早速、上田市の方から質問がきております。
「一度お聞きしたいことがありました。それはお墓との距離のお話です。お寺や霊園のお墓は別にして、自宅の近くの裏山、川の近くの小さな林などにお墓を見かけることがあります。」
ありますよね。
「これは何か違いがあるのでしょうか?五輪の塔などの古いお墓のような気がします。何かの機会にお話をお聞きできれば幸いでございます。」ということです。
現在、新たにお墓を求めようとしても求められないというのが通常のお墓の形でして。お墓は、元々三つの形があって、一つ目は自治体が運営している「公営墓地」。二つ目は、お寺などの「宗教法人の墓地」がありますね。
三つ目は何ですか?
最後は、「集落共有墓地」ですね。
そういうのもあるんだね。
これは、昭和の時代に、古くから共有していた墓地を、追認で墓地として認めたという、あったものに対して認められた墓地なんです。
現在は、この集落共有のものが多いのかな?
そうですね、長野県は特に土地が広く、山もたくさんありますから、自宅の裏山の、お墓として決めたところに埋葬したりしてきたりしたと思います。
確かに、私の生まれた時代にも、川のそばとかにありましたね。何でこんなところにあるんだと思っていました。
お墓というのは所有できない物の代表例で、借りることしか出来ないので、その意味では、集落共有墓地だと土地代は不要ですし、まぁ、当番制でお掃除することはあるかも知れませんが、大事にしていきたいものですね。
さて、今日のメインテーマは「国葬」ということで。
タイの、プミポン・アドゥンヤデート国王が亡くなられたというニュースがありましたね。大変慕われていた国王さんだったようですな。
大変慕われていた国王だったようです。10月13日に崩御されて、88歳だったようなんですが、18歳から国王をされて、実に70年も座位を勤め上げた方で、近代国家の中では、最も長い座位期間だと言われています。
この国王が亡くなられて、現在、タイでは喪に服す期間になっているのですが、そんなニュースが賑わっている中で、国葬についてお話していこうと思います。
よろしくお願いします。
13日にお亡くなりになったというニュースが駆け巡った直後に、タイの政府から、国王を追悼するために、30日間は半旗を掲げようという号令がかかりまして、公務員の方は、一年間喪に服すようにという、取り決めがあったようで。
我々の感覚からすると、一年間って結構長いねぇ。
そして、公務員の方は、一年間喪服を着用するようにとなったようで、非常に、国を挙げての追悼のムードが高まっているなぁと感じますね。
30日間は半旗を掲げようという号令が、どういう意味を持っているのかというと、民間でのお酒の販売が止まりまして、バーの営業や飲食業については、30日間休止するというのが暗黙のルールのようです。
なるほど。
娯楽活動に当たるものは自粛してください、という期間のようです。やはり、国王が亡くなることに自粛というのが付いて回るんですよね。具体的に、タイのテレビ放送などでも、民間のテレビCMの差止めが始まっているそうです。
あら、そうなんだ。
日本でも、震災の時に、民間のテレビCMはすべて差し替えが行われ、ACのCMに切り替わりましたよね。
うんうん。
タイでもテレビCMが止まって自粛するムードになり、新聞やインターネット上の記事が全てモノクロに差し替えられたり、実に様々なところで、弔慰を示す形になっているようです。
実は日本でも、昭和天皇が崩御された際に、二日間のCMの差し替えが行われて、放送も基本的にニュースを伝えるだけで、バラエティ放送のようなものは差し替えられたことがありました。この当時、日本は大変、経済の盛り上がりがある時期でして。
バブル経済絶頂期ですからね。
当時の経済白書を振り返ってみますと、天皇が崩御されて自粛が起きないか懸念する一文が書かれていたようですが、実際はそこまで影響は出なかったようです。NHKの速報で、経済的に大きな変動は起こりませんと伝えたように、国葬が行われるというのは、非常に色々なところに影響が出るということですね。
そもそも、国葬の定義というのが主に二つあって、まず1つ目は、国家の儀式として行われること。二つ目は、国費を以て行われるということなんですが。
なるほど。
ちょっとここで、世界と日本の国葬を見比べてみますと、国葬というのは王室や皇室、政治家や大統領などが行うイメージだと思うのですが、実は民間の人でも、国葬を行った例がありまして。
そうなんですね。どんな人なんでしょう?
