今年初めてのラジオということで、どうでしょうか、つばさ公益社もちょうど一カ月経ちましたね。
そうですね。昨年12月20日がオープンでした。
大変賑やかなオープンでございましたね。私もホールに伺いまして、皆さんと真剣に、死や病気についてお話し合いをする機会を持った訳でございますけれどもね。
お集まりになった方々と距離が近いところで、武田先生や皆さんのお話に触れることができて、とても楽しかったとご好評でした!
ありがとうございました!
さて、山ノ内町の栗かのこさんからお便りいただいてます。「この寒さもあり、亡くなる方が多く新年から辛いです。年の同じぐらいの人が病気になったと聞き心が痛みましたが、自分も健康に留意するお年頃と教えて下さったと考えて、やはり野菜などを沢山食べて頑張ろうと決意しました。」
冬はやっぱり亡くなる方が多いんだねぇ…。
そうですね、12月末から年明けにかけて、つばさでも忙しい状況が続きました。寒い時期は、体調を崩す方も多いと思います。
つばさ公益社さんは去年の12月にオープンでしたが、事業の方は順調ですか?
本日でちょうど一月(ひとつき)くらいですが、これまで6~7組程ご依頼をいただいておりまして…思っていた以上にニーズがあるというか、期待を寄せていただいているので、頑張っていきたいと思っております。
つばさ公益社さんは、明朗会計!それが一番だね。
そうですね。
お葬式って、お金がどのぐらい掛かるのか分からないものだけれども、つばささんでは色々なプランがあって、それを参考にすれば無駄な出費が無くなるから、安心してお葬儀ができますよね。
事前に費用を可視化することを命題として始めまして、そのコンセプトを色々な人に受け入れてもらっています。
火葬式や家族葬など、色々なプランから選べるようですね。これから増々高齢化社会になっていきますから、格安でもできるお葬儀プランもあって、便利だと思うよ。
この金額で済むなら安心だ、と思ってもらえるようなプランを提供していけたらと思っております。
そうですね。
やはり、お金は生きている内に使いたいというお考えもあるでしょうから、葬儀費用を最小限にしても十分なお葬式ができるような施設運営をしていきたいと思っております。
お金貯めて使う頃にはあの世行き。それじゃ困っちゃいますよねぇ。
本当ですね 。何歳まで生きられるのかというのは分からないですし。
そこだよな 。今日のテーマは「長生きは幸せか」。これは難しいテーマだね。
本当に難しい問題です。長寿化してきているけれども、果たしてこれが幸せなんだろうか?と問われてきていて、実は、2日前に海外から入ってきたニュースで、イギリスのメイ首相が「孤独担当大臣」という方を任命されたと。
面白いね、これは。
高齢の単身化というのが日本で問題になっていますが、イギリスでも、現代の暮らしの中で、多くの人が孤独を抱えていて、それを対処する為に孤独担当を任命したと声明されたそうです。イギリスの人口は6500万人ぐらいなんですが。
日本の半分だな。
その中で、約1000万人の方が孤独を感じていると、アンケートの結果に表れているようです。
6人に1人だね。
自分は1人きりなのではないか、社会で孤立しているのではないか、と感じている方が結構多いようですね。イギリスでは、孤独を一種の病だと捉えていて。
病として見ているんだね。
孤独という病に対して、国で本腰を入れて取り組んでいかなければいけないということで、我が国の社会、そして我々全員が抱える孤独という問題に向き合い、孤独な人々に対して行動を起こしていくと発表がありました。
世界的にも珍しいんじゃないですか?
珍しいですね。孤独に対して対処していく大臣。
面白いね。
イギリスでは、メディアやスポーツを担当してる大臣が兼務という形で働くそうです。こうして、世界的にも孤独が問題になって、国によっては病と同じ重みで捉えるような時代になってきたんだなぁ…と思いました。
そうですね。
高齢者の単身化や孤独というのは、長生きに密接な関わりがあると私は考えています。
2017年の8月に、二冊の衝撃的な本が発表されて、様々な議論がされまして…一冊目は、作家の松原さんが書かれた「長生き地獄」という本。
ほぉ。
二冊目は、脚本家の橋田壽賀子さんが書かれた「安楽死で死なせて下さい」という本で 、この本は様々なところで取り上げられました。ご本人の希望している死に方や時期を、自分で選びたいというような内容の本になるのですが。
なるほど。
橋田壽賀子さんは現在92歳で、旦那さんに先立たれていて子供さんもいらっしゃらない、親しい友人もそこまでいないと語っていて、仕事に邁進してきたのだけどもそれもやり尽くしたし、世界各国の行きたい所にも行ったし、やり残したことも会いたい人も特にはいないのですが、凄く気になっていることがあるそうで…。
なんでしょう?
