『労災』、正式名称『労働災害』は、 一家を経済的に養っている方が業務上の不慮の事故・病気で亡くなった際、ご家族の生活を保証するための制度です。
これらの制度をよく知っていれば、必要以上に高額な生命保険に加入している場合、保険料を削減できる可能性があります。
遺族補償年金とは
一家の働き手が、仕事中の災害や、通勤途上の災害、または仕事内容そのものが原因でお亡くなりになってしまったとき。遺族は健康保険からの代わりに労働保険から「遺族補償給付」を受けることができます。
遺族補償給付には、年金としてもらえる「遺族補償年金」と、一時金としてもらえる「遺族保障一時金」の2種類があり、それぞれ異なる状況に対応しています。
労働者の方が業務上の事由によりお亡くなりになってしまったときには、原則として「遺族補償年金」が支給されることになっていますが、遺族補償年金を受けることがてきる遺族がまったくいない場合や遺族補償年金を受けていた受給権者のすべての人が権利を失った場合に、すでに支給された遺族補償年金の合計額が給付基礎日額の1,000日分に満たないときに限り、「遺族補償一時金」が支給されることになっています。
支給額について
遺族補償年金の額は、受給権者及び受給権者と生計を同じくしている受給資格者(55歳以上60歳未満の夫、父母、祖父母、兄弟姉妹は60歳になるまで含めない)の数によって以下の通りです。
受給権者が複数いるときは、その人数で除して得た額が、それぞれの受給額となります。
なお、受給資格者とは遺族補償年金の支給を受けることができる条件を満たしている者のことで、受給権者とは今現在その最上位にいる者(実際に遺族補償年金を受給する者)のことです。
給付基礎日額の
- 遺族1人 153日分(55歳以上の妻または一定の障害の状態にある妻の場合175日分)
- 遺族2人 201日分
- 遺族3人 223日分
- 遺族4人 245日分
と、なります。
なお、遺族補償年金の受給権者には、特別支給金である遺族特別支給金とボーナス特別支給金である遺族特別年金も支給されます。
お手続き方法
①遺族補償年金
遺族補償年金の支給を受けようとするときは、死亡日の翌日から起算して5年以内に、「遺族補償年金支給請求書」(労災則様式第12号)を労働基準監督署長に提出します。その際に、受給権者の戸籍謄本等の書類を添付します。 受給権者が2人以上いる場合は、原則としてそのうちの1人代表者を選んで、年金の請求と受領を行う必要があります。
②遺族補償一時金
遺族補償一時金の支給を受けようとするときは、死亡日の翌日から起算して5年以内に、「遺族補償一時金支給請求書」(労災則様式第15号)を労働基準監督署長に提出します。その際に、生計維持関係を証明する書類、受給権者の戸籍謄本等の書類を添付します。
葬祭料も支給されます

葬祭料(葬祭給付)は厚生労働省から労働保険として支給されます。
額としては、基礎となる315000円に給付基礎日額の30日分を加えた額か、給付基礎日額の60日分の、多い方の金額が葬祭料として支払われます。
請求方法は「葬祭料請求書」に、会社の証明を受け、故人の勤務先を監督する労働基準監督署に提出します。
一つ注意したいのは、葬祭料を労災保険から受け取った場合、健康保険組合からの埋葬料がでない、ということです。
健康保険組合からの埋葬料は基本的にはご5万円で固定なので、どちらがよりよいかは状況によって異なってきます。
お間違えのないようお気をつけください。
まとめ
今回紹介した『遺族補償年金』の知識は、日常生活で頻繁に使われる種類の知識ではありません。しかし、覚えておくと損をしない知識です。
例えば自分に万一のことがあった場合、遺族にどのくらい遺族年金が支給されるかを知っておけば、それを踏まえて生命保険に加入すればよく、「保険の入り過ぎ」を防ぐことも可能です。
万が一の際はご活用ください。