香典返しとは
お通夜、告別式で頂いた香典へのお返し
香典はもともと、亡くなった人へのお供え物であると同時に、突然の不幸に見舞われた遺族への支援の意味もありました。現在では、葬儀の大部分を葬儀社が担うようになり、遺族の金銭的負担もそれに伴い大きくなったため、香典は遺族の葬儀代に充てて負担を減らす相互扶助的なものとなっています。
葬儀が終わると、遺族は葬儀の支援のお礼として品物を送ることが慣例となっています。これを香典返しと呼びます。
香典返しに送る品物は「すぐに使えてなくなるもの」
香典返しに贈る品物には「不幸をいつまでも残さないように」という意味を込めてすぐに使えて、形を残さずなくなるものが好ましいとされています。また、贈られた側がいつでも使えるように、ある程度日持ちがよいものを選ぶことも大切です。
香典返しはお茶や海苔、乾物やお菓子など日持ちのする飲食物が定番となっています。また、タオルや石鹸など、日用品の中でも使っていてなくなる消耗品も香典返しによく贈られます。
香典返しで避けるべき品物
保存食であれば香典返しに合いそうですが、昆布や鰹節などは結婚式などの慶事に贈られるものなので、弔事である香典返しにはふさわしくないとされています。
また、四ツ足生臭ものと呼ばれる肉や魚などは、日持ちもよくなく殺生をイメージするため、香典返しには避けるべきとされています。お酒などの嗜好品も避けるべきでしょう。
また、香典返しはお返しする品物の金額を相手に伝えないようにする心遣いも大切です。そのため、現金や商品券などの価格がお返しの金額が相手にわかってしまう贈り物は避けましょう。
香典返しの品物の相場
香典返しの相場ですが、いくらに対していくら返すべきという決まりはありません。一般的にはもらった香典の金額の半額相当のものをお返しする半返しが多いですが、送料も考慮して4割〜半額相当のものが香典返しの相場と言えるでしょう。
忌明けに返す後返しと葬儀当日に返す即返しがあります。
香典返しの時期は忌明けの四十九日法要後
香典返しを贈る時期は一般的には忌が明けてから、すなわち四十九日法要の後に贈ります。仏教では故人が亡くなってから四十九日間はこの世とあの世を行き来している期間(中陰)と考えられており、追善法要を行う期間とされています。
そのため、本来では遺族は忌中の間は7日ごとの追善供養に専念しており、また死穢が残っているとの考えもあり、香典返しは忌明けの四十九日法要後に贈るものとなったのです。
近年では葬儀当日に返す「当日返し・即日返し」もある
もっとも、最近では遺族の負担を軽減するため、初七日法要を葬儀・告別式に繰り上げて行うことが一般的となり、四十九日法要以外の法要も省略されることが一般的となってきました。香典返しも一人ひとりの香典帳を確認し、もらった香典の額に見合うお返しをセレクトしなければならないため、四十九日法要の準備とともに香典返しの準備もしなければならないなど、遺族にとって負担は少なくありませんでした。
そこで、近年では葬儀・告別式当日に参列者に通常の金額のお返しに相当する香典返しを一律でお渡しして、通常より大きな金額の香典を包んだ人に対しては、四十九日後に改めて差額分のお返しを贈る形式も多くなってきました。葬儀当日にお返しすることから、即返しや当日返し、即日返しなどと呼ばれています。
増えてきたカタログギフトでのお返し
香典返しに限らず、ギフトを贈る側の一番の悩みどころは相手がもらって喜ぶものは何かというところではないでしょうか。
近年、冠婚葬祭の贈答品やお中元・お歳暮などで人気を集めているのがカタログギフトです。これは、カタログを送付し、受け取った人が自由にギフトを選べるものです。
カタログギフトのメリットは以下のとおりです。
- 贈るものを選ぶ手間が省ける
- 受け取るギフトを選択できるので、不要なものや不快なものを贈る心配がない
- 受け取る人の好みに合わせられるので、贈る側にとってタブーだったものも贈ることができる
- 商品券などと異なり、金額は明示されない
カタログギフトの送り方
香典返しを贈る側は、価格ごとのコースを選択して贈ります。のしや包装紙なども選択できるところもあります。
半返しに最適な2,500円ほどのコースから、高額な香典へのお返しに最適なコースまで様々で、カタログの内容も食品や日用品だけでなく、スポーツやホビー用品など多岐にわたります。
特に高額な香典へのお返しは、お返しする品物の金額も大きいため、相手が欲しいものを贈ってあげたいものです。