初めての喪主 戒名は必要?戒名はこうやって作られる

高齢の親が、自分が亡くなった時のためにお金を用意していることが良くあります。

中にはそのお金を見せながら「私の戒名は100万円のものにしてほしい」といったことを口にする高齢者もいるようです。
しかし、それを聞いた親族は「戒名にそんなにお金をかけるなんてもったいない」と思う人もいるのではないでしょうか。

たしかに、戒名の意味も解らず大金を支払うのはどうなのだろう、と考えてしまうのかもしれません。
それでは、葬儀でもよく耳にする「戒名」とは一体どんなものなのでしょうか。

本当に亡くなったら、戒名を頂かないとないとだめなのでしょうか。

仏教に欠かせない戒名とは

日本人の多くは亡くなると仏教関連の葬儀を行い、そのあと寺院や霊園に埋葬されます。

そのさい、僧侶からいただくのが戒名です。
戒名には大きく分けて、二つの意味があります。

一つは、私たち一般の人が亡くなった時に僧侶からいただくものです。 
もう一つは、僧侶になるために修行をし仏門に入った人が、お釈迦様の弟子として認められた、といういわゆる「免許」のようなものになります。

仏門に入った人は、戸籍上の名前が俗世での名前です。
そのため、昔は仏門に入って俗世との縁を切った人「出家者」だけがもらえる特別な名前でした。

しかし今は人が亡くなった後、極楽浄土へ行くことができるようにと、戒名を付けてもらうことになりました。
これが亡くなった時にいただく戒名です。

人は亡くなると除籍され戸籍上の名前がなくなるので、俗世から切り離されるという意味では、社会的にも正しいのかもしれません。

しかし遺された親族にとっては、名前を付けてもらうだけのことで何十万、何百万円もかかる、同じ名前なのに金額が違う、といろいろな疑問を抱く人もいるのではないでしょうか。 

宗派で違う戒名 

世界中にはいろいろな宗教があります。そして同じ宗教でも宗派によって作法が違うように、仏教にもいろいろな宗派があり、戒名のつけ方も異なります。

例えば「女性は姉がつくといい名前だ」ということを聞きますが、なぜ姉がいい名前になるのでしょう。
男性の場合はどうなのでしょうか。

仏教の宗派

仏教には「真言宗・日蓮宗・浄土宗・天台宗・曹洞宗・臨済宗・浄土真宗」といった代表的な宗派があります。
この中で浄土真宗は戒名ではなく、法名と言います。

また、日蓮宗も法号といい、戒名というのは「真言宗・浄土宗・天台宗・曹洞宗・臨済宗」の5つです。
戒名と法号、法名と呼び方が違うようにつける文字も違い、浄土真宗では「信女、大姉(だいし)」や「信士、居士(こじ)」といった文字は入りません。

また、日蓮宗は同じ「居士」「大姉」といった字をつけても、他の宗派と御布施の金額の決め方が異なってきます。そのため「同じ字を使っているのに、安くつけてもらえた」などということが起こってしまうようです。 

戒名は基本「院号、道号、戒名、位号」「院号、道号、法号(日号)、位号」また「院号、釋号、法号」といったいくつかの漢字の組み合わせからつけられます。 

戒名や法号、法名をつけるとき一般の人は、「院号」をつけることはなく、「道号」からはじまり、6文字で付けることが多いようです。
院号がつけられている人の多くは、位が高いため位号にも「居士」「姉、大姉」という文字が付きます。

しかし本来居士や大姉は位の高い人につける言葉で、社会や寺院に貢献した徳の高い人につけるものです。
居士も姉も、出家することなく家庭において仏教の修行をした人、という意味もありますので、お金をたくさんかけてつけてもらう、というのは本来の意味から少しずれているのかもしれません。

高齢者の中には「こういった時のお金をケチケチするな」という人もいます。
しかしわざわざ、遺された少ないお金から出費しても、ランクの高い戒名をつけなければならないという意味はないようです。

道号は生前の仕事や生活、性格などから文字を選び、法号は名前を一文字いれた二文字の漢字をつけることがよくあります。
位号はランクをあらわすため、ここに居士や信士、大姉や信女という文字がついて戒名となります。

とはいえ、戒名や日号、道号、釋号といったものは宗派によって違うものがつけられますので、かならずしも決まり通りの戒名がついているというわけではありません。 

日蓮宗 

日蓮宗は戒名ではなく「法号」と呼びます。また戒名の代わりに日号という名がつけられ、その日号には男性は必ず「日」が、女性は「妙」という字が頭につきます。 

一般的な人の法号には院号はなく、院号は生前から寺院や社会に貢献した人に着けるものです。
そのため一般的な法号は道号、法号(日号)、位号を2文字ずつ、計6文字でつけられます。

道号は現役の時の仕事や資格、趣味などその人が生前にかかわったことを、法号には名前を一文字入れ、位号では男女を分ける「信士や信女、居士や大姉」などをつけます。

日蓮宗は院号なしの信士や信女を選ぶと、他の文字はお布施に含まれるため数万で戒名をつけてもらえた、という人もいるようです。 

真言宗

真言宗は戒名の上に必ず「梵字」と呼ばれる文字を入れます。

院号がある場合でも、院号の上に梵字がつきますので、真言宗のお寺では塔婆や墓石に梵字が入っていることが多いようです。 

真言宗のお布施は比較的高額で、信士や信女でも30万円から50万円、院居士や院大姉になると100万円をこえるお寺も珍しくありません。

 浄土宗

浄土宗には院号よりも位の高い、院殿号と呼ばれる「○○院殿」という4文字が入る戒名があります。
院殿号が入るのは、もともと足利家などの貴族や歴史上に残るような偉業を成し遂げた偉人などに着けられるようです。

