DIY葬儀~昔と今はなにが違うの?

DIY葬、つまり手作りで葬儀をすることですが、なぜ今更DIYなのか、と疑問に思う人はいませんか。

皆さんが幼いころ、田舎の祖父母が亡くなった時に、田舎では葬儀をセレモニーホールなどで行っていたでしょうか。

近所の人が集まって、葬儀のお手伝いをしていたのではないでしょうか。
そんな記憶がある人たちも、今では壮年と呼ばれる年齢となり親の葬儀で施主を勤める年齢となっているかもしれません。

親が亡くなり葬儀会社にお願いしたら、僧侶へのお布施を合わせて100万円を超えることも良くあります。

せめて自分の子どもにはそんな負担をかけたくない、そう思った人の中には昔のような葬儀ができないか、と考え始めている人もいるかもしれませんね。

昔の葬儀と現代の葬儀

同じ日本で行われる仏教の葬儀でも、わずか30年くらいの間に色々と形が変わってきました。

昔の葬儀の方が良かったこと、今の葬儀で良かったこととそれぞれメリットデメリットとありますが、これからも変化していくのかもしれません。

同じ葬儀会社に任せる葬儀でない方法でも、昔と今では何が違うのか、どうして違ってしまうのかを考えてみましょう・

昔の葬儀と今の葬儀~花~

花輪、花環というものを知っていますか。

昭和のころは新しい店が開店する、新装オープンするときは赤い大きな「花環」というものが飾られました。

そして葬儀のときは、同じように黒い花環が飾られる地域が多くありました。

若い世代の人たちが「はなわ」と聞くと、花で作ったリースを思い浮かべるかもしれません。
昔の花環は家の塀くらいの高さがあり、これを葬儀が行われる家の周りに飾っていたのです。

花環は現代の葬儀場にある、供物と一緒に祭壇に飾られるスタンド花や花かごのような役割をしていました。

花環を作る会社では、葬儀が行われる家に貸し出す形で、終わった後はまた違う葬儀でも使うようにしていたようです。

若い人が見たら、造花だからビニールやプラスチック製で環境に良くない、と思うかもしれません。

しかし、供物として捧げている生花は枯れてしまうため、棺に入らない分は遺族が持ち帰るか、葬儀会社が処分をすることになります。

さすがに、他家の葬儀で使った生花を使いまわすことはしません。

生花は自然なものですが、ロングユースをすることができず、枯れれば生ごみになります。
これはこれで、もったいないという人もいるので、どちらも一長一短です。

そのため、処分することにならないよう、できるだけ遺族や弔問客に花束にして持ち帰ってもらうようにしています。

このように、生花を無駄にしたくないということから、故人が育てた花を棺に入れる、無駄な花を飾らないといったシンプルな祭壇を選ぶという方法が、今のDIY葬にば適しているでしょう。

昔の葬儀と今の葬儀の葬儀場の違い~会場~

昔の葬儀は、僧侶が故人の自宅に来るか、お寺で行われていました。

今でもお寺で行っているところもありますが、ほとんどがセレモニーホールなどの葬儀会場を借りています。

本来の日本の家屋は、畳敷きの部屋がふすまで仕切られていました。
襖で仕切ることで独立した部屋を意味していましたが、襖をはずすことで一つの大きな広間にすることが可能でした。

そのため、冠婚葬祭はもちろん、大家族が一つの部屋に集まって様々な行事を行うことができました。

しかし昨今の家はリビングダイニングは一つになったものの、昔の家と比べるとさほど広さはありません。

家族がくつろぐことはできても、それぞれが個の部屋を持ち、家族や親族がみんなで集まる部屋がない家が一般的です。

ましてマンションで暮らす都市部の人の家は、冠婚葬祭どころか親族が宿泊する部屋がないというのも普通になっています。

こういった住宅事情の家では、家族葬をするにしても葬儀場を借りなければ、葬儀を上げることもできないのです。

そのためDIY葬にするなら、菩提寺の僧侶によく相談をし、お寺で葬儀をあげるか、火葬のみの直葬にするかを選択することになります。

元々菩提寺がなく、宗派もお墓もない場合は、僧侶なしの葬儀を選択して、直葬という選択が最も簡便化したDIY葬です。

昔の葬儀と今の葬儀の葬儀場の違い~親族~

昔は兄弟姉妹はもちろん、叔父伯母従兄弟姉妹など、多くの親族が同じ地域に住んでいたり、常に連絡を取り合って、弔事のときは協力しあっていました。

しかし今は、子どもの数はもちろん、孫や従兄弟姉妹がいない人も少なくありません。

戦後に結婚した夫婦のほとんどが生んだ子の数は一人から二人、多くて三人という家庭がほとんどで、一人っ子がすでに60代70代と、施主の世代になっています。

一人っ子が施主の場合、親の兄弟姉妹がまだ元気で存命か、近しい従兄弟などがいるか、といったことでも、参列する人の数が少なくなるのではないでしょうか。

一人っ子同士が結婚し、子も一人っ子だと、四人の高齢者に対して孫はわずか一人、という人もいることでしょう。

孫が小さく両親も祖父母も元気なときは、すべてを独り占めできて良いかもしれません。

しかし万が一、親が早く亡くなってしまったらどうしたらよいのでしょう。

もし祖父母を残して60代の親が先に逝ってしまうと、若い子どもは自分一人で高齢者の祖父母の面倒を見なければならない、葬儀をしなければならない、ということも出てくるのです。

昔は家で親族が集まって、みんなでできた葬儀も、一人では何もできません。
叔父や叔母はもちろん、兄弟姉妹もいない子に何ができるというのでしょう。

そこで葬儀会社にお願いして、お金でおまかせしたくなるというのも致し方ないということになります。
しかしこれはお金がある場合、お金を祖父母や両親が残してくれている場合です。

