皆さんは、終活をしたことがありますか。
「終活」で「就活」ではありません。
60代、70代の人の中には、すでに準備を始めている人がいるかもしれません。
しかし終活の準備として「エンディングノートを書いたから大丈夫」。「子どもに最期は任せるから大丈夫」と、それだけで終活の準備が終わったと思っている人も多いことでしょう。
実際に、一度喪主になって親の家の整理をすると、それでは全く終活にはなっていないことに気が付きます。
そこで、一度喪主になった自分のためにも、これから喪主になる可能性がある人のためにも、終活でやっておいて欲しいことをお話しましょう。
終活ノートの作り方
銀行や自治体、保険会社など様々なところで「終活ノート」「エンディングノート」を用意し配布しているところがあります。
書店などでも販売されているので、すでに持っているという人もいることでしょう。
内容は自分の名前や電話番号などの基本情報から、友人知人、親族など葬儀などで知らせてほしい人、葬儀内容のこと等を書くようになっています。
ほかにも相続の方法や土地、菩提寺の有無など、大切な財産のことを書く欄もありますので、必ず書いておきましょう。
しかし終活ノートにはいろいろな書き方があり、基本情報以外は自由です。
そのため、葬儀の方法や戒名のこと、自分が亡くなった後にどうしてほしいかなどを書く欄があるノートもあります。
基本情報以外は、残された人に任せるというのが大多数ですが、これを見たからといって、喪主が安心して葬儀やその後のことができるか、というと実際には一部、ほんの数パーセントにすぎません。
たとえば、公共料金やクレジットカード、現時点での利用履歴などを書く場所はありません。
こういった物は、使ってからでないとわからないので、「〇〇日に亡くなります」と解っているならともかく、ほとんどの人は遺された人に任せるしかないのです。
そこで、家計簿をきちんとつけている人は終活ノートと一緒に置いてあると、遺された人もここから推測することができます。
同居する子どもがいない場合は、小まめに断捨離をしましょう。
親が亡くなった後、住む人がいない空き家が全国的に問題になっています。
空き家にしておくとのちのちゴミ屋敷や廃墟となったり、税金問題などが起こり、遺された人の迷惑になります。
自分が頑張って建てた家かもしれませんが、必要とする人がいない場合は、自分の判断力がなくなる前に、家の整理や処分のことも考えることが大切です。
これは子どもからも親に伝えることが大切です。
とはいうものの、なかなか親も話を聞いてくれないのが、大多数です。
だからこそ、全国的な社会問題として空き家問題が起こっているのかもしれません。
そこで、自分の親が困ったという経験がある人は、元気なうちに終活ノートにそういったことを明記しておくのも良いでしょう。
終活ノートには自由に書く場所がありますので、例えばクレジットカードの有無、銀行口座の番号を暗号化したもの、毎月支払っている定期的なものの情報を書き示すのもいいですね。
並行して断捨離をやっていきますが、捨てて良いもの、価値のあるもの、売却してほしいものなどわかる範囲で、書いておくこともおすすめします。
例えば「ブランドの腕時計が2つ、リビングの引き出しに入っている」「ダイヤモンドの指輪が化粧台の引き出しに入っている」などがあれば、遺族が形見分けします。
必要がない人は現金化することもできます。
貴金属をどうするかは遺された人が判断することですから、「形見分けだから大切にするように」などと言われると、正直受け取りにくくなります。
特に近年あちらこちらで処理に困っているのが、祖母の着物、曾祖母の着物、といった和服です。
着物好きな人なら、価値を理解し大切に自分が着ることができます。
しかし好きでない人が残されても、売却することもできません。
これは人形も同じです。
購入する時は何万円、何十万円、中には何百万円もかけて購入しても、古い着物の販売価値は低く、良いもので数万円、悪いものでは引き取り料を支払うことになります。
和服好きな人は、元気なうちにガンガン着物を着て、使い古し、あとは小物などに作り替えて楽に処分ができるようにしておきましょう。
人形は専門の寺社などで供養をお願いすることになり、逆にお金が取られます。
終活ノートを作るとき、基本情報を書いたあと、他にも自分が遺された人の立場に立ったことを想像し、自由蘭にまとめて書いておきましょう。
