
篠原さん、このコロナ禍で、お葬式の形態も変わったようですね。

そうなんです。まず、人が集まれなくなってお越しになる方が減れば、環境がガラッと様変わりしますよね。ちょうど一年を過ぎた頃になりますが。

そうですよ、ちょうど一年ちょっとだよねぇ。

まぁ、随分と我々葬儀業界では、本当にこの一年でドラスティックと言いますか、劇的な変化がありました。

う~ん。

一年経って、様々な業界アンケートというものも発表されているのですが、つい先週、業界アンケートで、今最も多く実施されているお葬式の形式が「一日葬」だという発表がありまして。

一日葬?これはどういったものなんですか?

これは、通夜が行われなくて、通夜とお葬式を一日の中で行なう、単日数化のお葬式なんです。

へぇ~。

この形式が最も実施例が多いそうで、このアンケートによると、全体の4割近いそうです。

ああ、結構多いねぇ。

まぁ、アンケートをとっているのが都市部中心ということもあるとは思いますが。

なるほど。

で、次に多いと言われているのが、「火葬式・直葬」と言いまして。

火葬だけするということですか?

そうなんです。いわゆる、人を集めての通夜式や告別式というのを執り行わない、火葬しかないという形式が、一日葬の次に多いと。割合にしたら、35%くらいだそうです。

大きいねぇ。

もはや、一日葬と火葬式だけで70%~ということで…。

ほぉ~。

で、残りはいわゆる家族葬、一般葬という形式だそうです。

火葬式、直葬というのは、本当に簡略化された形だよねぇ。

そうですね。かつては多くの方が駆けつけてお弔いをするというのが自然な形で、火葬式のような形式を選びづらかったですが、ある意味、無葬化といいますか、弔いのない時代が見えてきていると感じますね。

火葬式、直葬というと、人類の原点に戻っちゃったみたいもあるよね(笑)

そうですね。お葬式の様々な機能というのが失われてきていると思うんですよね。社会的なお別れや、宗教儀礼によって来世を想う、送り出すというところや、悲しむ時間を十分に持ちながらというような、そういった様々な機能が欠落してきていると感じますね。

ネアンデルタール人に戻っちゃった感じがするねぇ。ネアンデルタール人でさえ、悲しみというものを理解して、お葬式のようなことをやっていたみたいだよ?

そのようですね。ネアンデルタール人の塚から、花粉が検出されていて、お弔いに花が使われたなんて話もありますね。

うん。

人類史でも、この一年で世界中で急激に変わっているので、本当に、これからの弔いの形を考えさせられる状況になりました。

ですよね。

そんな中で、我々も新しい状況に対応しなければいけないということで、今月の2月15日から非対面・非接触の「オンライン弔問サービス」と、「オンライン追悼サービス」を開始いたしまして。

反響はいかがですか?

リリースしてちょうど一週間経ちますが、早速実施させていただきましたし、お問い合わせも結構いただいている状況です。

なるほど。

簡単に、どんなものかというご案内を致します。

そうですね。

コロナ禍が始まって一年くらいというお話がありましたが、その中で変化がありました。かつては新聞にお悔やみが掲載されて、その場に駆けつけるということを行っていたんですが、集まれないということで、後日掲載化されて、把握できなくなったんです。で、後で掲載されると、お世話になった方のご自宅へ伺ったりするものですが、「いつまでも終わらない自宅弔問」という問題があって。

これは大変だよねぇ。自宅で弔問を受ける方も、お越しになれば対応しなきゃいけないもんなぁ。

そうですよね。例えば事前掲載であれば一回で終わるものではあるのですが、後日掲載では、相手のタイミングでお越しになるので、いつまでも終わらないわけですよね。このような問題を解決するために、オンライン弔問というサービスの提供を始めました。

なるほどねぇ。

これは、はがきのようなところに、QRコードというバーコードのようなものを印刷したものをお送りしたり、最近はメールやLINEなどのメッセンジャーサービスで相手にQRコードをお知らせして、それを読んでいただくと喪主さんが挨拶している動画や、お葬式を執り行っている、臨場感のある動画を後日になって見れるようになっています。