もし何もなかったら、直葬だけの葬儀になっても仕方ないのかもしれませんね。
このように、葬儀会社に頼らない葬儀でも、昔と今では大きな違いがあるようです。

昔はできても今はできないこと

それでは、様々な事情を考えてDIY葬を選んだとしましょう。
親の葬儀、祖父母の葬儀を葬儀会社にお願いすることなくDIY葬にすると決意したら、まずは昔はできて、今はできないことを調べます。

まず、今は土葬をすることができません。
必ず火葬を選ぶことになりますので、火葬場の手配が必要です。

また、火葬になるため棺もある程度決められたものが必要となりますので、購入しなければなりません。

ご遺体を家に運ぶ際にも死亡証明書が必要になります。
病院で亡くなった場合はもちろん、自宅で亡くなった場合も火葬する前に医師による死亡診断とその証明書がないと、火葬することが不可能です。

もし、こういった手続きをしないと遺体遺棄の犯罪になるため、きちんと法律を守りましょう。

逆に葬儀を行うと、葬儀費用が自治体から援助してもらえます。
こういった手続きも忘れないようにしましょう。

近年、墓を持つとお金がかかるから海に散骨してほしいという人がいますが、海洋散骨も無許可ではできません。
許可のある場所に散骨をしますが、この場合は個人で行うほうが船のチャーターなどがかかり高額になります。

DIY葬のつもりがかえって費用が高くなったということになりますので、節約したい場合は葬儀会社を通して集団の散骨を選んでください。
ただし、海洋散骨は海の汚染につながるため、一部の遺灰以外はできないという場合が多いようです。

また、アメリカなど遺灰を巻く場所が自由に選べる国もありますが、渡航費を考えるとその方が高くつく、ということもあります。

昔は近隣の人が葬儀の手伝いをするのが、当然のように思われていました。
しかしこういった風習は、すでに地方都市でも少なくなっています。

近隣の人が知らないうちに葬儀が終わっていた、数年前に亡くなっていたのに気がつかなかったということも珍しくないようです。
こんな時代ですので、近隣の人の手をあてにすることはできません。

同じように親族の手助けもあたりまえと思わないようにしましょう。
高齢者の場合は、親族どころか兄弟姉妹も知らないうちに亡くなっていた、ということですら珍しくない時代です。

昔はあたりまえだったことが、どんどんとできなくなっています。
その代わり、できなかったことができるようになりました。
法律をしっかり学び、今自分でできる範囲で、DIY葬を考えてみましょう。

昔の葬儀の知恵を生かす

昔の葬儀でやっていたことで、今自分たちができる一番簡単なことは、亡くなった人への供物のお団子や、お清め、通夜ぶるまいの料理です。

葬儀会社によっては、亡くなった人の前にそなえる団子もそろえてくれるため、請求書に乗ってきます。
口にするものではなく、供物として飾るものなので不格好でも大丈夫です。

団子は米粉があれば、簡単に作ることが可能です。
そして一番お金がかかるのに、納得できないのが通夜や葬儀のあと、参列してくれた親族などにふるまう料理です。

一人三千円、五千円とお金をかけて用意するのに、実際にはそれよりも少ない参列者しかこない、食事をせずに帰ってしまう、ということもあります。
それなら、むかしのように煮物やてんぷら、そばなどを自分や家族の手で作ってお礼の気持ちを伝えましょう。

お金をかけても、余って捨ててしまったり、中にはせっかく出した料理に対して文句を言う人もいます。
結婚式ならまだしも、精進落としの料理で文句を言われるとさすがに、気持ちがいいものではなくなります。

そこで自分の手で作ったもので精進落としをしてみましょう。
刺身はさすがに無理でも、料理好きな人ならこういったものを用意することも可能です。
一昔前の贅沢な精進落としから、SDGsで時代を先取りした新しい精進料理というのも良いでしょう。
100均でも手に入る便利な料理グッズを駆使して、煮物にてんぷら、炊き込みご飯など、手作りの精進料理で参列してくれた人をもてなしてください。

昔ながらの葬儀をする、という形を取ってもだれも文句は言わないはずです。
返礼品も同じです。

タオルやお茶に一筆添えて、故人の思い出と参列してくれた方へのお礼の気持ちを添えれば、お金をかけることばかりが良い事、とは限らなくなります。

DIY葬儀で原点回帰

自宅でDIY葬を行うなら、昔ながらのシンプルな祭壇でも大丈夫でしょう。
棺の前に飾る団子や供物も、手作りのご飯にお団子、そして故人が育てていた花を供えるだけで立派な祭壇が完成します。

写真も故人がかつて撮っていた証明写真を元に、自分で加工して購入してきた写真用の額に入れます。
着物が縫えるなら、仏衣も手作りのものでもいいですね。
昔は今のように物が豊富ではなかったため、故人が寝巻きとして着ていた浴衣をそのまま、という地域もあったようです。

家の仏間の前に祭壇を作って僧侶に読経をお願いすれば、昔ながらの葬儀の出来上がりです。

DIY葬というと新しい形の葬儀のように思えますが、見方を変えるとお金で何でも解決してきた世代の人が、昔ながらの手作りの葬儀に戻っていくのかもしれません。

まとめ

お金を出して、これでもかというくらい華やかに故人を送るのが、故人の希望ならそれはそれで良いかもしれません。

しかし亡くなった人がそれを望んでいないなら、送る人の心がこもった手作りのDIY葬というのも、昔と同じでいい葬儀になるのではないでしょうか。

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