2016.08.20「コールドスリープ」

武田
武田

お盆も終わりまして。ご先祖さんが帰ってきて、そしてまた戻っていったという、そういう時期も終わりました。

篠原
篠原

そうですね。

武田
武田

今日は非常に興味深い。皆さん聞いたことあるかな?「コールドスリープ」のお話。

篠原
篠原

あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、長年に亘って人類の興味関心を引き付けている事象について、ご紹介していきたいと思います。コールドスリープって何かというと、簡単な日本語で、人工冬眠技術のことなんです。

武田
武田

生きている人間を冷凍しちゃうんだよな(笑)

篠原
篠原

そうですね。

武田
武田

それがコールドスリープでございますよ。

篠原
篠原

これは大きく分けて二つの解釈があって、一つ目は、熊やリスが冬から春までの間、力を蓄えたりしながら時期を過ごすような、一時仮眠して仮死状態に入る冬眠のような形。二つ目は、冷凍され、新たに蘇生をするという。よく、SFで数百年後に目を覚ますという描かれ方をしますね。この二つに分かれます。

コールドスリープは、人類の長きにわたる、いわゆる不老不死への希望だということですね。

武田
武田

しかしね、眠っているんだから意識がないわけでしょ?意識がない間は、生きてるということになるのかどうか、非常に難しいよな。

篠原
篠原

不老不死や長寿という意味では、果たして生きていると言えるかという質問は難しいですが、人工冬眠は不老不死の研究の一つであると同時に、命を救う技術になり得るということ、大幅に寿命を伸ばすことができる技術ではないかと、注目を集めているようです。

武田
武田

そうなんですか?

篠原
篠原

1960年代から注目され始めたようで、この時代に何があったかと言うと、大変有名な「2001年宇宙の旅」というSF映画が上映されました。近い将来、惑星の間を宇宙船で移動できるようになったとして、仮に地球と火星の間を移動するには片道で数ヶ月は掛かるだろうと。そして数ヶ月間多くの人間が宇宙船で過ごすには水、食料、生活空間が必要になると。

武田
武田

なるほど。

篠原
篠原

そこで人工冬眠をすると、エネルギーを消耗しなくなるという。一方通行ではありますが、未来へ向かう技術ではないかと注目を集めたんですよね。

武田
武田

コールドスリープしたら、ご飯も食べないし排出物もないから、一つの答えとしては扱えるもんな。

篠原
篠原

実際、省スペースでの宇宙空間の移動が必要ではないかということで、実はNASAが出資をして、現実の技術として成立しているそうですが。

武田
武田

ということは、現在コールドスリープをやってる人が何人かいるんですか?

篠原
篠原

そのようです。医療現場では、冬眠技術として「ボディクーリングシステム」と呼ばれているそうです。いわゆる救命救急の分野で、一旦仮死状態にして治療を進めるということが今も使われているそうです。実際、一週間程度であれば人間を冬眠状態にできると言われています。

武田
武田

なるほど。

篠原
篠原

NASAが出資している仕組みがライノチルシステムというもので、鼻から冷却液を入れるタイプだそうですが、これが宇宙分野に関わらず、救命救急の分野でも今現在活用されている冬眠技術だそうです。

一方、人体の冷凍保存という意味で見ていきますと、今現在、正式に発表されている情報で、コールドスリープをしているのは世界で約300人と言われていて。

武田
武田

法的にも許されてるんだね、これは。

篠原
篠原

そのようです。実はこの冬眠と冷凍の間には大きな違いがあって、冬眠技術は生きている人に対して行うものですが、冷凍技術は亡くなられてる方を対象にしているそうで。

武田
武田

冬眠中でも呼吸はしているんでしょう?

篠原
篠原

当然、生きている方なので呼吸はしているのですが、心拍数が非常に減るそうで。生きていると脈拍が一分間で60くらいですが、それが1/10ぐらいになると言われそうです。

武田
武田

なるほど。冷凍というのは、完全に亡くなった方を対象にしていると仰っていましたが、ということは、未来の医学で蘇生できるということを期待しているということですかね?

篠原
篠原

そのようですね。冷凍というと、そのまま凍らせるイメージが思い浮かぶと思うのですが、まずは血液の入れ替えを行い、不凍液を入れて体温を下げるそうです。

武田
武田

なるほど、血液が凍っちゃうとだめなんだ。

篠原
篠原

血液が凍って膨張すると、細胞を壊してしまうようです。人工透析のように、血液の入れ替えをしてから液体窒素で凍らせる。

武田
武田

ほお~。

篠原
篠原

それも、凄く時間をかけて体温を下げるようです。一週間ほどかけて、-196度まで体温を下げる。

武田
武田

これって、亡くなった瞬間にやるわけ?

