2014.06.21「日本のお盆」

おくりびとからのメッセージ

武田
武田

篠原さんお若いから、当然ブラジルで行われているワールドカップ興味持ってご覧になってます?

篠原
篠原

仕事の関係上朝が早いんですけども、朝が早い分には見れていいですね。

武田
武田

昨日見ました?

篠原
篠原

朝7時からテレビにかじりついて見ておりました。

武田
武田

やっぱりな~。視聴率50%ですから、見てますよね。さて、今日はどんな話になりますか?

篠原
篠原

まだ6月ですが、お盆について話をしたいなと思っています。

武田
武田

実は日本人って、お盆のことを分かってるようで分かってないんだよね。

篠原
篠原

そうなんですよ。実はお盆って由来もまちまちですし、知っているようでいて知らないお盆っていうのが実は結構あると思うんですよ。

武田
武田

だと思いますよ。

篠原
篠原

そんな訳で、お盆についてご紹介したいと思います。

まず、ちょっと聞いてみたいことがございまして…武田先生にとって、お盆とはいつ頃を指しますか?

武田
武田

いつ頃、というのは期日?

篠原
篠原

はい、いつが「お盆」というかということなんですが。我々は普通、8月の12~15あたりが一般的にお盆だと認識していると思います。今の暦、新暦で8月13~16、これがいわゆる一般的なお盆の期間なのですが、実は日本人が言うお盆の時期は、大きく4つの時期に分かれるんですね。

武田
武田

へぇ~、4つの時期があるの?

篠原
篠原

例えば、実は東京だと、お盆が間もなくでして。

武田
武田

あぁ、7月か。そういえば東京は早かったような気がするね。7月のいつなの?

篠原
篠原

本来、お盆は旧暦の7月15日を中心にして行いますので、その意味からすると、東京だけではなく、神奈川、静岡、石川、北海道の一部の地域でも、7月15日、16日頃をお盆としていますね。

武田
武田

そうか、旧暦が新暦になったんだけど、同じ日付でやってるわけだ。季節がずれているってことだね。

篠原
篠原

そうなんです。これが2つめのお盆の時期なんです。

そして、沖縄と鹿児島県の奄美大島郡では、旧暦の7月15日にお盆をやっているそうです。旧暦の7月15日というのは、今でいくと8月7日~9月6日の期間ですね。

武田
武田

本当は、こういった旧暦のお盆が正しいというか、季節的にぴったりなんだよな。

篠原
篠原

お盆の始まりは、606年頃だと言われているのですが。

武田
武田

17条憲法のちょっと後じゃない?

篠原
篠原

そうです。つまり、非常に古い歴史です。当時も旧暦の7月15日を中心にしていて、現代においても、沖縄や奄美大島軍の人々は、その時期にお盆をしたりしているんですね。これが3つ目です。

武田
武田

なるほど。

篠原
篠原

最後にご紹介しますが、8月1日をお盆としているところもありまして。

武田
武田

そんなところもあるんだ?全然知らなかったなぁ。

篠原
篠原

これ、実は東京なんです。東京の多摩地区、小金井市、府中市、調布市でもそうですが、土着の、昔からそこで暮らしている人は、8月1日をお盆として行っているんです。
何故、8月1日なのかといいますと、実は「釜蓋朔日」という別名がありまして。

武田
武田

かまぶついたち、ですか。

篠原
篠原

この8月1日、旧暦では7月1日ですが、地獄の釜が開く日だと言われておりまして。

武田
武田

そうか!地獄から来るわけか、先祖が(笑)

篠原
篠原

そうなんです。地獄という概念は古来の日本になくて、中国の道教からきていますが、中国の道教で、7月1日に地獄の釜蓋が開き、ご先祖様は旧暦の7月16日まで現世に滞在する期間になるということなんです。

武田
武田

つまり、煩悩を慰めてあげましょうということですね。

篠原
篠原

2つ意味合いがありまして、まさに、そうした霊を慰めとしてもてなすと。古いお盆の原点というのは「うらぼん」という。

武田
武田

盂蘭盆の会とか言うね。

篠原
篠原

その通りです。また、ほどこしの精神やもてなしについて書かれている、「盂蘭盆経」というお経がございます。これは仏教の考えで、仏教にしては珍しい、もてなしや先祖供養について語ったお経なんです。

