最近は時勢柄、大規模な葬儀を行わず、家族葬や火葬式を選択するご遺族も増えています。
呼ぶのは家族、あるいは親しい友人まで。そこに僧侶の方を足した20人に満たない人数で最後のお別れを過ごす。
そんなあり方がメジャーとなってきています。
そんなお葬式を考えた際、ひとつの疑問がわくことがあります。
「火葬式でも僧侶の方を呼ぶ必要はあるのか?」と。
一般常識に照らし合わせれば、「火葬式とは僧侶を呼ばず、お葬式をしないから火葬式なのでは?」
と思われるかもしれませんが、実は火葬式に僧侶を呼ぶことは可能です。
最近は徐々にそういった件数も増え、一般的な選択肢として存在しています。
ですので、ここではどういった場合に火葬式に僧侶の方をお呼びするのか。
あるいはその際の注意点に関してご紹介していきたいと思います。
火葬式を考えている方、迷われている方はこの記事を判断の一助にしていただければ幸いです。
1. 火葬式に読経は必要なのか
ではまず火葬式を行う際、どういった場合に僧侶の方をお呼びするのか。
結論から言ってしまうと以下の二つの場合が挙げられます。
・菩提寺他、付き合いのある僧侶の意向
・ご家族が「お別れの際、お経をあげてあげたい」と考えているとき。
まずは前者。これは、亡くなられた方の入る予定のお墓をお寺が管理している場合に多く起こります。
葬儀・火葬の先を考える時、お墓を菩提寺等が管理している際はまずそちらへ相談に行くのが当然の流れです。
その際にお葬式を考えている場合はそのままお葬式の相談となりますが、火葬式の場合はそうはいきません。
トラブル防止のため、費用や本人・家族の意向で火葬式にて行うことを説明し、納得いただく必要があります。
そのうえで、ほんのひと時でも読経の機会を、という形に話が進んだ場合に読経という運びになります。
僧侶の方の意向によってはお断りできる可能性もありますが、それらすべては僧侶の方次第。
後々のトラブル回避のためには、一度正式な話し合いの機会を持つことがおすすめです。
そして後者の場合。これはご家族・ご親戚の意向次第です。
費用や本人・家族の意向で火葬式を選択した際。
それでも先祖伝来の形式として、「お経」やそれに類する宗教儀式に特別な思いを持つ方は多くいます。
そんな時、妥協案となってくれるのが「火葬式での読経」です。
葬儀式ほど費用も掛からず、長い時間がかかることもないこの形式はご家族に負担なくお経を頂ける選択として広がり始めています。
葬儀式とは元来、亡くなられた方のための儀式であると同時に、残された家族のための儀式でもあります。
大切な家族の最期、たとえ短い形でも今までと同じ「読経」という作法の上できちんと送る。
「きちんと送ってあげられた」という納得は、考えている以上に送る側の心の支えとなってくれるものです。
自分、あるいは家族、友人が火葬式を考えているのであれば、一度「自分の考えるお葬式」がどんなものか考えてみてください。
きっとそれに少しでも近い形が「自分の納得できるお葬式」につながっているかもしれません。
もし、僧侶の方をお呼びしたい場合。菩提寺等、付き合いのある宗教者の方に連絡を取ってみましょう。
付き合いのある方がいない場合でも、現在では葬儀社が僧侶手配をしてくれる場合もあります。
自分たちにあった形を模索していきましょう。
2.お布施を渡す場合のマナー
宗教者・僧侶の方をお呼びする場合、儀式を執り行ってもらったお礼としてお布施の用意が必要となります。
これはお葬式・火葬式問わず変わることはありません。
ここでは正しいお布施の渡し方についてご紹介していきます。
白無地の封筒に入れる
本来は奉書紙で包んで渡すのがマナーとなっていました。
ところが、現在では通常の白無地封筒でかまわない、とされています。
コンビニエンスストアでも販売されているので、入手は簡単ですが、注意事項があります。
一つ目は郵便番号の枠が入っていない物を使う、ということです。
そして二つ目は封筒の中に紫の紙が入っていないものを使う、ということです。
白無地の封筒なので、郵便番号の枠が入っていてはいけません。
また、紫の紙が入っているということは、封筒が二重になっているととらえられます。
封筒が二重になっていると、「不幸が重なる」という意味にとらえられてしまうので、避けるようにしましょう。
濃墨で必要事項を書く
お香典の場合は薄墨を使用するのが一般的ですよね。
ですから、お布施も薄墨にするべきだと勘違いしてしまう方もいますが、そもそもの意味あいが違うので、使用する墨の濃さも異なるのです。
お香典は「故人の死に触れ、涙で墨が薄くなった」、という意味なので薄墨を使用します。
一方のお布施は「僧侶への感謝の気持ちを示す」、という意味合いなので濃墨を使用するのです。
