初めての喪主 自営業~家族葬でも大丈夫?

葬儀を行う場合、故人が現役で仕事を持っている人なのか、それともすでに高齢で隠居しているのかによって、葬儀の弔問客の数が異なってきます。

若い人が亡くなると、学生なら学校の友人や教職員、会社員なら同僚などがお別れをするために参列することも珍しくありません。

しかしすでに現役を退き年金暮らしになっている高齢者となると、趣味の仲間や家族に看取られて静かに最期を迎えることが多く、家族葬でも充分に済ませることができます。

元々会社員や公務員だった親やその配偶者の場合、年金額も自営業より多く受け取っているため、葬儀費用も遺されたお金を利用できることでしょう。

しかし「定年退職」といった定義のない自営業の人はどうなのでしょうか。

70代を超えても現役でお店を続けている、農家を続けている親の葬儀も、家族葬で行っても支障がないのでしょうか。

自営業の親が故人となった時

お店や工場を個人で経営している人を、個人事業主とよびます。

近年はフリーランスのライターや作家などが増え、自営業の職種も多種多様になりました。しかし、70代を超え高齢になる自営業者の多くは、町工場の経営者や店主、職人、農林水産業を営む人たちです。

そろそろ引退して年金暮らしをしたい、という人もいるのではないでしょうか。

ところが、彼らがまだ子どもの1961年に作られた国民皆年金という制度には、とんでもない落とし穴がありました。

まずは1960年代に作られた、現在も続く年金制度についてお話します。

現代の年金制度

サラリーマンや公務員などは「第2号被保険者」といって、国民年金のほかに厚生年金、企業年金があり、現役時代には3段階も支払うけれど、半分は勤務先が持ってくれるというものです。

昭和30年代から平成の初めごろまで働いていた世代は、引退後に受け取るおよそ10年分の年金を支払っています。

当時の寿命は70代だったので、この計算で問題がなかったのでしょう。

さらに「第3号被保険者」と言って、第2号被保険者の配偶者は年金の支払いが「0円」で、配偶者も支払うことがないにもかかわらず、第1号被保険者よりも受け取り額が「高い」ことになっています。

これは当時、男性が社会で働き女性は家事育児に勤しむ、ということを奨励したことによりつくられた制度だから、ということのようです。

サラリーマンや公務員、とくに一流企業と呼ばれる元会社役員や大学職員、銀行員などは、月額20から30万円、中にはそれ以上の年金を受け取っています。

さらに配偶者は夫の死亡後、それに近い遺族年金を受け取ることができます。

これは皆年金制度を作るときに、現役世代の7割を保証するといった文言を作ってしまったためです。

現役の20代、30代の収入より高額かもしれません。

自営業や農業従事者などは「第1号被保険者」と言われ、夫がここに該当する場合は配偶者が専業主婦でも、自身も「第1号被保険者」として支払うことになります。

自営業夫婦の場合、会社員夫婦の2倍の年金を支払う必要があるということです。

このように同じ専業主婦でも、サラリーマンや公務員と自営業の妻では年金をもらうための条件が全く違う、ということが分かったのは昭和の終わりのころでした。

自営業者の妻は、慌てて年金を支払い始めましたが、時すでに遅し。

毎月受け取れるのは月数万円、さらに遺族年金すら受け取れていない人もいます。

そしてこの制度は男女雇用機会均等法が始まり、女性が仕事を持つことがあたりまえになった令和の今も変わることなく、破綻への道を進んでいます。

ニュースや新聞などで「年金が安い」とこぼしているのはほとんどが「自営業」や農家の方です。

自営業の親は葬儀代を残しているのか?