武田
武田

なるほど。

篠原
篠原

日本人は、古来から神道が中心でしたが、神道には先祖の崇拝というのが脈々と受けつがれています。お盆というのは仏教の催しと思われがちですが、実は、仏教と神道のまじりで生まれたものなんです。

武田
武田

そうなんですね。

篠原
篠原

両方で側面があるんですが、もてなしという意味でいきますと、様々なもてなしの物を供えます。「盂蘭盆経」に書かれている内容だと、食事、くだもの、お香や香油を供え、かがり火を焚きなさいと。

武田
武田

かがり火を焚くんだね。

篠原
篠原

これが原点の「盂蘭盆経」に書かれている、もてなしの方法です。現代でも、地獄の窯が開くということは、ご先祖様以外にも来ると考えられています。

それで、水棚って聞いたことありますか?

武田
武田

聞いたことあります。

篠原
篠原

水棚といえば、供養の舞台になる場所で、具体的に、壁や柱に板を置いて、そこにお供え物を置く棚になるのですが、蓮の葉の上に、なす、きゅうり、かぼちゃなどを賽の目状に切り、洗ったお米もお供えします。これを2つ用意します。1つは自分のご先祖様用で。

武田
武田

自分のご先祖以外にもってことですか?

篠原
篠原

そうなんです。もう1つは、他の霊のために供えるそうですね。

武田
武田

なるほど。

篠原
篠原

あと、お盆といえば、ナスやキュウリに足をつけますよね。あの足は、正式には、おがらという、麻の皮をとった茎の部分を使います。

武田
武田

それに先祖様が乗って来るんですね。

篠原
篠原

その通りです。ナスは牛、キュウリは馬を模していて、それにご先祖様が乗って来るという考えがあります。

原点を辿っていきますと、昔は農耕社会で、馬や牛が欠かせない大切な家畜で、盆の期間は、家畜が休むことができるという意味があるようです。

他にも、飼っている家畜が丈夫になるという言い伝えもあります。

武田
武田

面白いものですね。

篠原
篠原

ちなみに、これは精霊馬と呼ばれています。

武田
武田

牛でも、精霊馬なの?

篠原
篠原

そうなんです。それが正式で。他に精霊という文字が入る言葉で、「精霊流し」というものがあります。

武田
武田

さだまさしさんの歌にもありますね。

篠原
篠原

精霊流しも盆の習わしで、船を川や海に流し、亡くなった人の供養をします。精霊船に造花やちょうちんを飾ります。さだまさしさんのあの曲は、確かいとこを。

武田
武田

そうなんだよ。確か、いとこが自殺してしまうんですよね。

篠原
篠原

その弔い、情景を描いた歌詞だと言われていますね。この精霊流しですが、歌詞のイメージからすると、とてもしなやかですが、実際は、爆竹や花火が鳴り響く、賑やかなお祭りのようなものでして。

武田
武田

そうなんだ。

篠原
篠原

精霊船を海などに流してそのまま、といった形でしたが、明治4年以降、環境への影響が懸念されて、法律が変わりまして。

武田
武田

まぁ、そうでしょうね。

篠原
篠原

現在は、陸路で、お神輿のような形で担いでいますね。

武田
武田

七夕と一緒だね。

しかし、お盆一つをとっても、日本各地で日にちが違って、仏教と神道の影響があると。神道というのは、あまり考えられなかったな。道教というのも影響しているんだね。

篠原
篠原

原点を辿ると3つくらい影響しているんです。先程、七夕と仰っしゃいましたが、実は、七夕もお盆の一つなんです。

武田
武田

そうなの?

篠原
篠原

お盆では「棚」という言葉、例えば、お盆であげるお経を棚経と言いますが、実は、七夕も「棚幡」と書くんです。

武田
武田

先程、水棚の話もありましたよね。

篠原
篠原

そうなんです。七夕も旧暦だと1日、つまり、蓋が開くということで、道普請などを行い、道を綺麗にします。お墓参りをしたり。

武田
武田

先程の、釜蓋だね。

篠原
篠原

そして、7日の七夕の日は、仏具を磨く日なんです。

武田
武田

なるほど。そういった話は、私達は知らないですね。
今日は、お盆について、7月にやるところもあるということなど、お盆のうんちくを語っていただきました!

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