葬儀入門~葬儀について一から学ぶ~

お葬式とは?

そもそも「葬儀」とは何を指すのか?なぜ葬儀を執り行う必要があるのか?という疑問をお持ちの方もたくさんいらっしゃると思います。


幸はいつ起こるか予測できないものです。

不安を少しでも和らげるためにも、最低限の知識をつけておきましょう。

葬儀とは

葬儀とは、狭い意味では葬儀式(葬式)を指しますが、広い意味では葬送儀礼の略称として使われます。

臨終から死後の喪に至るまでの、死別に出合った人が営む、一連の儀式のことを指します。

葬儀はなぜ執り行うのか

人は誕生とともに家族の愛によって育まれ、ある人は自分の家庭を築き、社会生活を営みます。しかし、生ある所に死は必ず存在し、人もいずれ死んでいきます。死というものは多様であり、それは突然の交通事故であったり、病であったり、あるいは自死であったりします。そのような個別的である死に対して、死者への切実な想い、遺された者の悲しみとそれへの共感、これらの想いと共に死者を葬ることを非日常的なこととして、手厚い儀礼をもって弔うことが大切であるとされてきました。

葬儀の役割

1,社会的な処理死の通知、死亡届の提出
2,遺体の処理埋葬、火葬
3,霊の処理この世(現世、此岸)とあの世(来世、彼岸)
4,悲嘆の処理心の痛み(グリーフ)とそのケア
5,さまざまな感情の処理恐怖感の緩和と弔いの儀式

葬儀の役割には上の5つがあります。

まず、社会的な処理では、社会にその人の死を通知したり、現代では役所に死亡届を提出して戸籍から抹消したりなどの手続きをします。

次に、遺体の処理についてです。遺体は時間を経ることで腐敗していきます。死者の威厳を保つためにも遺体の処理は必要とされています。また、遺体の処理は人との訣別の時でもあるため、単なる物理的な処理とは言えません。

3つ目は、霊の処理についてです。人が亡くなるとその霊をこの世からあの世に移す必要が生じます。宗教的な儀礼を通して死者の霊を慰め、あの世での幸せを願うとともに、死者と遺された人との間に新たな心的な関係を築いていくことが求められます。

4つ目は、悲観の処理です。人の死というものは周囲に大きな心の痛み(グリーフ)を生じさせます。特に家族や配偶者など関係が近い人は身を切り裂くような思いさえ生じることがあります。この悲しみは回復までにしばしば長い時間を要することがあります。このような心の痛みを抱える人は、その感情を表出し、悲しむことによって徐々に癒されていきます。周囲の人は、心や想いに寄り添い、回復を邪魔しないようにすることが重要です。

最後に、感情の処理についてです。歴史的にみると中世の時代では、人の死というものは悲観の感情以外に、新たな死を招く崇りのようなものを引き起こすのではないかという恐怖心も生じさせていました。こうした恐怖心を緩和するために儀式が執り行われてきました。

葬儀の教育的役割

葬儀の教育的役割

人の死を悼んで人々が集まり営まれる葬儀は、集まる人々に人の命の大切さ、生ある人は必ず死ぬべき存在であることを知らしめます。そこで人々は、死が周囲の人に悲嘆をもたらすほど大きな事実であることに直面しこの体験から、生のかけがえのない大切さを知ることができます。

そういった意味で、現在自宅葬の数が減って葬式を近所で見かけることが少なくなっていますが、子供たちが葬式を体験する場合は、目に触れさせないよにするよりは十分に感じてもらえるような体験として大切にしたいものです。

そうして葬式を経験すると私たち生きている人間もいずれ死にゆく命であると思いをいたすことになると思います。私たちは葬儀という儀式を体験することで、死者を悼むとともに命について学び、命の歴史を受け継いでいるのです。

葬儀と文化

葬儀と文化

葬儀は、地域、民族、宗教などの要素が絡み合って、様々な文化を作っていきました。人の生活文化や精神文化が反映されたものであり、人の生死の総合文化といっても過言ではありません。

葬儀には、人々の知恵がたくさん詰まっています。過去の残存物だと切り捨てるのではなく、その意味を学ぶことが大切です。その文化がなぜ、どのようにして形成されてきたかに思いをいたすことにより、長く続いた慣習、儀礼、文化から人々が何を大切にしていたかを学ぶことができます。

しかし一方で、葬儀の風習には負の部分も存在し、ケガレ、死へのいたずらに恐怖感を煽ることから差別をうむこともあります。逆縁の場合(子が親より先に死ぬ場合)遺族の感情を逆撫でしかねない習俗があります。意味を考えて、批判的継承がひつような場合も少なくありません。

最後に

私たちも歴史に連なるものとして、この時代に生きており、今までの葬儀文化を大切にしながら今からの時代に合った葬儀を作っていく責任があります。いまだかつてない超高齢化社会を迎え多様な死生観も現れ、葬儀は大きな転換期にあります。こういう時こそ葬儀文化を学びなおすことが必要となってくると思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です