葬儀が始まる前、または最期のお別れで花を棺に添える時、葬儀場では美しい音楽が流れます。日本のほとんどの葬儀場では、クラシックのBGMが流されますが、こういった曲も国や宗教によって様々です。
中には故人が大好きだったアーティストの思い出の曲を流すことがあったり、故人のサークル活動や部活動の仲間、友人たちが演奏や合唱で送ることもあります。
どんなときにも、どんな時代にも音楽は人の心を代弁してくれる存在なのかもしれません。
葬儀中に流れる音楽
葬儀場で僧侶が来る前、遺族や参列する人が棺の中で眠る故人とのお別れのとき、BGMと流れている音楽があります。一般的に流れる曲はクラシックが多く、中でも多いのが「G線上のアリア」「亡き王女のためのパヴァーヌ」「別れの曲」があります。
このほかにも、「精霊流し」「川の流れのように」などがあげられるようです。また、音楽が好きな方は音楽葬というのもあり、葬儀場によっては生演奏をお願いできるというのもあるということでした。
こういった音楽は、開式前の故人とのお別れの他、司会の人が故人を紹介する時や弔電を読み上げる時、遺族の代表や喪主の挨拶や謝辞のときにも流れます。
音楽があることで、お別れの悲しみだけの暗い気持ちが少しでも和らいだり、故人の好きな音楽が流れることで故人の思い出に浸ることができるなど、いろいろな意味があるようです。
欧米では教会の祭壇まで故人の棺を運ぶときや、墓地まで運ぶとき、ショパンの「ピアノソナタ第2番~葬送~」やベートーヴェンの「交響曲第3番~英雄~」などを流します。
しかし日本国内の葬儀ではあまり使われないようです。日本の葬儀の雰囲気には、合わないということもあるのでしょう。
自分が好きな曲を流してもらいたい
自分が好きな音楽を葬儀で流せるか、ということについては著作権の問題が生じます。いくら故人がCDを持っている、ダウンロードしているということがあっても、流す側の葬儀会場がその権利を持っていなければ流せません。
とくに、平成、令和になってから作られた曲などは、葬儀場と一般社団法人日本音楽著作権協会の間に契約を結んでから、利用してもらうことになります。
そこでどうしてもその曲を流したい、という時はいくつかの方法があります。一番簡単な方法は、自宅葬にすることです。
自宅で流すことに対しては、葬儀場が権利を有する必要はありません。二番目は前もって葬儀場に相談をし、契約をしてもらうことです。
初めての契約にはお金がかかりますので、こういったことは生前に葬儀会社と打ち合わせができている故人や遺族に限ってしまいます。
三番目は故人や遺族、知人があらかじめ演奏したり、歌って録音していたものになりますが、この場合も葬儀会社に確認をとったうえでお願いしましょう。
また、葬儀会社では一般的に流されるクラシックの他に、常時10曲くらいストックしてあるところもあります。その中から、故人が好きな曲を選んでみるというのも一つの方法ですね。
最近利用されている曲としては次のようなものがあります。
「千の風になって」「涙そうそう(夏川りみ)」「アメイジンググレイス(ジョン・ニュートン)」「雪の華(中島美嘉)」なども挙げられます。
ほかに人気の曲といえば、「ありがとう(いきものがかり)」「時代(中島みゆき)」「炎(Lisa)」もあります。
ほかにもスピッツやコブクロなどの現代アーティストの曲もあり、自分が好きな曲、家族が好きな曲があればチョイスするのもおすすめです。
このほかでおすすめしたいのは、唐沢美帆(TRUE)の「REBIND」になります。2023年1月発売のため、あまり知られていない曲ですが、歳を重ねる老夫婦と、そして妻を残して逝く夫の心を乗せた歌になります。
高齢の夫や父親を送る遺族にとって、おそらく故人の気持ちを代弁するような歌に、感動し涙することでしょう。
葬儀中流してはいけない曲
葬儀場で流してはいけない曲、といえばやはり不謹慎に思える曲になります。明るすぎる曲はあまり適切でないかもしれません。
また、今風のリズムが不規則な曲、激しいビートの曲も似つかわしくないと思われてしまいます。いくら歌詞がよくても、ロックや演歌などが、ほとんど使われていないのはそういった理由でしょう。
さらに歌詞の中で、お祝いを歌い上げるような曲や、今後を祝福するような曲は不謹慎かもしれません。結婚式でよく利用される曲は明るく前向きな曲が多くあります。
もちろん一般社団法人日本音楽著作権協会の間に契約がない曲は、葬儀場で流すことはできません。権利や規則に反することは、そもそも犯罪になってしまうので気を付けてください。
どれほど故人が好きな曲でも、まずは契約上可能であることを確認しましょう。そしてこういったことは、必ず葬儀会社に相談してください。
流してほしい音楽のお願いの仕方
葬儀場によって契約している曲は異なりますし、CDや自分が持つ音源でも可能という葬儀場もあるかもしれません。そこでまずは、担当するであろう葬儀会社に相談してみましょう。
自分が判断することができる前に自分の好みの曲があれば、元気なうちに相談をしておくことが大切です。高齢の親が好きなアーティストや歌がわかっていれば、遺族でもお願いすることはできます。
また、オリジナルの曲や生演奏をお願いする時は、防音設備や音響装置の確認も忘れないようにしてください。誰もが耳にする「G線上のアリア」や「アヴェ・マリア」も良い曲です。
しかし、最期を送ってあげる時に流したい曲を選ぶことで、遺族は故人を偲んだり、思い出すこともできていいかもしれません。
まとめ
どんな葬儀をするのか、葬儀で何を重視するのかということは、人によって違います。金額を抑えるなら、最低限の規則にのっとった葬儀になります。
逆に金額をかければ、ある程度自分の希望に沿った葬儀をすることができます。その予算内でできることとなれば、好きな曲をかけてもらうというのは、さほど難しいことではありません。
前もって葬儀会社に相談し、好きな曲で送ることができるような準備をしてみましょう。
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