自営業の親が高齢になり、若いときのように仕事ができなくなったり、故人となってしまった家庭はどうしたらよいのでしょう。

親の葬儀費用を賄うことができるのでしょうか。

こういったことからも、自営業の人は現役のときからリスクマネジメントを学び、お金を残すようにすることが大切です。

また、自営をしていた仕事を会社経営にして厚生年金に加入するシステムにすれば、サラリーマンや公務員と同じ制度を利用することができます。

しかし現在の高齢の親はこういったことを学ぶ機会もなく、介護が必要になったり故人となってしまいました。

元会社員の親を持つ場合、親の無駄使いさえなければ充分に年金で葬儀費用を残してもらっていることがあります。

しかし自営業の親の中には自転車操業のような経営をしている人も多くいます。

自分が喪主になったとき、初めて親が故人となった時にそれを知り、ショックを受ける人もいると言います。

もちろん、中にはこういったことを考えて、生前しっかりと投資や貯蓄、保険などに入り、高齢になった時の生活費や葬儀費用を遺している人もいるようです。

ところが自営業者は「定年」がないため、死ぬまで現役という人も多く、ずっと働き続けることができると信じている人もいます。

年金額も少ないため働かざるを得ないということなのでしょうが、会社員よりもリスクの際、公的な準備や支えが少ないのが実情です。

そこで自営業の親を持つ人は、元気なうちにこういったことを話し合っておきましょう。

親の仕事を子が受け継いでおくことが一番ですが、もし受け継がないことになると、そのための備えも必要になります。

仕事内容によっては、葬儀費用が残っていないというだけの問題ではないからです。

例えば、高額な工場機械や、お店の備品、農業用機械など固定資産がある場合、仕事を引き継いでなくても、子がこういった資産の財産を受けることになります。

固定資産になる物品は財産と見なされ、相続税に上乗せされます。

様々なリスクが親の財産を完全に上回る場合は、親がどれほど生前に華やかで豪勢な葬儀を希望していても、無理をしないでください。

家族葬で良いか悪いか以前に簡単な葬儀を行うこともままらない、ということもあるようです。

家族で行う葬儀の費用

親が葬儀費用を残していれば、その費用の範囲内で親の希望通りの葬儀にすることが一番です。

取引先の人や、近所で世話になっていた人、子弟関係にある人など業種によって、喪主の子より近い関係の人がいるかもしれません。

こういった人が数人の場合は、家族葬であっても声をかけたり、小規模な葬儀にすることで最期のお別れをするときに声をかけてあげましょう。

しかし親の仕事を引き継ぐ、親の工場や店、事務所を引き継ぐ場合はこういった人間関係も重要です。

親の代で取引があった相手や、この先喪主自身も世話になるかもしれない相手に礼を欠くのは得策ではありません。

そこで、親の仕事を引き継ぐ場合は家族葬ではなく、一般の葬儀をするのが良いでしょう。

費用は家族葬よりも高額になるか、というとさほど違いはありません。

僧侶へのお布施等は葬儀の規模に左右されませんし、借りる部屋も規模が小さくても借りる以上はかかります。

さらに、後日香典返しなどを持って往ったり送るより、参列してもらった方が安上りになることもあるようです。

自営業でも家族が喪主となる場合は、一般葬ですので費用も喪主や施主が負担するということで理解をしておきましょう。

しかし自営業で色々な取引先があった親であっても、子にとってはただの親です。

もし、親の仕事とは全く関わっていない仕事でひとり立ちしているなら、家族葬で充分に対応することができます。

大きな農家を経営し、親が関係を持っていた会社などに作物を出荷していた場合も同じです。

もちろん、世話になっていた人へのお礼だけは忘れず、できる範囲での葬儀を行ってください。

会社で行う葬儀の費用

会社で行う葬儀を社葬と言います。

自営業だったはずの故人が経営の波にのり、法人化し会社となった場合はその企業のトップとなっていることもあります。

この場合は遺族と共に行う合同葬と、遺族だけの葬儀を家族葬にして、その後四十九日前に社葬を分けて行う場合があります。

社葬にする良い点は、会社の行事になるため会社の経費を使って葬儀を行うことが可能です。

会社が親族を中心とした同族会社でも、子や孫があとを継ぎ会社のトップとなることが決まっていても、合同葬を行うことができます。

故人の事業が大きくなっているなら、ただの個人事業主として放置してしまうより、会社との合同葬を行うのもおすすめです。

もちろん、遺族がその会社との折り合いがつかない場合は、家族葬は遺族だけ、社葬は会社関係者だけ、と完全に切り離すこともあります。

葬儀はあくまでも、遺族が優先になります。

こういった場合は、まずは遺族の葬儀を行い戒名なども決め、火葬したあとに社葬という形になります。

とくにわだかまりなどがない場合は、合同葬にして費用の何割かを会社の経費を使ってもらうと、施主の負担も少なくなります。

また、会社関係者の弔問客の対応も会社の中で行ってもらえるので、こういった意味でも遺族の負担は軽減されるでしょう。

親の仕事場を引き継ぐ場合

親の仕事を引き継ぐ多くの場合は、親の仕事が順調でその仕事に子も興味があり生前から一緒に仕事をしていた場合です。

工場や会社、伝統工芸などの職人、クリニック、建築事務所や会計事務所など親子できちんと引継ぎがされていれば、親が亡くなる以前に徐々に引継ぎが行われていることもあります。

こういった場合は、葬儀を家族葬と社葬に分けても、合同葬で行っても良い流れで葬儀を行うことができます。

しかし親や祖父母が亡くなったのであとを引き継ぐことになった、という場合はそこから人間関係を構築していくことになります。

家族葬で簡単に済ませてしまいたいかもしれませんが、人間関係を早めに構築することが大切です。

親が一緒に働いていた職人さんや取引相手、親身になっていた顧客などとの顔つなぎも兼ねて、一般葬にするのが良いでしょう。

まとめ

元会社員の親でも多種多様な業種があります。

しかしそれ以上に多いのが自営業です。

故郷を離れて親が1人で自営業を続けていた場合は、わからないことは地元の人や葬儀会社の人に相談するのも良いかもしれません。

離れていた喪主よりも、近くでいつも顔を合わせていた他人の方が、親のことを良く知っている場合もあります。

こういった時は、地元の葬儀会社の人に相談をして、喪主ができる範囲内で、故人も周囲の関係者も悔いの残らない葬儀にしてあげてください。

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