初めての喪主 親の墓地と自分の墓地

喪主の仕事は葬儀のあとも続きます。

亡くなった人の遺品整理や四十九日などの法事、相続の手続きなど多種多様です。
中でも期限が短いのが、四十九日と納骨になります。

ほとんどの宗派や葬儀会社では、四十九日のときに納骨を進めているため、そのときまでに骨を収めるための墓地が必要となるのです。

そこで、喪主は葬儀が終わったら位牌とお墓の準備が必要となってきます。

でも故人がお墓の準備をしていなかったらどうしましょう。
また、故人が入れると思っていたお墓に入れないということはあるのでしょうか。

代々続く墓地

お墓には色々なタイプのものがあります。

縦に細長い塔のような和式タイプのお墓、背が低くモダンな形の洋型墓石、故人の遺志で作られたデザインタイプなどです。

さらに近年増えている樹木葬や、ペットとは入れるお墓など種類や石の素材も豊富で、宗教によっても多少の違いが見られるようです。

中でも多いのは、昔ながらの和式タイプのお墓になります。

ここでも書いてある文字が違っていたり、石の種類が違うなど墓にも個性があるようです。
そして先祖代々のお墓はこの和式タイプになります。

先祖代々のお墓があり、親もそこに入ることが決まっている家庭なら、改めてお墓のことを考える必要はありません。

しかし先祖代々のお墓のほとんどは、戦前からの長子が引き継ぐ制度が多く、親が分家してしまっている場合入ることができないことがあります。

また、元々のお墓のあった寺が山間部の集落で廃寺となっていたり、寺ではなく敷地の周辺にあった墓地など、現代では使われていないところもあるようです。

この場合は新たに、墓を探すことになります。

また、故人の後を継ぐ人がいないと本人がどれほど先祖代々の墓を守っていても、入れなくなることがありますので注意しましょう。

お墓は墓石をたてたり骨を納骨するための墓地、つまり土地をお寺や霊園から借りることになります。

年間〇〇円、という形で家賃を払っているというとわかりやすいでしょう。
そのためお墓を引き継いだ人は、定期的にお寺や霊園にお金を支払わなければなりません。

もしそのお墓を継ぐ人がいなくなれば、その前に墓じまいというものをします。
しかしこの墓じまいにもお金がかかり、墓地は持つにも手放すにも簡単に行かないようです。

まして代々続くお墓にご先祖様がたくさん眠っていると、墓地を放棄するにも簡単には行きません。

子どもの数が減る今、遺された子どもたちのことを考えると、先祖代々のお墓を持つ人にとっては頭の痛い問題になります。

墓地に入ることができる人できない人

お墓を見るとよく「A家」とその家の名前が入っているものと、「先祖代々のお墓」と書いてあるものがあります。

中でも代々続く地元の名士や大農家では、ほとんどがA家と姓が彫ってあることが一般的です。

しかしA家と彫られていると、場合によっては誰も継ぐ人がいなくなってしまうこともあります。

例えば最期の子どもが女性だけで、皆結婚によって姓が変わってしまった場合です。
結婚前はAでも、婚姻後Bと変わるとこの子はA家の墓に入ることができません。

たとえ一緒に住んでいても、男性姓のB家のお墓、もしくは自分たちでえらんだ違うお墓に入ることになります。

また、最期に残された子が独身者で血縁親族がなく、さらに亡くなるときに何も残していない場合です。

この場合は役所が最期の子どもの火葬を受け持ちますが、文書による遺言などがないと、役所には納骨をする権利がないのです。

誰か気が付いた遠縁の人が早めに引き取りに来てくれればいいのですが、近年の人間関係の希薄さも伴って、むしろ近い縁者でも引き取りを拒否されることがあるようです。

こういった故人は当然無縁仏になり、さらにその人が守ってきた代々のお墓もすべて無縁仏として処理されてしまいます。

せっかく高額なお金を出して作ったお墓も、無縁仏になってしまったら壊されて、中のお骨もすべて粉砕され他の無縁仏と一緒に圧縮され合同慰霊碑などに入れられます。

こういったことにならないためにも、結婚をしないということを自分が決めたのなら、早めに永代供養の用意もしておきましょう。

姓が違うと墓地が違う?

このように、嫁いだ娘が両親を介護して一生懸命に先祖の墓を大切にしても、墓石にA家と書かれている以上、B家姓の娘がお墓に入ることはできません。

家父長制があった昔は、どうしても男子が生まれない家庭では他の家の男子を養子にしたり、娘に婿養子を取ったりという形で、Aという姓を無くさないようにしてきました。

しかし昭和の終わりには深刻な少子化問題が発生、社会問題の原因となります。
一人っ子同士の婚姻の場合は、姓を残したくても残せない家庭も珍しくありません。

娘ばかりの家では、親の介護や面倒は娘たちが交替で行うものの、姓は男性姓を名乗るのがあたりまえになっています。

そこで一つの解決策として言われているのが、家の名を入れず「先祖代々の墓」としてしまうことです。

こういったことが認められない高齢の父親の中には、娘婿に強引に姓の改姓を求めたり、娘の子を一人、高齢の父親の養子にして、Aの姓を名乗るように強制する人もいるようです。

そして二つ目は、社会問題として取り上げられながら未だ解決されていない、夫婦別姓を認めるということです。

夫婦別姓があたりまえ、家制度がない諸外国ではこういった問題を聴くことはありません。

それ以前にお墓が個人のものであるアメリカでは、家のお墓というものがないのかもしれませんね。

姓が違うと親と同じ墓に入れない、でも夫とは不仲で同じお墓に入りたくない、または離婚してしまった、ということなら姓は元に戻しておいた方がよいかもしれません。

墓地を放棄する

自分が最期の子孫になった場合、お墓の整理にはいくつかの方法があります。

まずは永代供養をお願いして、その期限が過ぎたら墓じまいしてもらう方法と、最初から墓じまいをお願いし、自身も合同供養碑などに入れてもらう方法です。

合同供養碑なんて、ヨーロッパにある昔の「カタコンベ」のようで気味が悪いという人もいることでしょう。

しかし墓じまいも永代供養も、決して安くお願いできるものではありません。

お寺によっては納骨されている人の数だけ、永代供養碑を支払うところもあり、一人50万円から100万円かかります。

祖父母と両親が入っているお墓なら、自分も含めて最低5人分の永代供養料を支払うことになるようです。

250万円から500万円となると、平均年収400万円とも600万円とも言われる今の50代では、年金はおろか自分でそのお金を用意することも難しいかもしれません。

先祖代々の供養を永代供養にする場合は、一度墓じまいをし、その後永代供養を行ってくれるお墓に納骨することになります。

墓じまいは墓地の大きさによって異なりますが、1柱3万円くらいから、墓地を更地にするには20万円くらいかかるようです。

そして改めて、骨壺を永代供養の墓地に移動します。

こういった経緯からも、近年ではお墓の管理をするはずだった子どもたちとの連絡が取れず、年間8000柱ものお墓が無縁仏として処理されているのだそうです。

しかし、できれば自分という人間を育ててくれたご先祖様です。

そして生活だけでもギリギリの若い世代です。

どちらも自分たちの言い分だけではなく、家のお墓をどうするのかをしっかりと考えておくことが大切になります。

まとめ

人間は命が尽きればそれで終わりですが、残された人にはまだまだやることがたくさんあります。

四十九日に一周忌、新盆、三回忌と法事は続きます。

親のお墓、先祖代々のお墓、そして自分が五日眠るお墓と、それぞれがいい形で受け継がれていくよう、色々な人が考える時代になったのかもしれません。

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