ここで終活ノートに書いておきたいことをまとめます。
・基本情報
名前(本籍通り)、マイナンバーカード、スマホの番号とパスワード
本籍、原戸籍になる過去の戸籍(出生から現在に至るまでの本籍地)
持っている銀行口座 キャッシュカードの暗証番号、クレジットカードの利用履歴がわかる方法
年金番号
公共料金(とくにスマホや電力会社、電話会社など利用している会社名を)
*空き巣などが入った時に、すぐにわからない方法をとっておきます。
例えば、離れて暮らす子どもに「○○ちゃん(孫や従兄弟など)の誕生日だよ」などと、子どもにしかわからないようにしておきましょう。
・友人知人、親族の名前と連絡先(特に葬儀などに来て欲しい人)
・財産の有無(証券や債券、貴金属)
土地の登記簿や権利書
車の鍵や亡くなった後の処分方法
・加入している保険の有無(死亡保険に加入していれば、葬儀代にしてもらうことができます。
・どうしても葬儀のときにお願いしたいこと
・ペットを飼っているなら、亡くなった後の処遇など
終活ノートはただ「子どもに任せる」と書かれていても、こういったことがわからなければ、任された子どもは混乱し、家中を探し、暗証番号がわからなければ、結果的にいろいろな書類をそろえたり、整理をするのに半年から数年かかかってしまいます。
土地や建物の名義変更が死後3年以内に行うことが義務化されました。
地方に行くと、すでに何十年も前に亡くなった曾祖父母名義の土地があるという家もあります。
こういったことを、高齢の親にしっかりと話をし、理解してもらえなければ、役所の人にお願いして、早めに変更の手続きをしておきましょう。
2.終活に向けて用意すること
葬儀にはお金がかかります。
元気なときに葬儀費用を準備しておくことは大切なことです。
しかし葬儀費用を用意したからといって、こういった葬儀にしてほしい、仏壇は最低でもこういった物を用意してほしいとあまり希望ばかりを言われても、遺された人は困ってしまいます。
確かにお金を出すのは、葬儀費用を残した故人なのだから、と言われてしまうとそうかもしれません。
しかし実際には、ここ数年にわたる物価上昇、さらに葬儀費用以外にも故人に関わるお金はたくさん必要なため、遺されたお金で贅沢な葬儀を行うのは難しいです。
それこそ財産相続事件が起こるような土地持ちや大金持ち、財産をたくさん残す人ならまだしも。
平均的な生活を送っている人なら、自分が残したお金では平均的な葬儀でも不足することがあります。
バブル期以降、土地持ちと言っても、地方の山や土地をたくさん持っていた人の遺族は、たいしたお金にならず国に引き取ってもらうことがあるくらいです。
そこでまずは「死亡保険」に入りましょう。
しかも掛け捨てではないものがおすすめです。
なぜなら掛け捨てで入れる死亡保険も、一般的な死亡保険も加入年齢は満85歳。
2023年現在の平均寿命は87歳、平均寿命を過ぎても元気な高齢者は掛け捨ての死亡保険に入ることができません。
そこで、安易に保険を決めるのではなく、永年保障がある保険や85歳まで元気な場合、満期になればお金が戻ってくるものにします。
満期にお金が戻ってきた場合は、銀行などに預けて後々使ってもらうようにしましょう。
また2023年現在の年金額は、決して楽な生活が送れるほどではありません。
まして、65歳以下の人はますます年金額が減らされるため、生活すらままならないことでしょう。
そこで元気なうちは、70歳でも75歳でも働き上手にお金を運用してください。
80歳でも定食屋をきりもりしているおばあさんや、85歳でも農家をしている人や海女さんが「長く若く元気でいられる」のは、仕事をしているからです。
仕事をせずに年金暮らしに文句をつけて、毎日テレビを見て、周囲の悪口を言っていると、「不健康で老け込んでいるのに長生きだけする」自分が一番なりたくなかった高齢者になってしまいます。
終活に向けての行動は、すでに40代、50代から始まっています。
生き生きと若く長く健康に生きるためにも、しっかりと計画的な終活の用意をしましょう。
3.終活までにやっておくこと
葬儀のあとに遺族が一番困るのは、断捨離をしていない親の家の整理です。
衣類や家具、布団はもちろん、趣味のものや食器類、人形など困るものがたくさんあります。
とくに昭和世代の高齢者家庭では、旅行の土産品や調度品、飾り物がたくさん残っていることがあり、遺品整理で一番頭を悩ませます。