お金も、お香典の場合は新札を避けますが、お布施の場合は僧侶に不幸があったわけではないので、新札でも問題はありません。
この時、お札の肖像画が表面に向くように入れましょう。
封筒の表面の上部、中央部分には「お布施」と書き、下部には喪主(施主)のフルネーム、または「◯◯家」と書きましょう。
通常、封筒の裏面には何も書く必要はないと言われていますが、地域によって多少の差異があるようです。
あらかじめ葬儀社の方に確認しておくといいでしょう。
切手盆に乗せるか袱紗に包んで渡す
本来は切手盆に乗せて渡すのがもっとも丁寧な方法だと言われています。
ところが、火葬場で切手盆を用意することは困難なことも多いので、袱紗(ふくさ)に包んで渡してもかまわないとされています。
この場合の袱紗は紫など、落ち着いた色のものを使用しましょう。
また、僧侶に表側の文字が読める向きで渡すのがマナーとされています。
加えて、切手盆や袱紗は床にはおかないように注意しましょう。
3.お布施を渡す際に必要となる僧侶へのお金
僧侶に渡すお金として必要となるのは大きく5つに分類されます。
そこで、それぞれについてご紹介していきます。
読経料
読経料の相場は3万〜10万円程度と言われています。
火葬場と安置所の両方での読経をしてもらう場合にはおおよそ10万円程度が相場となります。
ただ、この金額は地域によって、あるいは宗教者の方との付き合い方によって大きく変動します。
費用面が不安な際は同じ付き合いの親戚や、宗教者の方に直接確認して判断するのも一つの手です。
また、菩提寺があるにもかかわらず黙って別の宗教者の方に儀式をお願いすることは、トラブルに発展する可能性が多くあります。
菩提寺がある場合にはしっかり菩提寺の僧侶に読経してもらいましょう。
戒名料
戒名とは仏門に入る際に授けられる名前のことです。
ですから僧侶はみな戒名を持っています。
一方、多くの方の場合は仏門に入っていませんが、仏式の葬儀を行うためには、仏門に入らなければいけません。
そこで、亡くなった後に戒名をつけていただくことになるのです。
戒名の相場は位によって変動していきます。
基本は10〜15万円ですが、位の高い戒名をつけてもらう場合には100万円以上となることもあります。
また、夫婦で菩提寺に入る場合は戒名の位をそろえる、というマナーもあります。
なお、「戒名」は宗派によっても呼び名が異なります。
具体的には浄土真宗では「法名」、日蓮宗では「法号」となります。
この戒名の相場にも少なからず地域差や宗教者との関係による変動があります。
こちらの情報はあくまで参考となるので、詳しくしりたい場合は親戚や宗教者の方へ確認しましょう。
御車代
火葬場までの交通費としてお渡しするもので、5,000円が相場とされています。
御車代も僧侶に対して感謝の気持ちを示すものなので、新札を用いることが丁寧で良い、とされています。
御車代も白い無地の封筒でかまいませんので、上部中央に「御車代」と記載し、その下に喪主(施主)のフルネーム、または「◯◯家」と書きましょう。
御車代はお布施と一緒にお渡しするとよいでしょう。
なお、相場は5000円ですが、遠方から僧侶が来てくださる場合は5000円では足りないことがあります。
その場合は必要な交通費よりも多めの金額で区切りのいい額を入れましょう。
御膳料
通夜ぶるまいや精進落としを僧侶がご辞退したときに、お弁当か、相応の金額をお膳料として包みます。
お膳料の相場は5,000円です。
通常、通夜ぶるまい・精進落としともに5,000円ですが、火葬式の場合は火葬後の会食が行われるのみで、精進落としの1回となります。
なお、通夜ぶるまいや精進落としを行わない場合は、火葬式、一般葬問わず御膳料は不要となります。
4.まとめ
今回は火葬式にお布施が必要かどうかについてご紹介しました。
- 僧侶を呼ぶか呼ばないかはご家族次第
- 僧侶を呼ぶ場合はお布施が必要
- 僧侶を呼ばない場合はお布施は不要
- お布施は白無地の封筒に入れる
- お布施は濃墨で必要事項を書く
- お布施は切手盆に乗せるか袱紗に包んで渡す
- お布施を渡す場合に必要となるお金は、以下の4種類
このように火葬式の場合にお布施が必要か否かは僧侶を呼ぶか否かによって異なります。
生活が困窮している場合には葬儀にかける費用は少しでも減らしたいところでしょうが、菩提寺がある場合やお寺のお墓に入りたい場合には、僧侶に読経してもらい、戒名をつけてもらうことが必須となります。
菩提寺の有無とお寺のお墓に入りたいかを、事前にご遺族で統一しておくようにしましょう。
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