今は元気で健康だけれども、病や認知症になったり、人様に迷惑を掛けるというのが凄く気がかりだと。
誰もが同じことを思ってると思うよ。私もそう考えます。
多くの人が恐怖や不安を感じるところではありますよね。
ここが凄くキーワードだと思うのですが、自分自身の尊厳ある最期という意味で、ご本人が考えた到達点が安楽死なんですね。今現在、安楽死を唯一受け入れているのは、スイスの団体だけなんですが、そこに渡航して行く形も真剣に考えていると書かれていて、これが多くの人の共感を集めましたし、ある意味ショッキングな内容で、長生きしたり、長寿化していくことが、果たして幸せなのか?という問いかけにもなっていて。
「九十歳。何がめでたい」という本もベストセラーになってますよね。
昔は長生きが疑い様なく幸せな状況でしたが、現在、亡くなる方が増えてきた中で色々な事案に向き合ったり、もしくは認知症などの理解が進む中で、高齢化を問題視するようになってきましたね。そこで、自分の長寿とどう向き合ったらいいのか、多くの人が悩むところですが、延命治療という世界ではなく、自然に生きていく、生活の延長線上での死のような…。
自然死ですね。延命死ではなくて、自然死を選びたい人ってやっぱり多いんじゃないのかな?
そうですね。食うに任せて食物を摂り、なるべくそれ以外の栄養源に頼らないでいたり、自分の力で歩いて生活したり、そうした生活の中で自然に老衰していくような形がいいという提案がされてきていますが、一つ行き詰まり感というか、それはそれで幸せな最期か、といったときに、日本人の長生きや高齢化や長寿化の先に、幸せが見えるような終末期のストーリーが求められていると思いまして。
うちのお祖母ちゃんが亡くなった時に立ち会ったんですが、自然死なのでそんなに苦しまない訳だ。風邪をこじらせて肺炎になって亡くなったんだけれどもね。無理に延命するような治療を受けると、かなり苦しんで亡くなる方もおられるようです。
そうですね。
それから、これは比較にならないかも知れないけれども、私は犬や猫を長いこと飼っていましたが、彼らはある意味自然死ですよ。ほとんど苦しまないね。やっぱりこういう亡くなり方いいなぁと思います。いい見本を見せてくれたなぁと、犬と猫に感謝してんだけどね。
そうですね。本日最後にご紹介したいのが、「老年的超越」という言葉がありまして。
老年的超越?
現在日本で百寿者、100歳を超える方が6万人を超えたということで、この100歳を超えた方々を中心に研究されている、大阪大学の権藤恭之准教授という方が発表した老年的超越というものがありまして。
どういったものなんでしょうか?
80歳を過ぎた辺りで心境の変化が起きるそうで、60代、70代、80代と生きていく中で、徐々にできない事が増えてくるものですが。
そうですね。
昨日はできたのにできなくなったと、自信が揺らいでいく瞬間があるそうですが、実はこの80を過ぎていったその先に、逆に今までの暮らしを肯定的に捉えるような精神の働きが生まれて、人生の満足感とか達成感が高まっていくことが分かったそうです。
なるほど。
100歳を超えた高齢の方と接していて、ありとあらゆることに対して感謝の気持ちで接している高齢者の方っていらっしゃいますよね。例えば食事をしたり、介助を受けたり、排泄やお風呂であったり。有り難い感謝の気持ちを持つこの精神的な働きの事を、老年的超越と呼ぶそうです。
そういうことなんですね。
100歳を超える百寿者の皆さんが、体の健康と心の健康が一致しなくなってきているのに、色々な事に満足感や達成感を覚えるような働きがあると、最近分かってきました。年を重ねていく中で不安定な部分も増えていくけれども、80を超えた辺りから段々幸せに感じたり、日々感謝を持って生きれるようになってくるらしいです。
最近の医学では、感謝をうんとしている人の方が病気にかかりづらいということも実証されつつあるんだって。
なるほど。
いつも不平不満を持つ人とか、世の中の悪い事をしょっちゅう不安視している人が病気にかかりやすくて、感謝の心をいつも持ってる人はかかりにくいという調査結果も出ているらしいですよ。
凄く納得がいくところがありますよね。
だから100歳を超える方っていうのは、おそらく感謝という言葉をいつも念頭に置いて生きておられる方が多いんじゃないのかな?
その方が、幸せな時間を生きているような気がしますよね。
という訳で、深刻な問題は今までテーマとして扱われなかった時代もありましたが、これからは凄く重要重大なテーマだね。
そうですね。あっけらかんとこんな話ができるような時代になっていくと良いですね。
いつものように、つばさ公益社の篠原憲文さんのお話でした。