「飲み物を買ってきてくれ」と上司に言われて「ミネラルウォーター」や「お茶」を買う世代には想像がつかないかもしれません。
まさに高度成長期やバブル期の遺品です。
中でも困るのがこけしや人形になります。
どれほど現実主義な人でも、人形を粗大ごみや燃えるゴミで廃棄するのは、あまり気分がいいものではありません。
人形やこけしなどは人形供養にもっていき、あまり残さないようにしましょう。
まだまだ使える家電や、アクセサリー、フィギュアなどは中古販売などで売却してもいいです。
本もいい状態で古本取り扱い店にもっていくと、それなりの値段で引き取ってくれます。
ちょっとしたお小遣いにもなりますので、おすすめです。
着物や古着は、下着などをのぞき自治体が段ボールや古新聞と一緒に回収しているところもあります。
自治体で回収してもらうのが一番ですが、場所によっては古着販売のお店もあります。
季節を外してしまうと、在庫になるため引き取ってもらえないこともあるので、夏物冬物にしっかりと分けて、回収してもらったり、買い取ってもらうのがおすすめです。
このように、元気なうちに身の回りの整理をし、ミニマリストの生活を目指してみましょう。
また、高齢の親が一人、または夫婦で生活しているときに、子世代が注意する点もここになります。
身の回りのものをいつまでも整理整頓ができない、中でも風呂やトイレ、キッチンなど水回りの掃除ができないという状態は、認知症の始まりかもしれません。
認知症には一般的に知られているもの以外にも、記憶や判断力に影響がなさそうなタイプもあります。
自分が大丈夫といっても、いつ何があるかわかりませんので、いろいろなサインを見逃すことなく、早めに対処しておくことが大切です。
4.終活を考えると長生きする?
転ばぬ先の杖、という言葉があります。
高齢になると葬儀の準備や断捨離、終活といったことをとても嫌がる人がいます。
「縁起でもない」「不吉なことを言うな」と言って、話を勧めることができません。
しかし、高齢の親がその前の代のものをまだ整理できていない、未だに名義変更していないといったことを放置しておくと、困るのは遺された家族です。
高齢の親が一人暮らしで「ぽっくり逝くほうがいい」と同居や施設に入ることを拒むと、困るのは子世代です。
人が自宅で亡くなると、必ず警察が入ります。
病院に入っている場合は、すでに病気だったと判断され、あまり問題は大きくありません。
施設に入っている場合はすぐに救急搬送をしますので、その後病院の医師が家族を待って処置をし、死亡宣告をします。
たとえ高齢者が老衰で亡くなったとしても、警察が入って死亡原因などを調査することになるのです。
こういったことは遺された家族にとっても負担が大きく、葬儀の準備も遅れてしまいます。
元気で長生きしてほしい、という想いがあっても、それと現実的なことは違います。
論理的なことが考えられないから、新しいものを受け入れられないから、流動性知能が低下してしまう高齢者なのです。
そこで終活を考えると同時に、自分が高齢であるという認識を持ってもらい、限界ギリギリまで頑張るのではなく、どこかで最期の準備を始めてもらいましょう。
60代くらいで施設に入っている人の中には、そこから仕事先に行ったり買い物に出かけて楽しんでいる人もいます。
施設といっても、サービス付き高齢者向け住宅の中にはマンション風のものも多く、色々なイベントを行っているところもあるようです。
むしろ一人で無理をして、いい加減な食生活をするより、管理栄養士が作った食事で健康を維持することもできます。
このように終活の準備をしたり考えることは、縁起でもないことや、不吉なことではありません。
自分が迎える最期の時が、穏やかで誰からも惜しまれるように、しっかりと準備をしておきましょう。
そのほうが、意外と長生きできるかもしれません。
5.まとめ
親が元気なときに、しっかりと整理し準備をしてもらえると、遺された子どもは安心して自分の生活に集中することができます。
亡くなった親の後始末がいつまでも引きずっていると、子どもも落ち着いて自分の生活や仕事、子育てに集中できません。
まだ早いと思っても、時間が経つのはあっという間です。
早めの準備と整理をして、残りの人生をあわただしくなく、好きなことをして生き生きと過ごしましょう。
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