DIY葬といっても、ブログや本、通販サイトで紹介されているのは、棺や骨壺など葬儀に必要なものをそれぞれ購入して、施主や故人が葬儀の流れを葬儀会社に任せない、という方法をとることを言います。
たしかにご遺体を搬送する車を自分で作れるか、といったら自動車製造などを専門にしている人でも、一回限りの使用のためにわざわざ車をリメイクすることはありません。
むしろ葬儀会社にお願いするよりも高くついてしまいます。
しかし昔の葬儀は、霊柩車以外は家庭で行っていたことが多いため、ほとんどの物を用意することが可能です。
そこで、使うものからDIYする方法を考えてみましょう。
DIY葬でDIYできるもの
葬儀で使うもののほとんどは、一度で終わってしまうものです。
購入してももったいない、そう思う人がいるかもしれません。
そこで、自分で手作りできるものはないでしょうか。
たとえば棺は、木材を組み立てて作るものになります。
通販サイトで購入できる棺も、キットが送られてくるため、組み立ては自分で行います。
日曜大工が得意な人なら、自分で木材から作ることができるかもしれません。
また祭壇を飾る花は、ほとんどが菊や百合、カスミソウといったどこでも手に入れることができる花です。
広い庭があり、園芸や花を育てることが好きなら、自分の葬儀のために菊やカスミソウ、百合などのほかに自分が好きな花を育てておくことも可能です。
亡くなったあと、三途の川をわたるための衣装「仏衣」「死装束」も、浴衣のような形をした白い単衣の着物になります。
和裁をやっている人なら、縫うことができるでしょう。
ご遺体に持たせる数珠も、自分が長年使っていた数珠や、ビーズ手芸の要領で作製することも可能です。
このように、前もって自分で作って、自分の死後に使ってほしいと用意をしておけば、遺族はそれを使ってDIY葬をすることができます。
位牌を作るのは難しいかもしれませんが、故人の証明写真やマイナンバーの写真があれば、遺影もDIYできます。
パソコンを使って写真用の用紙に遺影の写真を印刷し、大きな額に故人の写真をいれ、黒のリボンで飾れば完成です。
DIY葬の中で一番簡単に作ることが可能なものですので、ぜひやってみましょう。
仏花を育てよう
仏花は、彼岸や盆のときに花屋ほか色々な場所で取り扱いのある花です。
菊や百合、カトレア、カスミソウなど白や薄紫の花が多く利用されています。
仏花はほとんど白を基調として飾り付けますが、薄紫のほかに淡いピンクや黄色の花をいれることもあり、他の色を入れることで、ほんの少し祭壇が華やかなものに変わります。
もちろん、好きな花を飾るということも大切なので、どうしてもバラやガーベラを飾りたい、という故人の言葉があればいれることもできなくはありません。
しかしバラなどのとげがある花は仏花にふさわしくないと言われます。
そこでバラのようにとげがある花を祭壇に入れるときは、とげをとって飾りましょう。
とはいうものの、自分の葬儀で利用してもらうために花を育てても、季節によっては利用できない場合があります。
花専門店でも季節によっては入手できない花があるように、自分の家の庭では花が咲く季節はほぼ決まってしまいます。
とくに葬儀が多いと言われる冬は、さまざまな植物の開花時期ではありません。
いずれ自分の葬儀に利用してもらいたいなら長期計画をたてて、庭には一年を通して季節に対応した花を育てると良いかもしれません。
冬に咲く花にはデイジーやノースポール、スイセンがあります。
冬のための花も用意したり、広い庭を持っているなら小さなビニールハウスで育てても良いでしょう。
DIY葬は一般葬のように祭壇をはでに飾り立てる必要はありません。
火葬する前に祭壇からおろして棺に入れるだけの量があれば充分です。
足りなければ、故人の思い出の品や折り紙を入れることもできるので、バスケットに2カゴ分くらいの花を育ててください。
棺と祭壇はつくれるのか?
通販サイトで購入した棺は、自分で葬儀の前に組み立てることになります。
しかし人はいつ自分の命が終わるか予測ができるものではありません。
まして亡くなった後に組み立てることは不可能です。
もし自分がDIY葬にしてほしい場合は、前もってキットを購入し遺族に組み立てをお願いするか、邪魔になりますが作っておくことの二択になります。
あらかじめ購入したものを組み立てて置いておくなら、作っても「邪魔」という点で同じであれば、木材を購入しイチから作るのもいいかもしれません。
棺は白い絹の生地を使ってコーティングするものが多くありますが、木材のままでもダメというわけではありません。
日曜大工が得意なら、顔が見られる「窓」を作る、ご遺体を固定するための布団を作る、運ぶときに壊れないようしっかりと作ることだけ気を付けて、DIYをしてみましょう。
祭壇も棺と同じ考えで、木材を組み立てて作ることができます。
すでに仏壇があったり、亡くなった親族の仏具があるなら、それを置くためのスペースがあれば祭壇になります。
新たに葬儀会社に用意してもらうのではなく、あるものを利用して、ないものは自分で作るこういった観点からもDIY葬は、ゴミを無駄に出さないという環境にも優しい葬儀です。
仏衣を縫ってみよう
宗教を気にすることなく家庭葬や直葬にするなら、死装束を白い着物にする必要はないかもしれません。
仏衣はその名の通り、仏様に導かれて三途の川を渡るためのものという考えから、足袋や手甲を身に着け、三文銭などを持たせます。
しかしキリスト教ではこういったことは行いませんし、DIY葬にすることで僧侶を呼ばないという葬儀を選ぶなら、他の白い衣装でもいいという考えもあります。
キリスト教の場合はドレスで棺にいれたり、殉職された場合はその仕事の正装で棺に入れることもあります。
そこでどんな形の葬儀をするかあらかじめわかっている場合は、自分ですきなエンディングドレスを縫製しても良いでしょう。
仏衣として作るなら、白いポリエステル生地を用意し、単衣の着物を縫ってください。
浴衣のように袖の振りやおはしょり、といったものは必要ないので、ほぼ着丈で着せたときにほつれない程度であれば、問題ありません。
背縫い、脇縫いなど長い直線は、ミシンで縫っても大丈夫です。
DIY葬用のグッズをそろえる時、棺や骨壺などはセットになっていますが、仏衣はあまり見かけません。
大手通販サイトで販売されている物の多くは、しっかりしたエンディングドレスか、文化祭のお化け屋敷で着るような死装束になります。
そこで、裁縫ができるなら前もってこういった物を作っておくというのも、良いかもしれません。
まとめ
DIY[葬は、家事仕事の社会化でいつの間にか当たり前になってしまっている冠婚葬祭を、昔の形に戻す一つです。
無駄なものを一切排除し、あるものを利用すれば、ゴミの消費を減らすこともできる環境にも優しい葬儀になります。
バブル期に当たり前だったハデ婚が忌避される今、次は葬儀もDIY葬で環境に優しく無駄のないシンプルなものが好まれるようになるかもしれません。