なるほど。

あと、弔問に来た方たちも、お悔やみの言葉を伝えたり、香典をお送りしたり、お花を届けたりといったようなアクションをしたい訳ですよね。

そうですよね。

そういったことを、クレジットカード決済で、オンラインで行なうことができます。で、受け取り側はそれを把握して、そのお返しもすることができるといったものです。

なるほどねぇ。

やはり、コロナ禍ということもありますし、自宅弔問というのはお互いに気を使いますよね。なので、非対面・非接触で安心して弔問できるように、オンラインでサービスを始めました。

人生でお世話になった方が亡くなったという知らせを受ければ、何かしらのリアクションを起こしたくなるのが人情だよな。

そうですよね。

だけど、しょっちゅう家庭に来られちゃ、ご遺族も大変だと。だから、オンラインで済むようになれば、大変良いことですよね。

とても便利な機能だと思っております。で、かつてのお葬式は、その日、その場所、その時間に行く必要がありましたよね。昨年の5月に我々が提供を始めた「お葬式ライブ」では、ライブですので、その日その時間に合わせて見る必要がありましたが、今回のサービスはある意味、オンデマントとかいいますが、行きたい人が好きなタイミングで参加できるという。なので、弔いの形としても、かなりの性質の変化があると感じます。

つまり、時間を超越できるということだよね。

そうですね。かつて中江兆民さんが告別式を開発したり、大隈重信さんが霊柩車を用いたという告別のスタイルからすると、正に時代の転換といいますか…。

革命的に変わったってことだねぇ。

時間も場所も超えるという。

なるほど。で、気になるのは料金なんだけれども。

先程の電報や香典を送れるようにするサービスは完全に無料です、ただ、お葬式の動画配信については、29,800円で提供させていただいています。

ほぉ~。

で、お葬式が終わって、いわゆる初七日までの一週間はそのお値段のままで後日見ることができると。

なるほど。

期間を延長する、例えば四十九日までというと、もう+19,800円お願いすることになるのですが。まぁ、そういったことも選べるようになったという感じですね。

ということは、お葬式の時はカメラで撮らなきゃいけないわけね。カメラマンも養成してるの?

私どもで、定点カメラと手元カメラで運用しているところです。

なるほど。いやぁ、篠原さんは色々と考えるねぇ。

まぁ、定着するかは分からないところではありますけれど。

今は緊急事態的な状況だからかもしれないけど、遠くにいらっしゃる方にとっては、相当便利じゃないかと思いますよ。

まぁ、考え方を変えれば、スマホ一つで葬儀に参加できるわけですから、車を出したり着替えたりというのが省略可されますから。

仕事があるとか、遠くにいるとかでお葬式に参列できない方っているわけだから、コロナが収まった後も、併用していくと思いますよ?

選択肢が増えていって便利になるということは。

悪いことじゃないからね。

個人的な見解を言うと、お弔いというのはその場にいる、といいますか、言葉を発さずともその場にいて、手を合わせるということが重要な気はしていますが、時代の変化というものがありますから。

病気とかでその場から動けない方だっているから、そういった方たちにも便利だよね。お葬式に直接行ける方はできるだけ行って、その場の雰囲気を、五感で感じていただくということ、これはとても重要なことだと思うよ。

そうですね。

ですから、篠原さんの提供しているようなサービスも併用していくような時代になるかも知れませんなぁ。

そうですね。時間、場所を超えてお弔いができるというのは、かつては浸透しづらいものではあったのですが、本当に、一気に時代が進んだなぁと感じますよね。

ということがございまして、現在のお葬式の形は非常に変わったというお話でした。篠原さん、やっぱり冬は亡くなる方が多いでしょう?

そうですね。とはいえ、コロナ禍でみなさんが気を付けているということで、やはり亡くなる方が少しだけ減ってるようですね。

それは良いことですね。それでは、本日はオンライン弔問のお話でした。ありがとうございました!