例えば、世界的な英雄、ブラジルのアイルトン・セナさん。あと、台湾の歌手のテレサ・テンさん。
あ、彼女も国葬だったんだ。
他にも、インドのマザー・テレサさん、イギリスの自然哲学者、アイザック・ニュートンさんが有名ですね。
ああ、リンゴで引力を発見した、ニュートンさんですね。
あと、チャールズ・ダーウィンさん。
種の起源ですな。
この民間の方たちが国葬で行われたそうです。国葬というのは斯様なわけで、国を以て、国家の行事としておくられる方もいれば、本来であれば国葬で行われてもいいはずの人が、辞退する例もあります。
へぇ~。
例えば、米国のリチャード・ニクソンさんは元大統領だったのですが、辞任のこともあって国葬の辞退をされたようですね。
ウォーターゲート事件ですね。
そうです。そして、有名なところではダイアナ妃ですね。
ああ、そうか。
しかし、ダイアナ妃が亡くなられたときには、国民的に人気の高い方なので、国民葬という形で執り行われたようです。
国葬ではなくて、国民葬なんだ。
様々な運営の形があるようですが、近年の国葬と言えば、南アフリカのネルソン・マンデラさん。
これは分かるねぇ。
あと、2011年に北朝鮮の金正日さんが亡くなられたときも国葬でしたね。
当然でしょうね。
協賛支援国では特にそうなんですが、国葬というのは、国を以て行う式ですから、国威発揚の場でもある訳で、その意味で非常に象徴的な方というと、アメリカのロナルド・レーガン大統領。2004年の6月に亡くなられましたが、この国葬が非常に国葬の定義に合ったものだと言われていまして。
どうしてですか?
背景にアメリカ同時多発テロ事件があって、それ以降に行った大きなイベントが、ロナルド・レーガンさんの国葬でした。テロとの戦いということで、イラクやアフガニスタンに若い兵士さんが行かれて、亡くなられたというような暗いニュースが多い時期でしたが、国葬ということで、多くの方が面会に訪れるような、非常に大きなイベントになりました。
特に、ロナルド・レーガン大統領の場合は、当時ソビエトと冷戦期間中にスター・ウォーズ作戦という、ソビエトが崩壊するきっかけを作りましたからね。
まさに、アメリカを象徴する方でしたよね。で、日本においても、どんなお葬式の形式にも関わらず、政治的なものがついて回りますよね。
あるでしょうね。特に、国葬の場合はそうでしょうね。
どうしても、お葬式の席って序列がありますから。
特に中国、北朝鮮では、序列で政治が分かるという。
そうですよね。あの席に彼がいるってことは、次の指導者なんじゃないか、とか、予測できるんですよね。
そうなんです。
会社の社葬でも、そういったことがあるかもしれませんね。
そうなのかな?今度そういう目で見てみようかな(笑)
お葬儀には、様々なものが表れますよね。ここで、日本の国葬をサッと見ていきたいのですが、日本で国葬が行われた最後の人物というのが、元内閣総理大臣の吉田茂さんで。
ああ、そうなんだ。
国葬と言えば、皇族や政治家というイメージですが、なぜ最後が吉田茂さんだったのかというと、戦前は皇族や政治家だけだったそうですが、戦後に国葬が無くなったそうで。何故かと言うと、国葬令という法律が無くなったからなんです。
なるほど。
国葬を行う定義が無くなったため、国葬自体無くなったんですね。ただし、吉田茂さんは戦後の方ですが、唯一、閣議で決定されて、国葬として行われたようです。
サンフランシスコ講和会議で、GHQから独立したときに署名したのが、吉田茂さんだったからね。
そうですね。象徴的な方で、戦後唯一、国葬で執り行われた方だったようです。一方で、内閣総理大臣を努めた人や皇族はどうおくられたのかというと、例えば、大隈重信さんは国葬として執り行われました。
ああ、そうなんだ。
あと、岸信介さんは、内閣と自由民主党の合同葬で執り行われました。
なるほど。
近代的にも、遺族と会社で社葬とか、自由民主党と内閣で合同葬とか、家族と自由民主党で、という形が一般的なようです。
あと、皇族のお葬儀といえば、今上天皇のお言葉というのが、先般発表されましたね。
そうでしたねぇ。
皇族のお葬儀は国葬ではないのかということなんですが、実は、国家の儀式として行われる部分と、それとは別に、皇室の儀式として行われるお葬式が中心ということで、厳密に分かれているようです。
なるほど。色々なお話があるんですね。
そうですね。年明けから、天皇の言葉に従ってこれから国会で議論しようとニュースに載っていましたが、国葬を暫し意識するようになるのでは、と思います。
というわけで、今日は国葬についてお話していただきました。ありがとうございました!