近年では総理大臣をつとめられた安倍氏には「紫雲院殿」といった院殿号がつけられています。
浄土宗はさらに細かい宗派が多くあり、その宗派や地域によっても院ではなく軒や庵をつけたり、院以外の院号があるなど少し複雑です。

位号の種類も大姉のほかに清大姉や清信士など多く、男性も女性も6ランクの中から戒名をもらうことになります。 

天台宗

天台宗の戒名は、真言宗と浄土宗の両方を合わせたような戒名となります。 
院号の上に梵字がつくだけでなく、院号も院殿号があり、さらに戒名の種類も浄土宗と同じ6ランクです。

そのため、最も長い戒名がつくと、梵字を合わせて9文字となるため、墓石や位牌に彫る料金もかかることになります。 
お札にもなっている渋沢栄一氏は天台宗の戒名で、泰徳院殿といった院殿号がつけられています。

曹洞宗

曹洞宗の戒名は一般的なものが多く、「院号、道号、戒名、位号」の組み合わせになり、院居士、院大姉が最も高いランクになります。

高ランクの戒名は100万円になりますが、信士信女であれば30万円からつけることが可能です。

臨済宗

臨済宗も曹洞宗と同じように、基本の「院号、道号、戒名、位号」の組み合わせになります。 
臨済宗の特徴は、白木で作る仮位牌の段階では、戒名の上に「新帰元」、下に「霊位」という文字を入れることです。

そして本位牌になると、新帰元という文字を消した戒名が彫られます。

浄土真宗

浄土真宗は戒名ではなく法名と呼ぶのが一般的です。
浄土真宗は院号、釋号、法号の3つで構成されています。

戒名の中では文字数が比較的少なく、院号がない場合は男性ならば3文字、女性は釋号の釋という文字の下に尼という文字が入り4文字です。

高ランクの院号が入る戒名でも男性6文字、女性7文字のため、お布施だけでなく位牌などに彫る文字数がすくないため、価格を抑えることができます。

 戒名と御布施

寺院のほとんどは戒名のお布施に読経料なども含めているため、50万円、100万円となっています。
戒名や法号、法名のお布施の額が戒名のランクによって違うのは共通しています。

また、最上位の戒名はどれだけお金を出しても、社会的な貢献度によってつけられないこともありますので気をつけましょう。

また、親子や夫婦が同じ墓地に入る場合は、戒名のランクをそろえてつけます。
しかし通夜も告別式もしない直葬や合同葬では、戒名のみの金額で数万円からつけてもらえることもあるようです。

戒名の相場は、信士信女なら読経料を含めて30万円から50万円、居士大姉なら50万円から80万円、院居士院大姉なら100万円以上を目安としてください。

ただこちらはあくまでも目安で、細かい宗派や地域、寺院の格によっても異なりますので、お願いする前に葬儀会社の担当の人に聞いてみるのもいいかもしれません。

同じ戒名でも御布施の金額が異なる?

同じ仏教で同じような戒名でも、宗派によって少しずつ違いがあります。
しかし同じ宗派のお寺でも、お寺のランクや僧侶の格があり、それによって戒名のお布施の金額にも差があるようです。

そして一番困ってしまうのが、お布施の金額を明確にしていないお寺です。
こういうお寺では、お布施の金額を「お気持ち」と言います。

ただ、お気持ちといわれてそのつもりで本当に50万円以上の戒名をつけているお寺に数万円のお布施を包むわけにはいきません。

 お寺からお気持ちといわれてしまった場合は、葬儀会社の担当者に相談をしてみましょう。
もしあまりお支払いができない場合でも、最低ランクはこれくらいです、といった金額を教えてもらうことができます。

このように戒名をつけたお寺や僧侶のランク、また地域によっても、戒名のお布施の金額には違いがあるようです。

戒名にお金がかけられない

お寺や宗派によっては、お布施と戒名をセットにしてわかりやすく料金を提示してもらえるところもあります。
この場合のセット料金は、ほぼ50万円から100万円となかなかの出費です。

故人が全く何も残していない、遺族に余裕がない場合は戒名にかけるお金がないということもあります。
この場合は、戒名なしの葬儀をすることができます。

戒名は不要といっても、菩提寺が決まっていて墓地がある場合は、なかなか戒名は不要です、と言葉に出すことはできません。

場合によっては、お寺の関係者の方からお叱りを受け、葬儀を摂り行ってもらえないこともあります。
すでに、故人によって墓地が購入され菩提寺が決まっている場合は、そちらの寺院に合わせてお願いしましょう。

しかし、まだ墓地がなく故人が何の希望も残していない、財産も残していない、と言った場合は戒名が必要のない、簡単な葬儀にすることも可能です。

どうしてもお金をかけられない、という場合には葬儀会社の方に相談をして、可能な葬儀を行ってもらうようお願いしてみましょう。

まとめ

人生のライフイベントで最もお金がかかるのが「葬式」と。答えていた高校生がいました。

ただ葬儀代だけで終わればいいのですが、確かにこういった金額も用意することを考えると正しいのかもしれません。
戒名は俗世から別れた後につけられる新たな名前です。
故人にいい名前を付けてあげたい、と思ったらそれに応じた金額を出したいものです。

しかし誰もが経済的な余裕があるわけではありません。
戒名をつけるときにどんな形を取るのが一番なのか、つけなくてもいいのか不安に感じたら、誰かに相談をしてみてはいかがでしょう。

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