篠原
篠原

なるべくそうするべきだと言われていますね。

実際に、コールドスリープを商用技術として提供している会社が何社かあるのですが、全て亡くなった方に対して行っています。法律上、生きてる人に対しての行為は、殺人扱いになるからでしょうね。

武田
武田

そうでしょうなぁ。

篠原
篠原

亡くなってからすぐに行わなければならないので、コールドスリープを提供してる会社では医師を抱えていて、亡くなるであろう前後で施設を訪れるのですが、その期間ずっとお医者さんに行ってもらわなければいけなくて、大体一日20万円くらい掛かるそうです。

武田
武田

なるほど。お高いですねぇ。

篠原
篠原

非常に高額なサービスのようですね。これ、一体誰が利用するのか気になると思いますが。

武田
武田

そうですね。

篠原
篠原

著名人でいくと、人類初の冷凍保存をしたのが、ジェームズ・ベッドフォードさんという大学の心理学の先生だそうです。この方が実際に亡くなられたのは1967年で、家族の希望によって当時体を液体窒素で保存したそうです。15年ほど家族が保管して、その後、アメリカで非常に有名なアルコー延命財団という、冷凍保存の技術を提供している民間団体にご依頼をされたようです。

武田
武田

現在もそこでジェームズ・ベッドフォードさんが眠っているわけですね。亡くなられてすぐに冷凍保存になったのかな?

篠原
篠原

そうですね。ご家族が事前から計画していたようです。で、このジェームズ・ベッドフォードさんのコールドスリープが、社会的に大きく取り上げられる中で、そうしたSF映画が描かれるようになったそうです。

武田
武田

なるほど。

篠原
篠原

当時、現在治せない病が、未来では治せるのではないかという期待の中で、人体の冷凍保存が始まったというところがありまして。二人目の例で、仮想通貨のビットコインを開発した、ハル・フィニーさんという方。この方は非常に難病で、ALS(筋萎縮性側索硬化症)という病で亡くなられた方なんです。かつてアイスバケツチャレンジという、難病で苦しんでいる方がたくさんいることを周知する世界的な活動がありましたが、それを始めるキッカケになった病ですね。

武田
武田

ふ~ん。

篠原
篠原

ハル・フィニーさんも自分自身でコールドスリープを希望されていて、未来を見てみたいというご自身の希望や、この方を将来に渡って残しておきたい、いつか蘇生できたら、という周囲の希望があって保存されているようですね。

武田
武田

なるほどね。

篠原
篠原

あと、本人の希望という意味では、ボストンレッドソックスの野球選手のテッド・ウィリアムズさんという方がいまして、この方は、息子さんも一緒に保存されているんです。

武田
武田

そうなの!?

篠原
篠原

将来また再開しようという希望があったようですね。

武田
武田

ということは、お二人とも亡くなった状態になったということですか?

篠原
篠原

そのようですね。このように、将来再開しようという人もいます。

もう一人紹介したいのですが、タイの2歳の女の子でマセリン・ナオパラトポンちゃん。合計12回もの大きな手術を行った子どもなんですが、その先の世界を見てほしいというご家族のご希望からコールドスリープしている状況です。

武田
武田

なるほど。

篠原
篠原

実は、コールドスリープで有名な3つの民間団体があるのですが、世界で最も有名だと言われているカリフォルニア州の延命財団では、1972年から一般に向けてサービスを提供しています。つまり、40年以上やっているんですね。

武田
武田

値段が気になるね。

篠原
篠原

全身保存を希望する場合、日本円にして約2100万円ほど。

武田
武田

ちょっとまって、部分保存というのがあるの?

篠原
篠原

あるんです。頭部になるそうで、頭部の保存で約30万円ほど。

武田
武田

なるほど。じゃあ、将来は頭部だけあれば何かができるんじゃないかと予想しているわけだ。

篠原
篠原

そのようです。頭部から記憶や意識が復元できるんじゃないかという予想のもとで、頭部だけを残している方がいるんですね。実はこれ、きっかけになったのが日本なんです。

武田
武田

ほぉ?

篠原
篠原

2008年に、日本の理化学研究所で、亡くなってから16年間冷凍保存されていたマウスから、クローンを生み出す技術に実際成功したということで、これは理論的には人体に応用できるんじゃないかということもあったようなんですね。

武田
武田

日本人でコールドスリープしている方はいらっしゃるんですか?

篠原
篠原

2014年の10月28日に、87歳の女性が、日本人で初めてコールドスリープをしたと言われています。

武田
武田

2年前だね。その後は増えてるの?

篠原
篠原

その後は増えていないです。

現在、ロシアの団体を安価という理由で頼ることが多いようですが。まぁ、安価が果たしていいのかどうかという感じですが(笑)

武田
武田

(笑)

篠原
篠原

ちなみに、この87歳の女性の方、横浜にお住まいの方だそうで、54歳の方が依頼主のようですね。

武田
武田

なるほどね。未来でいろいろな病気が治るような可能性も、無きにしもあらずだもんね。

篠原
篠原

そうですね。まだちょっと分からないものですが、希望があるならやらない理由はないという感じですよね。

武田
武田

でもさ、もし蘇生できたとしても、周りは知らない人ばかりだよね。幸せかねぇ?

篠原
篠原

ちょっと想像できないですけどね。

武田
武田

これは幸福論と重複する、自分の問題だよね、きっと。

篠原
篠原

そうですね。

武田
武田

生きていれば幸せというわけじゃないからね。この辺は非常に難しいところであります。本日は、非常に興味深いコールドスリープのお話でした!

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