来られる場合です。
中には、「お礼はいい」とお花代やお花を持ってきてくださる方がいるのですが、袋に名前の記載がないときがあります。
しかも親が留守のとき子どもが対応してしまうと、一体どこのだれかわからないことがあるのです。
「〇〇さんという人が、おじいちゃんにお線香をあげたいって言って来た。お花代だからって置いていった。」
では、わからないのです。
同居していればまだしも、普段は別に住んでいると親の友人でも、名前だけでは検討がつきません。
いろいろな人に聞いて、やっとその人の家がわかって、相手の方にお礼一つ言う。それだけでも大変です。
一般の葬儀でも遠方の方は参列できないため、香典返しは配送になります。
しかし家族葬の場合は一般の葬儀を行うより、その数が多くなることは確かです。
このように、家族葬のデメリットは、葬儀そのものよりも、葬儀の後にいろいろ思いがけないことが起こります。
葬儀のときは大変と感じなくても、後日忙しくなる場合がある、と知っておいてください。
家族葬は意外と損?
葬儀を損得で考えることはできません。
しかし、一般の葬儀での参列者と家族葬での参列者を数で考えたときの全体の費用はあまり変わらないようです。
葬儀全体で絶対にかかる費用はほぼ同じです。
故人が1人なら、戒名も一つ、火葬代も一人分です。
広い会場は必要ないから、精進落としは小人数分だからと言っても、精進落としまで残るのは一般葬も家族葬も、ほぼ親族だけです。
それどころか、一般の葬儀なら香典の額によって2種類くらいしか用意しなかった香典返しも、5万、10万と大きな金額を送ってくれた方に対しては、別な物を考えることもあります。
そして送料もかかります。
家族葬だから一般の葬儀よりも半額くらいでできる、というのは間違いです。
葬儀は参列する人数ではなく、葬儀のプランや祭壇に飾るお花、供物、僧侶への返礼で決まると考えておきましょう。
家族葬での収支
兄弟姉妹が二人、三人といると親の遺産は同じだけ配分されます。
しかしその前に親が一体どれくらい現金を残しているのか、生前に教えてもらいましょう。
もちろん元気な親に聞いても、年金がまだもらえるのだから、ともらった額は全額使ってしまい、ほとんどないという親もいるかもしれませんね。
とはいうものの、高齢になると入院や葬儀を考えて、数百万円~数千万くらいは残しておくという人も多くいます。
数百万円の場合、葬儀代のほとんどは親が残したお金を使い、残りは香典などを利用するという人が一般的です。
このとき葬儀代の中には、僧侶に渡す戒名代や葬儀代なども含まれます。
僧侶に渡すお金はほとんどが戒名ですが、戒名は宗派やお寺の規模、地域によっても違い、最低が30万円のこともあれば、50万円のこともあります。
僧侶には御車代なども含め、50万円以上は渡すことを想定しておきましょう。
葬儀会社に支払うお金は、火葬式や一日葬なら30万円くらいですが、一般の葬儀も家族葬も二日に分けて行う場合は、100~150万円になります。
家族葬なので通夜ぶるまいや精進落としを節約しても、100万円以上の費用は見越しておきましょう。
葬儀全体でおよそ200万円、そのほかにも墓地や仏壇がない場合は、それぞれ納骨までに購入することになります。
そのため、様々な遺産相続は一年以内に行えばよい、ということになっています。
墓地は土地だけで10万円以上、墓石を入れると50万円以上、100万円を超えるのも珍しくありません。
納骨のときには、墓石屋さんへの支払い、僧侶への読経、塔婆と10万円くらい。
ほかにも、亡くなった時に医師が書く死亡診断書、死亡検案書の料金も5万円前後、入院していた場合は、入院費用が後から請求されることもあります。
そこで仏壇や位牌も含め、故人が亡くなったときからの総額は300万円を超えてしまうのです。
香典はほぼ香典返しを送った時点で使いきることを考えると、最低でも300万円を用意していないと厳しいということです。
その後も新盆、初盆供養、一周忌、お寺や霊園の管理費と毎年数万円はかかってきます。
一般葬になると、通夜ぶるまいや精進おとしを含め、プラス数十万円というところですが、「人が亡くなる」ということは、家族葬でもけして安易な金額では収まらない、ということですね。
まとめ
家族葬も一般の葬儀も、どちらもメリットデメリットはあります。
一概にお金の問題で決めることはできません。
それぞれの葬儀の良いところ、悪いところを理解して、故人と遺族が納得できる葬儀ができるのが理想ですね。
そのためにも、不明なことや疑問に思うことは、僧侶や葬儀会社の方などに相談することをおすすめします。
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